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自分たちが変える未来!~ラオス~
プログラム部
長島 千野
アジア
ラオス便り
(更新)
プログラム部の長島です。2016年からプラン・インターナショナルがこの地域の中学校と高校を対象に実施している「学校でのジェンダー平等促進」プロジェクト※を担当してきました。
プロジェクト開始から3年、地域の人々の考え方や行動に変化を起こしているモン族の子どもたちの取り組みを紹介します。
自分たちのコミュニティを変える
プロジェクトも3年目を迎えたあるとき、モン族の生徒が多い学校の子どもクラブリーダーから、「子どもの中途退学が多いモン族の村で啓発劇をやり、保護者への啓発をしたい」という提案がありました。そこで教師とプロジェクトスタッフが準備を手伝い、村で啓発イベントを行うことになりました。
畑仕事と夕食を済ませた夜が一番人の集まる時間ということで、イベントの実施は夜に決まりました。娯楽が少ない農村地域の村のため多くの人が集まり、イベントはラオス語が分からない村人向けに、おもにモン語で行われました。
モン族の村でのイベントの様子
子どもクラブリーダーたちは、子ども、特に女の子の中途退学、アルコール薬物依存、暴力について啓発するための歌や劇を披露。劇のあとは質疑応答があり、観客も参加して劇の内容について話します。モン族の子どもクラブリーダーたちは、保護者たちが参加し発言する姿をとてもうれしそうに見入っています。モン語がまったくわからずとも、子どもクラブリーダーたちの表情から、自主性を持ち楽しんでいる様子が伝わってきます。
子どもクラブリーダーたちが演じた劇
劇に出て役を演じた子どもクラブリーダーのスティダさん(中学校1年生)は「子どもの教育を支援するように親に訴える『私にはまだ夢がある』というタイトルの劇が一番好きです」と答えてくれました。また、劇の台本を書いたカビーさん(中学校3年生)は両親がアルコールや暴力が原因で離婚しているそうですが、お母さんとお姉さんがイベントに来ていて、私に紹介してくれたのはとてもうれしかったです。
子どもクラブリーダーのスティダさん(中学校1年生)

イベントを終えたあとの子どもクラブリーダーたち
モン族コミュニティを取り巻く背景
ラオスには50の民族が存在し、多様な文化や伝統がある一方で山岳地域に住む少数民族は社会的に弱い立場に置かれています。なかでもモン族の子どもたちは多くの問題に直面してきました。
ジェンダー平等の意識が低く、暴力への許容が高いため、親はあらゆる面で息子を優遇し、女の子は学校を退学し、早くに結婚するという傾向があります。また、モン族に限らず地域ではアルコールや薬物の乱用、その影響で起こる家庭での暴力も大きな問題で、生徒が学校に来なくなり家庭訪問をしたら薬物依存になっていたという事例もあります。加えて中学校、高校に進学しても公用語であるラオス語が上手く話せず、ほかの生徒からからかわれ、苦手意識から積極的に発言できないモン族の子どもも少なくありません。
子どもたちが力を発揮できるように
プロジェクトではこうした問題に対し子どもたち自身が働きかけをできるようにするため、子どもクラブを各学校に結成し、トレーニングを行いました。ジェンダー平等やジェンダーに基づく暴力、コミュケーション、リーダーシップ、チームワーク、啓発のための演劇などのトピックを中心に行い、子どもクラブのリーダーたちが知識とスキルを得るサポートをしました。
トレーニングで話し合った内容をまとめる子どもクラブリーダーと教師
トレーニングを始めた1年目は、ラオス語がよく理解できなかったり、恥ずかしくて積極的に活動に参加できなかったりする様子の子どもたちが多く、進捗が危ぶまれたときもありました。それが1年後、2年後と活動を続けるにつれてその学校の子どもクラブリーダーがどんどん自信を持ち積極的になっていく姿を目の当たりにすることができました。
次世代に変化を
子どもクラブリーダーの一人チャンディーさん(中学3年生)は、プロジェクトの2年目に男女が平等であることを知り、自分の考えは変わったけど、親に話しても信じてもらえませんでした。それが3年目に入り何度も親に話しているうちについに信じてもらえるようになった、高校進学も支援してもらえるようになったと教えてくれました。
トレーニングを終えた子どもクラブリーダーと教師(2017年)。まだ幼かった生徒たち
こうして子どもたちの意識が変わることにより、自分たちで変化を起こすようになりました。人びとの意識や行動が変わるのには長い年月がかかりますが、私たちのような活動により次世代の社会が少しずつ変わっていって欲しいと願います。
- ※このプロジェクトの寄付の募集は終了しています。ご支援くださいました皆さま、誠にありがとうございます。2019年10月末にウェブサイトにてプロジェクト報告をいたします
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