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ハイチ復興から長期的な発展へ~コミュニティから発信する発展への取り組み~
プログラム部
林 美穂
America中南米
(更新)
復興の道のり
2010年1月にハイチを襲った壊滅的な震災から、6年が経過しました。20万人以上が死亡、150万人が住まいを失い、一瞬にして国は深い悲しみに包まれました。震災復興過程では、コレラの蔓延や巨大ハリケーンの襲来により、国の復興は前進・後退を繰り返し、その歩みはいまだ遅々としたものとなっています。
首都ポルトープランスの街並み
被災者のために建設されたパステルカラーのかわいらしい住宅
国内の状況
ハイチはアメリカの裏庭と言われ、隣国にはキューバがあり、長年政治的駆け引きのなかで翻弄されてきた歴史があります。独裁政権の崩壊後ハイチは民主化が進み、震災後も世界各国からの復興支援で、表面的には震災の面影は消え復興が終了したと認識されています。しかしながら、住民の声が反映されるような行政システムの確立はまだまだ途上にあり、地方に分配される予算も乏しい状態です。
ポルトープランスの市場 時には道をふさぎ交通渋滞の原因にも
震災で店を失った商店主たちは壁を売店にして商売を続けています
コミュニティから発信する新しい国づくりへの希望
私がハイチに住み思うのは、地理的にみても、エネルギー資源の採掘可能性をみても、経済発展の可能性がとても高い国だということです。人々が度重なる自然災害に対応し生活の建て直しを図るのは容易ではありません。信頼できる家族・親族、あるいは所属するグループの人たちを互いに頼りがちであり、社会のなかに国の復興・発展へ向けた大きな連帯感のようなものが育ちにくいように思います。もし、人々の声を広く集め活かしてそのチカラを集結することができれば、この国の発展を大きく推し進めることができるのではないかと感じています。
私たちプランのスタッフは、水と衛生プロジェクトを通し、人間が人間らしく生きるための「人権」についてもコミュニティの住民へ説明します。老若男女関わらず一人ひとりに同じ人権があること、そしてその権利が満たされていないとわかった時、周りに対して声を上げることの大切さを伝えます。
例えば、幼児や小学生に対しては、屋外排泄や不衛生な環境が病気を引き起こすことを理解してもらい、次のように伝えます。「もし、あなたたちの家にトイレがなく、手を洗うせっけんがない場合、お母さんやお父さんに『トイレを作って』、『せっけんを買って』と言ってください。そして、『ぼくは、ママやパパの大切な子でしょ?ぼくが病気にならないように、守ってほしい』と。あなたたちの両親は、きっと分かってくれるでしょう。」
実際にファシリテーターが学校衛生促進イベントで、子どもたちにこのように話しているのを聞いた時、プロジェクト担当者としてだけではなく、ひとりの母親として胸が熱くなりました。私が母親で、子どもからこんなことを言われたらどうするかと考えさせられました。
声がない場所に、変化は起こりません。まずは、声を上げること、それが人権を守る第一ステップです。子どもの声が、家族の行動を変え、地域社会を変え、そして国を変えていきます。プランの支援は、まさに地域レベルから声を発し連帯して社会を発展させていくための第一ステップなのです。
「They don’t care」から「We care each other」へ。「コミュニティ全体で衛生環境を良くしていこう!子どもたちを病気から守ろう!」と住民自身が発し、住民自身が行動する姿を見るたびに、私はこの国の未来には十分に希望があると感じています。
コミュニティ衛生委員による学びの共有ワークショップ
手洗い場と障がい者用トイレが併設された学校のトイレ
子どもクラブの研修
サッカー大会を通したコミュニティの衛生啓発イベント
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