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アジアにおける「災害に強い学校づくり」プロジェクトのご紹介
プログラム部
倉橋 功二郎
Asiaアジア
(更新)
プログラム部の倉橋です。プラン・インターナショナルがアジアで力を入れている「災害に強い学校づくり」プロジェクトについてご紹介します。プランは2012年以降、アジアの活動国14カ国において「災害に強い学校づくり」プロジェクトを実施してきました。
対象となった学校数は2500校を超え、累計60万人以上の子どもたちが支援を受けています。そのうち、日本のプランは、アジア7カ国でこのプロジェクトの実施を支援してきただけでなく、プランの職員やパートナー団体が受講できるオンライン研修プログラムの開発や、アジア地域内の専門家が学びを共有する仕組みづくりをサポートしてきました。
地震に備えた模擬訓練(バングラデシュ)
学校を安全にするための包括的枠組
プランだけでなく複数の開発支援団体が積極的に取り組んでいるこの活動の質の担保のために開発されたのが、自然災害がもたらす甚大な影響を考慮し、災害リスクを管理するためのグローバルな枠組「学校を安全な場所にするための包括的枠組」です。この枠組はプランを含む子どもの権利の向上に取り組む複数の団体により開発されました。
- *この枠組みは、国連防災会議において採択された「兵庫行動枠組」(2005年)や「仙台防災枠組」(2015年)といった目標にも合致しています。
前述のグローバルな取り組みを踏まえ、よりASEAN(東南アジア諸国連合)の現状に合うように開発されたのが、1)安全な教育施設の建設、2)学校を中心とした自然災害リスク管理、3)防災教育の3本の柱から成り立つ「学校を安全な場所にするための包括的なASEAN共通枠組」です。
この枠組はASEAN参加国政府およびこれらの地域で活動する市民団体が協働して2012年に策定したもので、プランは枠組の開発および関連事業の実施において、中心的な役割を果たしました。
また、ASEANに加盟していないバングラデシュやネパールなどのアジア諸国においても、同様の枠組みの策定を政府に働きかけつつ、支援事業を行っています。
教育省を招いてのミーティング(ネパール)
アジアにおける自然災害と学校
地震、津波、洪水、土砂崩れ、干ばつなどが毎年発生しているアジアに住む子どもたちにとって、自然災害は決して珍しいことではありません。世界中で自然災害に見舞われた人々の8割以上がこの地域に暮らしています。
これらの自然災害は、学校やそこに通う子どもたちに多大な影響を及ぼします。命の危険にさらされるだけでなく、住む家を失い、家族と離れ離れとなってしまう子どもたちも少なくありません。また、多くの地域では学校を避難所として利用するため、その間子どもたちは学ぶ機会が奪われてしまいます。
学校防災委員会で話す女性メンバー(バングラデシュ)
家族が被災することで、間接的に子どもたちが被る影響も無視することはできません。災害のため就労や収入を得る機会を失った家庭では、子どもを学校に通わせることをあきらめる傾向にあります。また、大規模な自然災害が発生したあとには、子どもたちが人身取引、児童労働、性暴力などの被害に遭うリスクが急激に高まります。
女の子と自然災害
女の子や女性は、男の子や男性とは異なる形で自然災害を経験します。これは、社会規範や個々人に期待される伝統的役割が男女で異なることに起因します。そのため、日本を含めたアジアの多くの社会において、防災の取り組みや被災時の対応を取り仕切るのは男性であり、女性には意思決定の機会が十分に与えられず、補助的な作業を当てがわれがちです。
パートナー団体を対象とした研修の参加者(バングラデシュ)
また、男性と比べて身動きが取りにくい衣服を女性が着用している社会では、洪水などで女性が命を落とすことが多くあります。女性に対する十分な聞き取りを行わないまま災害対策計画を策定するため、女の子や女性のニーズに沿った計画が用意されていません。被災時に、早すぎる結婚や性暴力、人身取引に関連するリスクが高まるのも、女の子に特有の傾向です。
積極的に女の子たちの声を聞き、防災や災害対応スキルの習得を支援し、能力の発揮を妨げる社会規範そのものを変えていくように働きかけることで、個々人が適切に対応できるようになるだけでなく、コミュニティ全体の災害対応能力を高めることにつながります。
多くの子どもたちが安心して学べる環境づくりを目指して
学校における防災活動として始まった「災害に強い学校づくり」プロジェクトですが、この取り組みはもはや災害時のみの限定的なものではなく、あらゆる場面で全ての子どもたちが安心して勉強することのできる包括的な環境整備を目指す機運につながっています。プランは、地域の住民や行政と連携し、他団体とも手を携えてこの活動に力を入れています。近年では障がいのある子どもたちや、性的少数者の子どもたちに対する配慮も強化し、プロジェクトの更なる進化、発展に貢献したいと考えています。
子どもたちが作成したコミュニティの防災地図(ネパール)
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