G7伊勢志摩サミットで女性と女の子の権利が主要テーマに｜国際NGOプラン・インターナショナル　寄付・募金で世界の女の子を支援

G7伊勢志摩サミットで女性と女の子の権利が主要テーマに

2016年5月26日～27日、三重県の志摩賢島で「第42回主要国首脳会議（G7伊勢志摩サミット）」が開催されました。日本・アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・カナダ・ロシアの首脳および欧州連合（EU）の理事会議長と委員会委員長が参加して毎年開催されるG7サミットは、国際社会が共通して抱える地球規模の課題を主要テーマに掲げ、その解決に向けた議論がなされます。今回のサミットは、2015年9月に国連で「持続可能な開発目標（以下、SDGs）」が採択されてから初めてのサミットとなりました。プランは、日本を始め、参加国がSDGs達成に向けてどれだけ強い政治的意志を明示するかを注目しました。

「女性」、「開発」の主要議題について提言

2016年のサミットの主要議題には、「世界経済・貿易」・「政治・外交問題」・「気候変動・エネルギー」・「開発」・「質の高いインフラ投資」・「保健」に加えて、「女性」が選ばれました。プラン・ジャパンは特に「女性」と「開発」の議題を議論する際に、途上国の女の子が直面する課題にも焦点を当てた議論を日本政府が主導するよう提言書を提出。「女子中等教育の推進」、「SDGs目標5：ジェンダー平等の達成に向けた取り組みの強化」として、早すぎる結婚の撲滅、学校内外でのジェンダーに基づく暴力の根絶を提言しました。

プランの提言書

首脳宣言および成果文書に対するプラン・ジャパンの見解

首脳宣言および成果文書に対するプランの見解は以下の通りです。

【以下の点を評価します】

「女性」に関する文脈の中で、「女の子」についても言及されていること。
首脳宣言の中で、女性および女の子のエンパワーメントとジェンダー平等を推進することの重要性が認識され、SDGsの達成やすべての政策分野において、ジェンダー主流化を進めることが明記されたこと。
共通の指導原則として、ジェンダー平等と女性・女の子のエンパワーメントを達成するための「女性の能力開花のためのG7 行動指針」が成果文書として示されたこと。
「女性の能力開花のためのG7 行動指針」の中で、学習環境の改善と女の子への質の高い教育に対する障壁への対処が明記され、これまでの初等教育へのアクセスを向上させる取組を基礎として、女子生徒・学生が質の高い中等教育、高等教育又は職業教育を受けることを阻害する課題や障害に対処していくことが約束されたこと。
「女性の能力開花のためのG7 行動指針」の中で、女性や女の子に対する教育を低く評価する差別的な社会規範や、早期妊娠、HIV/AIDS、ジェンダーに基づく暴力、強制的な早期・強制結婚や女性性器切除等の有害な慣行等、女の子の質の高い教育に対するその他の根深い障壁への対処に取り組むことが明記されたこと。

【以下の点が課題です】

女性と女の子のエンパワーメントとジェンダー平等の達成に向けた「女性の能力開花のためのG7 行動指針」を実行するための必要な資金コミットメントがなされていないこと。

伊勢志摩サミット直前の女子教育イベントでプランの取り組みを紹介

G7を目前に控えた2016年5月17日には、上智大学にて、「Sophia Thinking of the World and the Future Pre G7 Week」の一環として、上智大学、JICA、「教育のためのグローバル・パートナーシップGlobal Partnership for Education：以下GPE」の共催による「教育サミット2016 教育による女子・女性のエンパワーメント」が開催され、プランから馬野職員が登壇し、パキスタンでの女子コーラン学校への公教育導入の取り組みの事例発表を行いました。基調講演には「グローバルな教育機会のための資金調達に関する国際委員会」のメンバーを務める小池百合子衆議院議員や、GPEの最高経営責任者のアリス・オルブライト氏が登壇。女の子への教育が、健康改善、個人の収入向上、貧困の連鎖を断ち切り、SDGs達成に最も重要な役割を担っていることが再確認されました。会場には約130人が参加し、女子教育への投資の重要性について理解を深める機会となりました。

イベントの様子

登壇する馬野職員

G7サミットにおいて、女性や女の子の権利に焦点が当たり、国際社会がジェンダー平等を進めるための支援を強化する具体的な方策が盛り込まれた成果文書が採択されたことを歓迎します。今後もこれらの政策がしっかり実施され、女性と女の子の権利が守られるように日本政府への働きかけを強化していきます。