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危機的状況にある教育に変革を!~国連教育変革サミットが初開催~
アドボカシーグループ
澤柳 孝浩
Japan日本
事務局より
(更新)
アドボカシーグループの澤柳です。第77回国連総会に合わせて2022年9月に「教育変革サミット(Transforming Education Summit )」が開催されました。プランは他団体と協働し公式イベントを催し、ジェンダー平等で包摂的な教育の促進を働きかけました。
「国連教育変革サミット」とは?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による経済状況の悪化によって各国で教育分野への資金拠出が減少していることに加え、ウクライナやその他の国々で長引く紛争が、子どもや若者たちから教育の機会を奪っています。さらに、多くの国や地域では気候変動の影響による自然災害や食料危機が発生し、教育の継続が困難になっている女の子たちが増えています。今回の「教育変革サミット」は、急速に変化する世界において、子どもや若者たちが変化に対処しうるスキルや知識を身につけられるよう従来の教育を変革していかなければならない、という強い危機感のもと開催されました。
プランを含めた92団体が提言に賛同
緊急下の教育支援について、プランを含む92団体が提言
サミットに先立ち、プランも含めた92団体が、世界の政治リーダーにむけ提言を発表し、紛争などの危機が長期化するなか、「人道」「開発」「平和構築」という各段階におけるすべての支援において、教育支援をより強化することが必要であることを訴えました。緊急時には教育の持つ価値は見落とされがちですが、「保健」「水と衛生」など他分野と連携させながら、教育支援にも力を入れる必要があります。学校給食のプログラムはその一例です。また、支援や連携を促進するためには、教育分野へ資金を拠出する必要があります。
「ジェンダー・トランスフォーマティブ教育」の公式イベントを開催
「モビライゼーション(動員)・デー」と名づけられたサミット初日の9月16日、プランは国連女子教育イニシアティブ(UNGEI)などと協働し「ジェンダー・トランスフォーマティブ教育 」に関する公式イベントを開催しました。
ジェンダー・トランスフォーマティブ教育とは
教育システムのあらゆる部分(政策、教授法、コミュニティへの関与など)を活用し、ジェンダー間の力関係、ジェンダー規範を再考することで、ジェンダー不平等をもたらす原因に批判的な意識を高めることによって、固定観念、態度、規範、態度を変革しようとするものです。これは、プランの途上国における長年の経験を通じて培われた教育プログラムです。
教員は変革の力強い担い手
女の子、女性の権利を推進するためには、教育へのアクセスを改善するだけでは不十分で、ジェンダー平等で包摂的かつ安全な教育の提供が不可欠です。そのためには、政治リーダーが、ジェンダー平等を志向する教育政策を作り上げること、教育現場における男性優位の考え方や男女二元論といった有害なジェンダー規範を変えていくなど、さまざま取り組みが必要です。
プランCEO (右から2人目)
イベントにはプランのCEOスティーブン・オモロも登壇し、ジェンダー・トランスフォーマティブ教育の導入にむけて、まずは、他者を尊重した健全な人間関係の構築を促し自分の体のことは自分で決める権利があることを学ぶ「包括的性教育」※の実施が必要であることを指摘しました。
- ※ユネスコの定義では、「包括的性教育」とは「妊娠、避妊、性感染症という限定的な生殖教育だけでなく、人間の尊厳や他人を尊重することなどを網羅的に学習するための教育」を指します。セクシュアリティ、人権、お互いが幸せである対人関係、価値観の尊重、暴力(性暴力を含む)の防ぎ方、LGBTIQ+の人々への偏見や差別をなくすことも、包括的性教育に含まれます。
世界45万人のユースによる「ユース宣言」
未来を担うユースが求める世界を目指すためには、教育をどのように変革していくのかをユースとともに考えることが必要です。サミット最終日の9月19日には、世界中の国々から約45万人のユースが参加した「ユース宣言」が発表されました。宣言には25項目からなる提言が含まれ、「ジェンダー・ステレオタイプから解放された公平な教育をもたらすには、ジェンダー・トランスフォーマティブな教育が必要であること」、また「包括的性教育や多様性を尊重したインクルーシブ教育を導入すること」などを訴えています。
教育の未来のための第一歩
3日間にわたったサミットは、グテーレス国連事務総長による声明を成果文書として発表し閉幕しました。教育を変革することは容易ではありませんが、世界の政治リーダー、各国政府、NGO、国際機関、企業、ユースが集まり未来を志向する教育を真剣に考えたことは、大きな一歩でした。国連総会の一般演説で、岸田首相が「教育は平和の礎である」と延べ、自身が「教育チャンピオン」に就任したことを報告しました。今回のサミットの成果を踏まえ、日本も世界のリーダーたちとともに、教育の変革に取り組んでいくことを期待します。
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