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フィリピン訪問記 第3号 ~プラン・サザンレイテ事務所~
支援者サポート部
竹崎 恵
Asiaアジア
(更新)
2015年10月下旬から11月中旬にかけて、外務省の助成を受けフィリピンで約3週間の実務研修を受けてきました。そこで見て来たことを3回にわたりリポートします。最終回となる第3回は、レイテ島南部にあるサザンレイテ事務所訪問の報告です。事務所は島内最大の都市タクロバンから車で2時間半ほどのソゴッドにあります。
元チャイルドが今ではプラン職員に!
1998年の活動開始から、2016年に18年目を迎えるサザンレイテ事務所。たくさんの元チャイルドが立派に成長して、コミュニティやそれぞれの職場で活躍していました。
現在、サザンレイテ事務所の職員としてサンフランシスコ地域で11のバランガイ(村)を担当するヴァル。1998年にプランが活動を開始した当時小学校4年生だった彼は、チャイルドとしてオランダのスポンサーと手紙での交流を始めました。また、プランの意識啓発トレーニングに参加し、村の子どもクラブでリーダーとして活躍するなど、プランの活動に熱心に参加したそうです。
“ヴァル”こと、ヴァレンティン・A.・エスカビーリャス職員
SNSアクション#Girl4Presidentに参加
「子どもの頃に出会ったプラン職員やコミュニティ・ボランティアはまるで年の離れた兄のように助言や励ましをくれるメンターでもありました。いつか自分もあんな風になりたい、と思っていました」と振り返るヴァル。
「プランの招きで大きな会議でスピーチをし、他の村の子どもリーダーに会う機会もあり、外の世界を知ることができたことは大きな財産。自分と似た境遇でがんばっている仲間にとても勇気づけられました」と話してくれました。
子どもクラブイベントで発表
子どもクラブの仲間たちと
努力家のヴァルは、高校を卒業後、プランの支援で奨学金を得て職業訓練校でコンピューターを学んだ後、さらにレイテ・ノーマル大学で社会福祉を学び、ソーシャル・ワーカーの資格を取得。2014年12月にプラン職員として働きはじめました。「プランで働きたいと思っていたし、恩返しの意味もありました」。
今はコミュニティとプランをつなぐ現場スタッフとして日々奮闘しています。学校を途中でやめてしまいそうな子どもたちには自分の体験を話し、「学校にいる期間はあっという間に過ぎる、すべては自分の将来のためだよ」と伝えているそう。
ヴァルの話で一番印象に残った言葉は、「貧困は言い訳にならない、貧しいからこそ子どもたちを学校に行かせるべき」という言葉です。「貧しい家庭に生まれたことは自分の責任ではないけれど、貧しいまま一生を終えるとしたら、それは自分の責任。状況を変えるのは自分自身です」と力強く話してくれました。
18年の集大成
活動を通じて、多くの子どもたちやコミュニティの人々に影響を与えてきたプランですが、コミュニティが政府や行政機関と連携して、自分たちの力でコミュニティ開発を継続していくことができると判断し、サザンレイテ地域からまもなく撤退する予定です。
1999年に行われた子ども月間を祝うイベントの様子
80歳のミラグロスさんは、水管理組合長として今も活躍中
すでに多くの元チャイルドや元チャイルドリーダーたちが、教師や政府関係者、薬剤師、プラン職員などになり、次世代として立派に成長したのみならず、人々の参加意識が高まり、コミュニティ住民組織が効果的に機能するようになったためです。以前は人任せで、村の発展は役人に任せておけばよい、と考える人が多かったそうですが、保健や教育、子どもの保護や参加など、プランのトレーニングを受けるうちに、住民の意識に変化が生じました。今は、「自分たちが率先して考えなくては」、と考えも行動も変わり、村や町の予算配分にも意見を述べるようになりました。
事務所には、年齢別人口からトイレ数までが表示されています
高校の英語教師となった元チャイルドのチャリーアンさん
日本のスポンサーへ届けられていた報告書の写真
持続可能な自立のために
サザンレイテ事務所では、年内の完全撤退に向けて、持続性を高めるのに必要なプログラムを中心に、支援に優先順位をつけて導入しています。撤退準備を進める中で一番重要だと話していたのが、同世代間で学びあうピア・エデュケーション、地域の資源や人材の活用、そして行政機関の関与をさらに高めるための取り組みです。
“ヤング・ハーツ”メディアクラブは、子どもたちがメディア技術を学び、映像などを制作する活動。公共向けメッセージ動画などを作成しています。学校の課外活動の一部として組み入れることで、プラン撤退後も活動を続けられる予定です。今後、プランは、自治体やコミュニティへの説明を終え、村ごとに盛大な“卒業式”を開催する予定です。
高校で活動する「“ヤング・ハーツ”メディアクラブ」
活動4年目となる貯蓄グループ。今後もずっと続けていきたいと意欲的
今回の訪問先で出会った村長や町長たちは、「困ったことがあれば、政府の担当省庁に自分たちで相談できるようになりました。プランがいなくなるのはさびしいけれど、これまでの活動に感謝しています」と力強く答えてくれました。活動開始から18年を経て、安心してコミュニティを去ることができると感じました。
今後は、ようやく平和への道のりを歩み始めたミンダナオ島へ活動の場を移します。今後もプラン・フィリピンの地道な、しかし着実な活動への支援をお願いします。
*フィリピンのチャイルドや元チャイルドをはじめ、サザンレイテ事務所の職員から、皆さまへの感謝を伝えるビデオメッセージを預かってきました。2本あわせてぜひご覧ください。
プラン・スポンサーシップのチカラ~サザンレイテ地域のチャイルドからのメッセージ~(フィリピン)/プラン・ジャパン (4分53秒)
プラン・スポンサーシップのチカラ~サザンレイテ地域での18年の活動を振り返って~(フィリピン)/プラン・ジャパン (4分4秒)
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