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途上国でベーカリーやレストランの開業を夢見る女の子たち

評議員
甲斐田 万智子

Asiaアジア

事務局より

(2018/10/25更新)

評議員の甲斐田万智子です。2018年8月にネパールの首都カトマンズで、プラン・インターナショナルが実施している「女の子の自立支援プロジェクト」を視察してきました。ネパールでは、人々が仕事を得られる機会が限られており、近年海外への出稼ぎが急増しています。その過程で人身売買の被害に遭う女の子や若い女性が少なくありません。プロジェクトでは、そのような危険な出稼ぎを防ぎ、ネパールの若い女性たちが尊厳のある仕事を得て自らの力で道を切り開いていけるよう支援しています。

トレーニングを受ける困難な状況にある女の子たち

カトマンズ周辺で実施されているプロジェクトは、女の子を対象に職業訓練を行い、就業/起業を支援しています。このトレーニングを受けられるのは、貧困家庭もしくは災害などさまざまな苦難を経験した15~24歳の女の子たちです。月収が3000ルピー(約4500円)以下、土壁の住居、家が一部屋のみなどの選定基準に基づいた10の質問によって情報を収集し、受講者を決めています。

写真:調理実習に参加していた女の子たち

調理実習に参加していた女の子たち

職業訓練の研修が始まったのは2018年の4月下旬。パートナー団体のSkill Nepal(スキル・ネパール)と提携し、3カ月のトレーニングを提供しています。コースには、「レストラン」と「ベーカリー/バリスタ」の2つがあり、参加者が自分で選べるようになっています。最初の2カ月は座学で理論を学ぶ授業と調理実習のトレーニング、最後の1カ月は習ったことを実践しながら学ぶ実地訓練(以下、OJT)です。 私が視察したときは、研修に参加した最初のグループ(22人)がOJTを受けている最中で、2つ目のグループ(38人)が訓練所となっているパートナー団体で調理実習をしているところでした。

研修に参加している一人、ニサさん(20歳)に話を聞きました。父親が亡くなったあと、14歳のときにヌワコット郡からカトマンズのスラム街に移り住んだそうです。母親がホテルの清掃員をして家計を支えています。以前から料理には興味があり、自立を目指してトレーニングを受けることにしたそうです。将来は中華料理店のコックになりたいという夢があります。

さまざまなスキルの習得と仲間との励まし合い

プロジェクトでは、基本的なコンピュータースキルも学べるほか、ライフスキルやソフトスキルの研修も受けられることが特徴です。
ソフトスキルには、問題解決能力、プレゼンテーション力、対人関係スキル、リーダーシップ、意思決定力、意欲のもち方、コミュニケーションスキルなどが含まれています。女の子たちと実際に会ってみて、これらのトレーニングが彼女たちのエンパワーメントに確実に効果をもたらしていることがわかりました。

写真:調理実習に参加していた女の子たち

調理実習に参加していた女の子たち

現在、OJTを受けている女の子3人(サンギタさん、タナーさん、ソビナさん)に、コースで役立ったことは?と尋ねると「意思決定力」「時間管理力」「自信の確立」を習得できたことという答えが返ってきました。また、サンギタさんは、危機的な状況に直面したときの対処の仕方を理解することができるようになったと答えてくれました。

OJTで働くことの責任も学ぶ

プロジェクトが評価される点のひとつは、適正な指導者がいるところでOJTを受けられることです。私が訪問したのは、OJTの機会を提供している「ママのカレー(Mama’s Curry)」というお店でした。そこで店長兼コックの役割を担っている女性ラマさんは、非常に献身的に女の子たちの指導に当たっていることがわかりました。

写真:OJTを受けているレストランの前で(筆者は右から3人目)

OJTを受けているレストランの前で(筆者は右から3人目)

レストランを始める前の27年間、学校を経営していた経験があるラマさんは、女の子たちに自覚を持たせることが、よい仕事や、その後の人生につながるという信念を持っていました。彼女のところでOJTを受けている上記3人の女の子たちにも、「100%の力で仕事に打ち込めば、100%のものが返ってくる」と教えているそうです。

エンパワーメントを通じて芽生えた自信

トレーニングに参加している女の子たちが口々に言っていたのは、「私はチャンスをもらえたけど、チャンスが得られていない女の子はほかにもたくさんいる。もっとトレーニングを受けられる女の子の人数を増やしてほしい」というものでした。
また、ほかの一人は「ネパールは女性の地位が低いけれど、こういうトレーニングを受けて、女性にも能力があることを示したい」と話していました。ネパールのプラン職員の話によると、トレーニングに参加した当初、女の子たちは、自己評価が低く、人生に迷いがある様子だったそうです。その後、トレーニングを通して彼女たちの内面に、自力で生きていくための術と自信が芽生え始めていることが顕著だそうです。
自分と同じように困難な境遇にある仲間と一緒にトレーニングを受け、互いに励まし合えることも、彼女たちのエンパワーメントにつながっています。女の子たちが自信をもち、自分で未来を変えていくのを後押しする支援の重要性を改めて認識しました。

注)参加者は、すべてのトレーニングを受ければ3カ月後に修了証を授与され、その後は政府が実施している共通試験のレベル1の試験(理論と実技を含む)を受けます。それに合格すると、雇用されるチャンスが高まります。

  • *CTEVT(Council for Technical Education and Vocational Training)

甲斐田 万智子(かいだ まちこ)

公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン評議員
文京学院大学教授。大学卒業後、日本ユニセフ協会に勤務。その後イギリス・サセックス大学大学院(IDS)に留学。ブータン滞在を経て、1992年からインドに4年間滞在し、児童労働問題に関わる。1996年に国際子ども権利センター(C-Rightsシーライツ)に入職。現在代表理事。2003年からカンボジアに4年滞在し、子どもの人身売買、性的搾取、児童労働の防止活動に携わる。タイに3年滞在後、2010年に帰国。2012年より文京学院大学教員。編著書「少女に対する暴力:『伝統』に挑む権利ベース・アプローチ」甲斐田万智子ほか編『小さな民のグローバル学:共生の思想と実践を求めて』上智大学出版(2016)、共著『SDGsと開発教育:持続可能な開発目標のための学び』(学文社、2016)、共著『児童労働撤廃に向けて―今、私たちにできること―』、アジア経済研究所(2013)、共著『国際協力のレッスン: 地域市民の国際協力論入門』、学陽書房(2013)など。

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