「インドからナマステ」栄養不良で苦しむ子どもたちをゼロに！

プログラム部
渋谷　朋子

インドからナマステ！
インド北西部ラジャスタン州ジャイプールに2015年2月から駐在している渋谷朋子です。日本政府の「日本NGO連携無償資金協力」の支援を受けて、ラジャスタン州の70村で、5歳未満の子どもの栄養不良改善に取り組んでいます。プロジェクトは、2016年2月に2年目がスタートしました。

プロジェクト概要

プロジェクト名：ラジャスタン州における乳幼児の総合的栄養改善事業
事業期間（3年間）：2015～2017
プロジェクト地：ラジャスタン州　ウダイプール県20村、ビカネール県ルンカランサル地区50村

インド地図

今回は、インドの子どもの栄養不良の状況についてお伝えしたいと思います。

インドの子どもの栄養不良の状況

みなさんは、インドの5歳未満の子どものおおよそ何パーセントが栄養不良と言われているかご存知ですか？？

答えはなんと43％。（慢性的な栄養不良は48％にも達します。）

かのモディ首相も、この深刻な状況を「国家の恥」と述べています。

栄養不良は、「食べ物がない」ためだけに起因するものではありません。母親の栄養状態や教育レベル、出生時の体重、母乳育児、家庭内での母親の発言権、貧困、病院までの距離、不十分な病院のサービス、カーストなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。

わたしたちが活動している70村も例外ではありません。以前訪問した家庭は、移動して暮らす民族であるがゆえに、自分の土地を持たず、子どもを学校に通わせておらず、子どもの数は10人以上。そのうちの一人の子どもは極度に深刻な栄養不良の状態に陥っており、他の子どもの栄養状態もあまりよくなさそうでした。

1年目の活動

ラジャスタン州における乳幼児の総合的栄養改善事業は、コミュニティレベルで村の人が、自分たちで栄養不良の子どもを見つけ出し適切な対処ができる、もしくは栄養不良に陥らないように事前に対処ができることを目指しています。そのためには、村の人々の人材育成、健康や栄養に対する意識を高めること、子どもが通う乳幼児保育施設や栄養不良治療センターの機能強化がかかせません。

1年目に行った主な活動を紹介します。

【人材育成のための教材作成と教材を使ったトレーニング】

レシピトレーニング：安く手に入れられる地元の食材を使用して子どもと妊婦向けに栄養豊富なレシピをつくり、村の人にデモンストレーションを行いました。

熱心に見入る参加者たち

【毎月開催する母親学級での栄養指導】

5歳以下の子どもをもつ母親と妊産婦に、トレーニングを受けた栄養ワーカーが栄養指導を行いました。

母親学級での栄養指導

【保育施設での給食支給】

働きに出てしまうお母さんとお父さん。村の子どもは乳幼児保育施設に預けられます。そこで、毎日3度の給食を提供し、村の子どもの栄養改善を図りました。

給食を食べる子どもたち

【予防接種、妊産婦健診の促進、出張健診の実施】

1年目には、対象にしている2県の3268人の子どもが予防接種を受けることができ、842人の妊産婦と1127人の子どもが治療を受けました。

健診を受ける母子

これらの活動を通して、1年で90人の子どもが深刻な栄養不良の状態にあるとして、街の栄養不良治療センターに送られ、治療もしくはカウンセリングを受けることができました。

調査によると、活動地域にはまだ多くの栄養不良の子どもたちがいます。栄養不良と診断されても、町なかにある病院に滞在する費用が工面できない、他の子どもの世話のため母親が家を空けられない、などの理由で、治療を終えることなく家に帰らざるをえなかった子どももいました。

途上国にいると、このような状況をみるたびに、健康でいられる環境にいないこと、治療のサービスを受けられない人がいることへの「不平等性」を強く思います。わたしたちの仕事は、そのような不平等な環境にいる人に少しでも多くの「機会」を提供すること。2年目は、適切な治療やカウンセリングを受けられる機会、十分な栄養を得られる機会を増やし、インドの子どもたちが日々元気に笑っていられるような環境づくりに注力していきます！

今後はスタッフの紹介やトレーニングの様子や進捗、日々の生活などもお伝えしていきたいと思います。どうぞお楽しみに！