ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
サイトのご利用案内(i)へ

「見えない課題」を可視化する調査研究~アドボカシーの取り組み~

アドボカシーグループ
澤柳 孝浩

事務局より

更新)

アドボカシーグループの澤柳です。社会をよりよくするための提言活動を意味する「アドボカシー」は、プラン・インターナショナルの大切な活動のひとつです。私は主にユースとともにすすめる提言活動や、調査研究を担当しています。

「見えない課題」を調査で明らかに

プランはさまざまなジェンダー課題の解決にむけて、女の子の教育支援や早すぎる結婚の防止、女性性器切除(FGM)などのジェンダーに基づく暴力の撤廃を目指すプロジェクトを、世界各国で実施しています。一方で、調査研究によっていまだ見えていない課題を明らかにし、状況の改善を訴える「アドボカシー」も重要な活動の一部です。

例えば、昨今話題になった日本における「生理の貧困」は、まさに見えていなかった課題でした。プランが2021年に実施した「日本のユース女性の生理をめぐる意識調査」では、先進国と称される日本においても、生理用品の購入をためらう女の子や女性がいることが明らかになりました。この調査結果を受けて、自治体のなかには、追加調査を行ったり、備蓄している生理用品を無料配布したり、困難な状況にある女性の状況改善にむけて行動を起こすところも出てきました。このような社会の変化につなげるためにも、調査に基づいた報告書の発表などを通して、その課題を解決することの重要性を社会に広く提起することがとても大切なのです。

コロナ禍における精神的健康の共同調査

昨年、国立国際医療研究センターと共同で、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が日本の人々の精神的健康に与える影響」について調査を行いました。

写真:SOME INPACTS OF COVID-19

コロナ禍において、「若年女性の自殺件数が上昇傾向にある」、「ドメスティック・バイオレンスの件数が増えた」というニュースを耳にした方も多いことでしょう。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が、人々の経済面、生活面、精神面に複合的な影響を及ぼし、こうした問題の増加につながっているとの指摘もありました。

そこで、日本のなかでも、より弱い立場に置かれた人々への影響を調べるため、「相対的貧困」の状況にある1000人を対象に、「コロナ禍における精神的苦痛」に関する調査を実施しました。その際には、ジェンダーやその他の属性によって、精神面への影響に差異が生じるかにも着目しました。

  • ※世帯所得を世帯人数の平方根で割った値が122万円に満たない状況

調査から見えてきたこと

オンラインで実施したアンケートには、重度の精神的苦痛を指す「SPD(Serious Psychological Distressの頭文字をとったもの)」との関連性を見るための設問を設けました

  • ※アメリカのKesslerによって開発された定型の設問を使い、回答によってスコアリング。スコアが13以上になった回答者は精神的な苦痛を抱えていると定義

分析結果から、1000人中179人(全体の17.9%)が、重度の精神的苦痛を感じていることがわかりました。また、20~30代の若年層や、社会的なつながりが薄いと感じている人、コロナ禍において収入が減少し食事や生活が変化した人にその傾向が高いことも分かりました。さらに、ジェンダー別、年齢別の分析を行ったところ、40歳以上の女性たちにおいて精神的苦痛と相関を示す項目がもっとも多く見られました。特に子育て中の女性の場合、「大切な意思決定に参加できない」ことが精神的苦痛を感じることと相関していました。子育てを含むケア労働は女性に偏りがちであることがしばしば指摘されますが、そのような不均衡が、精神的健康にも影響を及ぼしている可能性が示唆されます。

ジェンダー平等を達成するために

調査研究において重要なことは、ジェンダーや年齢、職業といった属性にも注目して分析を行うことです。それにより、属性ごとに異なる課題や要因が見えてきます。それぞれのニーズを考慮した政策を立てるためにも、行政機関はジェンダー、年齢をはじめとする属性ごとのデータ収集、分析、対策を講じていく必要があります。2022年6月に日本政府が発表した「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2022」には、男女の置かれている状況を正しく把握するために、「ジェンダー統計の充実」を図ることが盛り込まれています。こうした動きを推進することが、困難な状況にある人たちが直面する課題を明らかにし、政策に反映させていく一歩となります。

今後も、アドボカシーグループでは調査研究活動を強化しながら、ジェンダー平等の達成にむけ、社会をよりよくするための「政策の改善」にむけた提言活動に取り組んでいきます。

あなたの寄付で、誰かの人生に可能性が生まれる。

寄付をする

  • 説明会 「プラン・ラウンジ」
  • イベント・キャンペーン カレンダー
  • プラン・ブログ
  • 寄付金控除について
  • マイ・プラン・ページ
  • 国連グローバル・コンパクト

メールマガジン

プランの活動や最新情報を
お送りしています。

ご登録はこちら

公式SNS

世界の子どもたちの今を発信中

  • lineアイコン
  • Instagramアイコン
  • YouTubeアイコン