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「誰ひとり取り残さない」教育の実現に向けて~ベトナム訪問記~
理事長
池上 清子
理事長ブログ
(更新)
ベトナム北部のハザン省シンマン郡は、中国との国境に近い山岳地域です。この地域においてプラン・インターナショナルは、地域の中心地にある本校に加え、遠隔の村にある3歳児からの小学校就学前クラス(幼稚園)と、小学校1~2年生を対象にした分校を支援しています。
少数民族が教育から取り残されないための支援
ベトナムには54の民族がいるとされていますが、この辺りはヌン族が多く、そのほか5~6の少数民族をあわせると、人口の95%以上になります。家庭ではヌン語で話すため、幼稚園でベトナム語を修得することは、小学校の就学時に大いに役立つのです。自然とふたつの言語を話せるようになることから、今は3~5歳児のすべてが幼稚園に通っています。
幼稚園の子どもたちと
幼稚園の園長はグエン・チ・ニュンさん(38歳)。コアグループ(プロジェクトを支援してもらうために、関連するコミューン毎に設立されている運営委員会)のメンバーでもあります。7年前に、プラン・インターナショナルがこの村で活動を開始することを決めた時からの一員です。
幼稚園の校長先生ニュンさん
ニュンさんはハザン省の出身ですが、タイ族に属しているそう。タイ族の文化はヌン族にかなり近く、この地区で教鞭をとることは、民族が違ってもそれほど難しくはないそうです。ニュンさんは、米、トウモロコシをつくる農家の5人きょうだいの2人目として育ち、貧しい家庭だったと振り返ります。ハザン市で高校を卒業した後、大学に行くお金がなかったため、5年間ボランティアとしてへき地で教え、それからカレッジ(たぶん、日本の師範学校のような学校)を出て教師になりました。
ニュンさんにインタビューする池上(中央)
学校教育を促すためのプランの工夫
ニュンさんは、地域のすべての子どもが通いやすい場所に幼稚園や分校を、村の人たちと共同して建設していることがプラン・インターナショナルの活動のよさと考えているようです。さらに、能動的な学習姿勢をうながすアクティブラーニング手法を導入して子どもたちが自分から勉強するように仕向けたこと、と分析してくれました。7年前の幼稚園には全対象年齢の40%しか通っていなかったけれど、今は100%になったそうです。これには、もちろん、理由があります。彼女たち教師が親に対して教育の重要性を説いて回ったことと、立派な施設ができたので、子どもたちが自ら行きたいと言うようになったことです。今では、農作業を休んでも幼稚園や小学校の行事に参加する親が増えたと喜んでいました。
ベトナムは教育の質を上げるために、分校よりは本校に力をいれようとしています。幼稚園にしても分校にしても、子どもたちは1時間以上もかけて山道を歩いて通ってきます。3歳児にとってはかなりの負担のはずですが、分校に通うきょうだいや友人の授業が終わるまで待っていて、それから一緒に帰宅するそうです。親は棚田での農作業に忙しく、送り迎えはできません。ニュンさんは、こういう子どもたちを取り残さないためにも、分校にも光を当ててほしいと言っていました。
小学校の子どもたちと(前列中央)
理事長に就任してから初めて、日本のプラン・インターナショナルが実際に活動している地域を見て、強く感じたことがあります。それは、どの地域にも貧困家庭で育ち20代、30代でリーダーに成長した人たちがいるということです。ニュンさんもそのひとり。貧しさから抜け出すためには、まずは教育が必要だと身を持って知り、それを強い信念として実践できるリーダーとなっています。私たちが目指す「誰ひとり取り残さない」教育の実現は、彼女のようなリーダーに支えられていると思いました。困難な状況に負けずに、将来の公正な社会づくりを担うリーダーたちを育成すべく、私たちは活動をすすめていきます。
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