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体罰は文化?子どもたちの声に耳を傾けて~ジンバブエ~
プログラム部
村松 良介
Africaアフリカ
(更新)
プログラム部の村松です。2019年よりジンバブエに駐在し、中央部にあるクエクエ活動地域とエプワース活動地域で実施している「暴力のない中学校づくり」プロジェクトを担当しています。
外務省NGO連携無償資金と皆さまからのご寄付によってすすめられているこのプロジェクトは、13~18歳の子どもや教師、コミュニティの人々を対象に、学校施設の整備と体罰に代わる「褒めて伸ばす教育法」を導入して、安心・安全な学校環境をつくることを目指しています。
ジンバブエの学校と体罰
ジンバブエでは、男女問わず広く体罰が横行していました。特に2019年までは、男の子に対する学校での体罰が合法で、校長先生が6回まで「適度な強さ」で体罰をしても良いことになっていました。私が活動地域内にある中学校を訪問した際にも、校長先生が動物の革でできた、黒くて太い鞭を示しながら「これを見せるだけで、子どもたちは言うことを聞くようになるのだよ」と話していました。
プレハブの教室で学んでいる生徒たち
教師たちの葛藤
本プロジェクトの開始後間もない2019年4月、最高裁の判決で学校での体罰は「違憲」となりました。
この判決を受け、教師たちの間には体罰を突然行えなくなり、子どもたちの規律をどう守ったらよいか分からなくなったと、動揺が広がりました。
現状を把握するために行った、体罰に関する調査で寄せられた以下の意見からも、教師たちの葛藤が読み取れます。
- なぜ一人の生徒と時間をかけて話をしなければならないのですか?そんな時間はありません。子どもたちは叩かれて育ってきたのだから、鞭を使えばすぐに言うことを聞いてくれるではありませんか
- 確かに、教育省には体罰は違法だと伝えられました。でも、体罰なしに規律をどう保ったらよいのでしょうか
- 子どもをルールに従わせるためには、鞭が必要なのです。それが私たちに根付いているものです
調査の過程でよく出てきた議論は「体罰は文化」ということです。
子どもたちの声に耳を傾けて
一方で、子どもたちを対象に行ったグループ・ディスカッションでは、子どもたちから率直な意見が聞かれました。
- 悪いことをしたら、体罰を受けるべきだと思います。でも、やりすぎは良くないと思う
- 機嫌が悪いと、すぐに殴ってくる先生もいます
- 叩かれたら、ショックで授業どころじゃないです
- 痛いし、辛い。
- 何も悪いことをしてないのに叩かれて、もう学校に行きたくなくなりました
体罰についての意見を寄せてくれた生徒たち
体罰が日常化している環境の中では、子どもたちにもいろいろな考え方があることが分かった一方で、体罰が子どもたちの心身に及ぼす影響は、計り知れないものであるという事実は揺るぎないものとして私の心に残りました。
子どもたちの声に耳を傾け、向き合い、周りと一緒に対話を続け、何が最善なのかを考え続ける。そのような粘り強い活動をすすめていくなかで、子どもたちの声が届き、子どもたちにとってやさしい文化が醸成される。
そんなビジョンを描きながら、これからも日々活動を続けていきます。
マニュアル開発に携わった教育省とコンサルタントのメンバーと
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