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【経過報告】縫製の技術で夢を叶えたい~女の子が売られない社会づくりプロジェクト~
ガールズ・プロジェクト
(更新)
ブルキナファソでは、国内および近隣国での子どもの人身取引が深刻です。最もリスクが高いのは、貧困家庭の子どもたちです。人身取引業者に騙され、金採掘場、農場、雇用主の家などにおいて労働搾取を受け、健康を害したり精神的なトラウマを抱えたりするケースが多発しています。特に女の子は性産業に従事させられたり、雇用主による性搾取の被害にあったりすることも多く、特別なケアが必要とされます。
過酷な労働を強いられる金採掘場
プラン・インターナショナルは、人身取引の被害が深刻な地域の一つ、南西部のポニ活動地域で「女の子が売られない社会づくり」プロジェクトを行っています。人身取引のリスクから子どもを守るための啓発活動のほか、人身取引から救出された子どもの支援、背景にある貧困を解決するための職業訓練も実施しています。
14歳のアイシャさん(仮名)は、家事使用人として首都へ働きに出されるところでしたが、プロジェクトへの参加機会を得たことで、今は自分自身の夢にむかって一歩ずつすすんでいます。彼女のストーリーをご紹介します。
14歳で首都へ出稼ぎに送られそうになった女の子
活動地域で見られる伝統的な住居
一夫多妻制の大家族に生まれたアイシャさんは、父親と2人の母親、そして8人の異母きょうだいを含め、12人で暮らしています。この地域では一夫多妻は珍しくなく、稼ぎ手が父親のみでは家族全員を支えることはできません。経済的な理由から、彼女は小学校5年生で学校を中途退学せざるを得ませんでした。
その後も厳しい暮らしが続くなか、父親はアイシャさんを首都ワガドゥグに単身で送り出し、家事使用人として働かせようとしました。しかし、アイシャさんの生みの母親が父親の考えに反対。ワガドゥグ行きは、思春期の娘を「帰り道も逃げ場もない袋小路に追い込むことになる」と直感したからです。娘の身を案じた母親は、地方行政機関に支援を求めました。その結果、行政機関と連携して活動していたプランに連絡がいき、アイシャさんはプロジェクトの対象者として認定され、職業訓練を受けることになりました。
縫製の職業訓練によって大きく成長
縫製用の生地を手にするアイシャさん
プロジェクトでは、美容・縫製・大工・鉄工・機織り・二輪車整備など、複数の職業訓練コースを提供しています。訓練費のほか、必要な備品や道具、食費などもプランが負担します。学校を中途退学してから、いつか仕立ての仕事をしたいと思っていたアイシャさんは、縫製の職業訓練を受けることを希望。縫製工房で技術を学ぶことになりました。8カ月を経た今では、ミシンを使いこなし、スカートや子ども服も仕立てられるようになりました。プランのスタッフは、彼女の訓練先や家庭を訪問し、職業訓練が順調にすすんでいるか見守り、サポートしています。
上司や母親によると、アイシャさんには縫製の技術面の上達だけでなく、行動面での良い変化も見られるようになったそうです。以前よりも几帳面になり、与えられたアドバイスを尊重するようになりました。
「私の人生にもたらされたギフト」
プロジェクトへの参加をきっかけに、自分の将来を前向きに考えられるようになったアイシャさん。「学校を辞めてから、いつか縫製の仕事に就きたいと夢見ていました。日々の実習成果も確実に感じられ、プロジェクトが私の人生にもたらしたギフトに感動しています。配属先の縫製工房では上司やプランのスタッフがしっかり指導してくれますし、両親も応援してくれています。将来は自分の工房を開き、若い人たちに技術を教えたいです。このプロジェクトにとても感謝しています」と夢を語ります。
テレビやラジオなどの情報源が乏しい農村地域では、子どもや親も人身取引の危険に気づくことができず、人身取引業者の巧みな言葉に騙されてしまいがちです。プランは今後も、人身取引を未然に防ぐための啓発活動に力を入れるとともに、被害にあった子どもたちの保護や帰還支援のほか、とりわけ女の子たちが必要とするケアや職業訓練の提供を通じて、人身取引のない地域社会づくりを目指していきます。
コミュニティでの啓発活動の様子
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