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ベトナム便り ~水不足編、第15号をお届けします。
プラン・ベトナム
船越 美奈
アジア
ベトナム便り
(更新)
シンチャオ!
夏ですね。今年ベトナムでは、エルニーニョの影響で深刻な水不足に陥っています。プランはそんな水不足に悩む中部クアンビン省にて、日本政府の「草の根・人間の安全保障無償資金協力」の支援を受けて、水・衛生プロジェクトを実施中です。
今回は、給水設備を設置予定のラバン村から、住民の方々の暮らしをご紹介します。
カイさん(81歳)、レウさん(83歳)ご夫婦
水不足で不便な生活を送る日々
カイさん、レウさんご夫婦
軒先に置かれた雨水を集める容器
「この家には、夫婦2人だけで暮らしています。子どもは3人いますが、みな結婚して、他の村に移りました。家には井戸がありますが、年に2~3カ月は水が干上がってしまい、その間は近所の人から水をもらいます。1日2回、カートを使って重い水を運ぶので大変です。その間は、料理に使う分の水しかないため、水浴びや服を洗うことも我慢します。妻は体重が20キロしかなく、少し動くと疲れて休まないといけません。政府からは月30万ドン(約1700円)の生活補助を受けていますが、ほとんどすべて薬代で消えてしまいます」と、カイさんは語ります。
ご自宅に伺った日は雨でしたが、少しでも雨水を溜めようと、村のあちこちで軒下にバケツが並べられていました。この村では、夏の間も水が出る井戸は3カ所しかありません。そのため、住民はみなその井戸のある家から少しずつ水を分けてもらい、何とか生活しています。
スオンさん(11歳)一家
スオンさん
給水設備は生活を大きく改善します
戦争の傷跡が残る村
もうすぐ小学6年生になるスオンさんは、父と母と3人暮らし。6~8月は水が不足するため、近所の人に水をもらっていますが、水を運ぶのはスオンさんの役割です。
夏休みの間、毎朝5回、自転車に乗って水をもらいに行きます。タンクは水を入れると10キロの重さになり、自分では持ち上げることもできません。近くの大人に自転車に乗せてもらい、バランスを取りながら家に持ち帰ると言います。
父親のチエンさん(50歳)が、この地域の水の問題を教えてくれました。
「この辺りはベトナム戦争の際にオイル保管庫があったため、川が汚染されています。井戸を掘っても、水が出ることはめったになく、水が出ても変な臭いがすることがあります。夏の間は水不足のために、野菜や家畜を育てることもできないんです」
このような状況を変えていくため、プランの水・衛生プロジェクトでは、2016年3月まで次のような活動を進めていきます。
- 給水設備の設置(2村)
- 学校トイレの設置(3校)
- 住民による水管理委員会の設立・トレーニング(6村)
- 学校での衛生啓発イベント(3校)
遠くの川から安全な水を引く給水設備では、タンクを18カ所に設置し、6村の住民約2000人が利用する予定です。住民の生活向上に直結する、水・衛生プロジェクト。今後の展開にご注目ください!
いつも温かかったソン先生
追記
私が担当する教育プロジェクトに参加されていた、クアンビン省ザンホア小学校のソン校長(37歳)が、2015年8月にバイク事故で急逝されました。この追記を書くことについては迷いもありましたが、ソン先生のことを一人でも多くの方に知っていただきいとの思いから、書くことを決めました。
ソン先生は、少数民族の子どもたちの教育に真剣に向き合い、ミンホア郡のパイロット校として他校のモデルとなるべく、プロジェクトで中心的な役割を果たされていた先生でした。英語が専攻で、私たちが訪れると、いつも一生懸命英語で話しかけてくれました。少し照れたような笑顔が印象的で、礼儀正しい言葉づかいと態度を崩さない、心やさしい方でした。早すぎる死が本当に残念です。心よりご冥福をお祈りいたします。
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