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2年目が終了しました~インド~乳幼児の総合的栄養改善プロジェクト
プログラム部
渋谷 朋子
Asiaアジア
(更新)
ジャイプールからナマステ!
最低気温4度の寒い寒い日々が終わり、急に(!)過ごしやすい季節がきました。来月3月には気温が40度に達することを考えると、今のうちにたくさん外出しておかなければ、と思っています。
2年目の活動を振り返る
2017年1月末日をもって、外務省からの助成金で実施したインド北西部のラジャスタン州70村における乳幼児の総合的栄養改善プロジェクトの2年目が終了しました。それに合わせて、1月にプロジェクト実施地のひとつであるビカネール県で、2年目のプロジェクト統括ワークショップを行いました。このワークショップでは、プロジェクトの直接対象地であったウダイプール県、ビカネール県のプロジェクト関係者総勢22人を集め、2年目のプロジェクトで達成したこと、問題点、次年度に反映させるべき学び、そしてプロジェクト終了後も継続していくべきことなどを、3日間話し合いました。
パートナーNGOが持つ強みを発揮
プロジェクトスタッフたちの発表を聞き、改めて面白いな、と思ったことのひとつが、パートナーNGO*による成果の違いです。 パートナーNGOのひとつUrmul Setu Sansthan(以下Urmul)は、同州ビカネール県を拠点に70村でプロジェクトを実施しています。二つ目のSeva Mandirは、ラジャスタン州ウダイプール県を拠点に20村で本プロジェクトを実施しています。
Urmulは、砂漠の真ん中にある小さな町に拠点を置き、村のフィールドワーカーを含め約100名のスタッフの多くはその地域出身のたたき上げ。プロジェクトの実施に関しては、プランなどの外部からの提案を柔軟に取り入れながらプロジェクトを実施していきます。一方Seva Mandirは、高学歴の女性スタッフが多く、フィールドワーカーも含めると1300人のスタッフを擁する大きな組織です。組織体制、リーダシップが強く、プロジェクト実施にも独自の考え方、やり方が確立しています。
二つのNGOの文化、風土、組織体制の違いによって、はっきりとプロジェクトの成果にも、違いが生まれてきていることが、今回のワークショップの発表でも感じられました。
この1年の成果を発表するUrmulのスタッフ
ワークショップ中のグループワークで議論する
Seva Mandirのスタッフ
Urmulは栄養指導員を含め、村の人々の人材育成を得意としています。村で活動するフィールドスタッフにより責任を持たせ、栄養指導員などの人材育成、各村での活動を主体的に行ってもらいます。その結果多くの栄養指導員が、今自分が知っている栄養に関する知識を公共の場で、自信を持って言えるようになってきました。これは、簡単なようでいて、途上国の村の女性の間では非常に難しいこと。
母親学級でスタッフの助けを借りず
自信をもって説明する栄養指導員
公共の場で話す機会がなく、中学校を卒業しているか、していないか、という女性たちにとっては、とても勇気が必要なことです。プロジェクト終了後も、プロジェクト実施地に子どもの栄養に関する正しい知識を持ち、人々にアドバイスができる人がいることが、このプロジェクトの目的でもあります。
村で訪問した家の母親と子ども
ワークショップの一環で現地調査をした際に
集まった母親とUrmulの職員(左)
一方、Seva Mandirは、施設のサービス・機能強化、体制確立を得意としています。乳幼児保育施設で行っている微量栄養素と給食の支援、環境の改善の成果として、乳幼児保育施設に通う子どもの栄養状態はこの2年間で改善してきました。また、栄養不良治療センターは、軌道に乗るまでに時間がかかりそうですが、退院した子どもの状態を確認するため、家庭訪問をして成長を確認し、再度栄養不良の状態にならないよう、退院や退院後の栄養状態に関する情報を病院側と村のフィールドワーカーが共有できる体制づくりに取り組んでいます。
栄養不良児のデータを発表する
Seva Mandir のスタッフ
看護師の対応なども患者の家族に評価され、「地域で一番の子どものための病院だ」と言われるようになりました。
栄養不良治療センターで治療を受ける子どもと
付き添う親
退院した子どものためのフォローアップシート
3年目のさらなる成果を目指して
外国人スタッフが私ひとりだけのインドのプラン・インターナショナルの事務所も含め、強烈な文化(=個性)を持つインドのパートナーNGOが、総合的栄養改善プロジェクトをそれぞれの地域で同様に進めていけるのか、1年目は不安に感じ干渉することも多かったのですが、2年目は活動を主体的に行う責任を大きくそれぞれの団体に委譲したことで、活き活きと活動しているように見受けられました。その結果、改めて今回のワークショップで、それぞれの団体にある強みと弱みを認め、今後のプロジェクトの展開について話し合うことができ、とても有意義なものになりました。
プロジェクトの2年間で学んだことを生かして、総合的栄養改善プロジェクトの残り1年間、インドの子どもの健康に貢献していきます。今後ともどうぞ応援よろしくお願いします。
※インドでは国際NGOは現地NGOと提携してプロジェクトを実施するよう法律で定められています。
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