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ハイチにおける世帯トイレの建設と改善~オーナーシップと持続性~
プログラム部
林 美穂
中南米
(更新)
ハイチにおける水と衛生プロジェクトの第2期目が2015年3月より開始しました。第2期は第1期で対象とした南東県ジャクメル郡の6コミュニティに加え、同郡から新たに6コミュニティを選定し、合計12コミュニティへ活動が広げられています。
前回お話ししたように、プランはCLTS手法といって、一切の資金・資材支援をせずに、コミュニティの住民自身による家庭用トイレ建設・修繕を促進しています。これは、モノの支援でできたトイレは往々にして、扱い方が雑になり、壊れたり使えなくなった場合は、放棄される傾向が強いことがハイチで確認されているためです。いくら立派なトイレを作っても、建設後1~2年後に使われなくなり、屋外排泄に戻ってしまったら、支援の意味がありません。長期的な改善を目指すには、住民自身のオーナーシップが重要です。つまり、住民がトイレの必要性を理解し、トイレを使い続けられる環境を整えることが、持続可能な支援と言えます。
我々は、第1期で得られた教訓をもとに改善を重ね、コミュニティ主体による衛生改善に力を注いでいます。
第1期目の教訓
第1期目の活動を通して得られた大きな教訓として、以下のことが挙げられます。
- 住民間の団結力、相互扶助精神の高いコミュニティは、住民一人ひとりのオーナーシップが高く、家庭用トイレ建設・修繕は順調に進みやすい。
- 過去に資金・資材支援を受けたり、周囲で同様の支援を受けているコミュニティでは、援助依存体質が残っており、住民の理解を得にくい。
- 住民の意欲を向上させる鍵は、コミュニティリーダーにあり。
コミュニティ衛生委員会への研修風景
コミュニティでの衛生活動の様子
第2期目の展望
以上の教訓を活かしつつ、第2期目も引き続き住民によるオーナーシップの増大を目指します。プロジェクトの目的に賛同し、影響力のあるコミュニティリーダーを衛生委員会メンバーの一員とし、積極的にコミュニティに屋外排泄の弊害とトイレ使用の必要性を語りかけていきます。はじめは、我々スタッフが住民へ直接語りかけますが、その役割を徐々にコミュニティ住民へとバトンタッチすることで、コミュニティ自身が、屋外排泄は自分たちの問題と受け止め、それに対する解決法を考えます。そのようなプロセスを通し、オーナーシップが増大されるのです。
道のりは長いですが、こうして建設されたトイレは長期的に使用されるでしょう。プロジェクト開始以来、コミュニティ住民から「病気にならないためにも、トイレを使わなきゃいけないのよ」と家庭用トイレをもたない住民へ励ます声を、よく耳にするようになりました。我々の努力が徐々に実を結んでいるようです。
建設された家庭用トイレ
シンプルな構造。排気口(右奥)も設置
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