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【経過報告】ニジェールからの喜びの声~栄養不良の子どもの食料支援プロジェクト~
グローバル・プロジェクト
ニジェール
(更新)
10月16日は「国際食料デー」です。世界の食料問題や飢餓、極度の貧困を考え、解決を目指し制定されました。先進国では農業分野における技術革新がすすんでいますが、途上国は従来から変わらない農業に依存しており、気候変動の影響による天候不順で多大な影響を受けています。
ニジェールで食料支援プロジェクトを実施
西アフリカのニジェールもそうした国の一つです。人口の約84%が農村部に居住し、就業者の約75%が農業に従事していますが、農業からの収入は家計を支えるには十分ではなく、子どもたちの栄養状態にも影響を与えています。
プラン・インターナショナルは2018年から「栄養不良の子どもの食料支援」プロジェクトで、厳しい状況に置かれている世帯を対象に、野菜などの種子やヤギの支給とともに、5歳未満児の子どもたちを対象に発育状況を確認し、栄養不良の子どもたちを保健所に紹介する活動を行っています。
プロジェクト開始から2年が経ち、ニジェールから届いたプロジェクト参加者たちの声をお届けいたします。
- ※The World Bank Data
Agriculture & Rural Development
Employment in agriculture
家庭菜園で好きな料理が食べられるようになった
ラマトウさんは18歳の女の子。父親は彼女が生まれてすぐに亡くなり、母親が家族を養ってきました。母親は市場で食材を売る仕事をしていますが、より多くの収入を得るために、遠くまで売りに行くこともあります。「ラマトウとそのきょうだいを私一人で育てて生活していくのは、本当に大変でした」と母親は語ります。
家庭菜園のオクラの横で微笑むラマトウさん
「栄養不良の子どもの食料支援」プロジェクトでは、厳しい状況に置かれている440世帯に家庭菜園の作り方を教えるとともに、野菜の種子と苗を提供しました。多様な種類の食べ物を得られる環境を整備することで、栄養改善につなげることが目的です。ラマトウさんの母親も家庭菜園の指導と種子などの提供を受けました。
「お母さんが家庭菜園を作ってから、モリンガ、オクラやすいかを食べられるようになりました。私が一番好きな料理はモリンガの葉とクスクスを使ったダンボウ(米やトウモロコシの粉を蒸したもの)とコプト(モリンガの葉を茹でたもの)という料理で、すごく美味しいです。家の近くで収穫して調理ができるので、いつでも食べられるようになって体重も増えました」ラマトウさんは言います。
栄養のある食事を子どもたちに
6人の子どもの母親であるオウセイナさんは、世帯主として一人で家計を支えています。伝統的なケーキを販売するなどこれまでさまざまな仕事をしてきましたが、得られる収入はわずかで子どもたちに十分な食事を与えられず、栄養も偏っている状況でした。プロジェクトで実施した5歳未満児の健診で、彼女の双子の子どもたちは栄養不良と診断されましたが、医療機関で治療を受けて現在は回復して家で元気に過ごしています。
栄養不良から回復した双子の子どもたち
プロジェクトの支援により家庭菜園の指導と種子や苗の提供を受けたことで、今では家庭菜園での収穫は子どもたちの栄養ある食事作りに大きく貢献しています。「野菜や果物を食べられるようになり、子どもたちの健康状態が改善しました。今では一日3回以上食事をとっています」オウセイナさんは喜びを語ります。
収穫したモリンガの葉を調理する様子
農業技術を学んだことが自信につながった
ニジェールでは農耕地の土壌肥沃度が低く、農作物の収穫量が少ないことが課題の一つとなっています。プロジェクトでは、ニジェールの伝統的な土壌改善の農業技術※を学ぶ機会のなかった女性たちに技術指導することにより、農業の生産性向上を目指しています。
農具を手に笑顔のホウサさん
プロジェクト参加者の一人、ホウサさんは、畑に植えた豆の発育状況をこまめに見て回っています。「技術指導のおかげで、収穫量が増えました。今年植えた豆はとてもよく育っているので、去年の2倍の収穫を期待しています。
今では7人の子どもたちだけでなく、孫たちにも豆以外のさまざまな種類の食べ物を食べさせることができています。技術を学び収穫を増やせただけでなく、母親、祖母としての自信が持てるようになりました」
- ※伝統的な土壌改善の農業技術:植え付け前の時期に大きさが20~30センチメートル、深さが15~20センチメートルの穴を掘り、有機肥料をまくことで土壌を肥沃にする農業技術。
土壌改善を実施した農耕地
食事に野菜が増えて、子ヤギも生まれた
「ヤギや種子の支援を受けてから、私の食生活は大きく変わりました。以前は穀物だけの食事でしたが、今はキャベツやレタス、オクラを育てスープも作っています。それから、モリンガの葉を使った料理や、すいかも食べています」と16歳のシャムシアさんは笑顔で話します。
プロジェクトでは家庭菜園の野菜の種子と苗、ヤギのペアも提供しました。家庭菜園の野菜は順調に育ち、子ヤギも生まれています。
ヤギの親子とシャムシアさん
「母を手伝って、ヤギたちの世話をしています。私は縫製の勉強をしていますが、ヤギがもっと増えたら売ってそのお金で縫製に必要なものを買いたいです。ヤギの排泄物は畑の肥料として利用しているので、野菜はすくすく成長しています。家で野菜を収穫できるようになって、とてもうれしいです」
包括的な活動を継続
これまでのプロジェクトを通して、野菜の種子・苗の支給で新鮮な野菜を家庭で得られるようになり、さらに農業技術の指導による収穫量の改善が期待されています。またヤギの支給は繁殖した子ヤギを売ることで、家計への貢献も見込まれています。しかしながら、栄養不良の問題解決には、ほかにも取り組むべき課題が残されています。
支給された苗を持つ女性たち
3年プロジェクトの最終年にあたる今年度は、栄養不良の子どもたちを特定して医療機関に紹介する活動を継続します。また、保健と栄養に関する活動に関わるコミュニティ・ボランティア育成を行い、地域における活動の持続性を高めるなど、栄養改善にむけて包括的な活動を継続していきます。