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【経過報告】先住民の女の子の未来を応援する~女の子が安心できる学校づくりプロジェクト~
ガールズ・プロジェクト
グアテマラ
(更新)
プラン・インターナショナルは、皆さまのご寄付と外務省の助成を受け、グアテマラの先住民族が多く暮らす地域で「女の子が安心できる学校づくり」プロジェクトを実施しています。男性優位の伝統的な考え方「マチスモ」が根強い地域で、先住民の子どもたち、特にさまざまな慣習で制約を受けている女の子たちが、男の子と等しく教育を受け、地域社会に参加し、未来の選択肢を多く持てるよう応援するプロジェクトです。コロナ禍の現在も、活動に参加している女の子たちは前向きです。「学校で友だちに会えないので寂しいですが、夢にむけて、家で課題を頑張っています」プロジェクトの開始時から活動に参加しているコグアさんは、そう力強く話しました。
コグアさん(右)は日本大使へ支援へのお礼を伝えた
村での集会に参加した10歳のコグアさんと友人たち
先住民の女の子たちを取り巻く状況
人口の約半分を先住民が占めるグアテマラは、1996年の内戦終結後、国際機関の支援を受けて国づくりをしてきたこともあり、多民族共存の政策が取り入れられています。しかし、今も先住民を取り巻く環境は、決して恵まれたものではありません。2018年の国勢調査では、プロジェクト対象地の約4割の先住民は読み書きが十分にできないとの結果が出ました。女の子の環境はさらに厳しく、現地の先住民を支援する団体によると、小学校を終えるのは女の子の2割のみというデータもあるほどです。
男性優位の考え方が根強い、当プロジェクトの活動地では、女の子が将来の夢を話すと笑われるのが常でした。コグアさんもこのプロジェクトの活動への参加や、中学校への進学に関して、家族の許しを得られるか心配だったと言います。「私の祖父は、いつも『女の子は学校に行ってもろくなことがない』と言っていました。そのため、事前にお母さんに相談して味方になってもらいました」
学校に行っていない女の子の家を訪問し、相談を受けるプラン職員
中学校に通えない子どもたち
プロジェクトを通して、「学校は男の子だけのものではないと学びました」とコグアさんは言います。このプロジェクトでは、女の子たちが学校に行きやすい環境をつくることを目標に、保護者や教師などの関係者と集会を行い、子どもの権利である「学ぶこと」について考える機会を持ってきました。グアテマラでは、小・中学校9年間が義務教育とされていますが、これまでの政府による就学促進は、おもに小学校を対象に行われ、中学校にまでは行きわたっていませんでした。
活動地の中学校のクラス風景。女の子の姿はまばら
全国に約4万5000校ある小・中学校のうち、中学校は約2割のみで、その多くは町にあります。プロジェクトを開始した2年前は、プロジェクト実施対象地では子ども、特に女の子が中学校へ行くことを義務と考える親は、ほとんどいませんでした。1日当たり約2ドル強で生活する「最貧困層」といわれる人たちが人口の約半分を占める対象地では、女の子を学校に行かせることは、見返りがなく、意味のないことと思われていました。
活動を通して高まった「子どもたちを応援しよう」という機運
そのようななか、プロジェクトを通じて少しずつですが人々に意識の変化が出てきました。対象地域の学校の教師の一人は、「最初はプロジェクトで何がもらえるのか、待っていました。しかし、活動に参加してみて、子どもたちをどのように応援してあげられるか、自分たちが考えて行動することが大切だとわかりました」と話しました。また教育省の職員は、「これまでは学校を新設することがおもでしたが、関係者が一緒に子どもを応援する機運を高める取組みを続けることが必要です」と語りました。
プロジェクトで開校した中学校。通学をためらっていた女の子たちが通う
コグアさんも言います。「これまで学校までの遠い通学の危険をあまり気にしていなかったお父さんが、私を心配して送り迎えをしてくれるようになり驚きました。また、頑張っている私を見て、これまで学校に行かなくてもいいと言っていた祖父も応援してくれるようになりました」。コロナ禍でも将来の夢を諦めたくないと語るコグアさん。「自分の夢の実現に、性別や境遇を気にしてはいけないと思います。地域の女の子と一緒に頑張っていきたいです」
多くの女の子が、コグアさんのように村の慣習を乗り越えて歩み出しています。プランは、このプロジェクトと併せて奨学金の給付なども行い、女の子たちの就学を支援しています。このプロジェクトは2020年11月で終了予定ですが、プランは引き続きこの地域でプラン・スポンサーシップの活動を行い、グアテマラの先住民の女の子を見守っていきます。