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保健とジェンダーの関係性を考える~イギリスとの比較から~

アドボカシーチーム
澤柳 孝浩

日本

更新)

アドボカシーチームの澤柳です。2018年4月に国立国際医療研究センターの助成を得て、理事長池上清子が携わっている3年間の共同研究に、アシスタントとして参加しています。プラン・インターナショナルからは、私を含む4人の研究班員が参加し、多国間比較(日本、バングラデシュ、イギリス、フィリピン)による「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」の研究を行っています。研究1年目は、保健目標(ゴール3:すべての人々に健康と福祉を)であるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(以下、UHC)と健康の社会的決定要因、とくにジェンダー、貧困、居住との関連を明らかにするのが目的です。

今回は、この研究で私が担当している部分について紹介します。

持続可能な開発目標(SDGs)の採択

2015年9月、SDGsが国連で採択されました。それ以前の国連開発目標であったミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)を踏襲しながらも、人間がこの地球で持続可能なスタイルで生きていくために解決すべき目標が網羅的にあげられており、途上国、先進国の隔たりのない普遍的な内容になっています。このSDGsを2030年までに達成することが大きなアジェンダとして世界の人々に課せられているのです

イギリスへ調査

調査開始から池上を中心に、定期ミーティングや文献調査を重ねて、イギリスにおける保健とジェンダーの結節点にある課題、たとえば妊娠中絶、避妊方法といった「性と生殖の健康と権利」に関わる問題、また性教育や「ジェンダーに基づく暴力」について調べてきました。それをもとに、2018年11月20~30日まで、池上、共同研究者の中島職員とともに、イギリス・ロンドンを訪問。「保健とジェンダー」 をテーマに、NGO職員、大学教員、医師、政府関係者など10人以上の関係者へのインタビューを実施しました。

写真:左から、池上、澤柳、中島職員

左から、理事長池上、澤柳、中島職員

このインタビューによって文献調査が肉付けされ、イギリスと日本の違いが鮮明になりました。まず、中絶や避妊方法に関し、イギリスでは女性の権利に基づいた考え方が根付いており、「女性の体のことを決めるのは、女性自身だ」ということが当然なこととして捉えられています。そのため、女性はパートナーの承認なく中絶を決めることができます。また、避妊方法の選択肢が豊富にあり、かつ無料で、女性が妊娠を希望するときに妊娠ができるようにサポートする体制があります。

写真:中絶を扱うNGO Marie Stopes(マリー・ストープス)の本部事務所

中絶を扱うNGO Marie Stopes(マリー・ストープス)の本部事務所

2020年から義務化される性教育の新しいカリキュラムや国をあげて取り組んでいるジェンダーに基づく暴力防止戦略も、女性と男性の力関係を変えようという意志が含まれていて、ジェンダー不平等の是正が国としての優先項目になっていることを実感しました。

写真:訪問先のNGO FPAが作成した若者むけの啓発リーフレット

訪問先のNGO FPAが作成した若者むけの啓発リーフレット

現地調査で見えたこと

ジェンダーに関わる課題を政治的に解決しているのは、個々の政治家たちです。女性を中心に党派を超えてジェンダー不平等に立ち向かっている国会議員たちがいます。イギリスにおける女性国会議員の割合は約32%で、まだまだ低いという認識がありますが、それでも日本の約10%と比べたら非常に健闘しています※1。当事者性のある女性議員の政治的なコミットメントには力があります。2020年までに性教育を義務化するという動きの背景には、まさに彼女たちの強いコミットメントがありました。

世界の政治家の75%は男性だというデータ※2もあり、政治における男女の不均衡がジェンダー不平等をもたらしている遠因であることは間違いありません。日本にはやるべきことが山積しています。先日の、世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ指数ランキングで、日本は110位でした※1 。抜本的に政策や制度を変えない限り、この順位に変化は望めないでしょう。2018年、日本は「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」を成立させ、衆参院議員選や地方議会選の候補者数を「できる限り男女均等」にすることを政党に課しています。この流れを加速させるためにも、人々のなかに女性の権利に基づいた考え方を根付かせながら、女性議員を増やしていく必要があります。

研究はあと2年続きます。2018年12月に国際保健医療に関する学会での発表を終え、これから論文の執筆も控えています。日本とイギリスにおける学びは、プランの活動国の状況を捉える上でも役立ちます。アドボカシー担当として、3年後、この研究の結果を有効活用して、よりよいアドボカシー(政策提言)をすすめていきたいと考えています。

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