- 国際NGOプラン・インターナショナル 寄付・募金で世界の女の子を支援
- プラン・ブログ
- 番組「遠い国のあなたへ」の撮影裏話~インドネシア~
番組「遠い国のあなたへ」の撮影裏話~インドネシア~
広報マーケティング部
鈴村 久美子
アジア
事務局より
(更新)
広報マーケティング部の鈴村です。女優のサヘル・ローズさんが、プラン・スポンサーシップを通じて交流するチャイルドに初めて会いに行く様子を追ったテレビ番組「遠い国のあなたへ」の撮影に同行しました。放送では紹介しきれなかった現地の様子をお伝えします。
(画像提供:BS12 トゥエルビ)
村の人々による温かい歓迎
日本から飛行機を乗り継いで12時間。インドネシアのティモール島に降り立ちさらに車で3時間の場所にあるソエの村。
ここでまず私たちを待ち受けていたのは、村の人々の温かい歓迎でした。プラン・スポンサーシップの支援者がチャイルドを訪問すると村の人たちが集まって歓迎式を開いてくれることが多くありますが、今回の3日間の滞在期間中に受けた式典の数は、お別れの式典を含めるとなんと5回。この村の習わしにしたがい、村の長老たちによる歓迎の言葉のあと、伝統的な織物を肩にかけていただき、出席者一人ひとりと挨拶をします。女性同士は鼻と鼻をこすりあわせる挨拶です。
チャイルドのアナと挨拶を交わすサヘルさん
歓迎式に集まってくれた村の人々
滞在2日目にチャイルドのアナとともに学校に訪問した際にも、民族衣装に身を包んだ子どもたちが、歌と踊りで歓迎してくれました。初めて聞く音色や異なる習慣に触れることは他国を訪問するときの大きな楽しみの一つ。式典を通じて、人との出会いを大切にするこの村の温かさを感じました。
学校での歓迎式に民族衣装で登場する女の子たち
グローバル化がもたらす変化
人々は温かく、子どもは笑顔に溢れ、一見何の問題もない平和に見えるこの地域ですが、5歳未満児の死亡数は1000人あたり45人と、インドネシアの平均の27人と比べても高く、依然、貧困から抜け出せずにいます。一方、開発から取り残されているこの地域にも、グローバル化ははっきりと変化をもたらしていました。その一つは、若者の「心」の変化。テレビやインターネットから伝わる国内外の情報を通して、若者たちは外の世界に憧れを持っているといいます。多くの村人たちの生計手段は農業ですが、若者たちにとって農業は「かっこよくない」といいます。農業の生産性も低く、自然災害も多いこの地域。けれども、ここで若者が農業以外の仕事を見つけるのは困難で、仕事を求めて村の外、国の外に若者が流出しています。
約3割の子どもたちが小中学校を卒業できていないこの地域。親が教育の重要性を理解しておらず、家計や家事を支えさせるために学校を辞めさせています。途中で学校を退学した子どもたちの中にはうまい話に騙され、国内外に送られる子どもたちが多くいるといいます。女の子の場合、国内外に家事使用人として送られ、休みもなく給料もほとんど支払われないなどの人身取引とも言える劣悪な環境で働かせられ、帰国するための費用も稼げずに搾取され続けることも少なくありません。多くの場合、親にも知識がなく、子どもたちがどのような被害に遭うのかよく理解しないまま送り出しています。自分の身を守る知識や術を持たず、また親にも守ってもらうことのできなかった若者たちは、グローバル化の波の中で、さらに厳しい現実に直面しているのです。
この地域の典型的な家
学校に通う子どもたち
プラン・インターナショナルのチャレンジ
プランは2004年からソエで活動を行っています。活動の分野は、衛生環境の整備や子どもたちの通う校舎の建設、出生登録などさまざま。そして近年、中でも力を入れているのが、若者の収入向上支援。「かっこ悪い」と人気のない農業ですが、プランの活動では、農業の生産性の向上に向けた技術指導を行いながら、若者の「心」にも働きかけていました。若者に、この地域には活用できる資源があり、生計を立てていくことができると気づいてもらうのです。そうすることが、若者の流出を防ぎ、人身取引などの被害から子どもたちを守ることにつながります。2017年7月からの1年間で18~29歳の若者500人がプロジェクトに参加し、既にこのうち20人がこの地域の平均月収の150万ルピア(=約1.1万円)を稼ぎ、その他344人も収入を得始めていました。農業の傍ら、自ら得た収入で進学している子どもたちもいます。プランの活動の最終目的は地域の自立。今回の訪問を通して、地域を取り巻く変化をとらえながら、地域の自立に向けてチャレンジするプランの活動を見ることができました。
プロジェクトを通して育てた野菜に水やりをする女の子
ソエの活動地域では、3万人の子どもたちの出生登録が完了
笑顔が消えるその前に
どこに行っても、子どもたちの笑顔は眩しい。まっすぐな瞳と好奇心に溢れた笑顔を見ていると、いつまでもそのままでいてほしい、希望を失わずに大人になってほしいと願わずにはいられません。しかし、子どもたちが置かれている状況を知れば知るほど、それが簡単なことではないことに気づかされます。子どもたちが希望を持ち続けられるように、各地で進められているプランのチャレンジを是非応援してください。
チャイルドのアナの学校の子どもたち
サヘルさんからの手紙を読むチャイルドのアナ
あなたの寄付で、誰かの人生に可能性が生まれる。
公式SNS
世界の子どもたちの今を発信中