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【第4報】ベイルート爆発から1年 遠い復興と子どもたちの心のケア~レバノン~

お知らせ

(2021/08/10更新)

2020年8月4日、レバノンの首都ベイルートで大規模な爆発が起こりました。この爆発により200人以上が亡くなり、6500人以上が負傷、何十万人もの人々が家や仕事を失いました。学校や医療施設、住宅や工業地帯など、都市の重要なインフラが被害を受けましたが、市街地の広大な範囲がまだ完全には再建されていません。 プラン・インターナショナルは、被害発生直後からレバノン国内のパートナー団体と協力し、食料や衛生キット、生理用品、おむつなどの必需品を含む、緊急物資を配布。さらに、子どもたちへの心理社会的ケアに重点を置いた支援活動に取り組んできました。
被害直後の港湾地区の様子

被害直後の港湾地区の様子

大規模爆発から1年、2つの家族へのインタビューをもとに、爆発が子どもたちにもたらした心理的な影響とプランによる支援、そして人々が現在直面している課題についてお伝えします。

マニサンさん(母親)、娘のセリーヌさん(17歳)、サマンさん(15歳)

爆発のすさまじさ 子どもたちのトラウマに

爆発が起こった瞬間、母親のマニサンさんは「戦争が始まった」と思ったといいます。大きな爆発音とともに窓やドアのガラスがあちこちで砕け散り、気づくと娘のセリーヌさんが地面に倒れ、ガラスの破片にまみれていました。「爆発の後、最初の数週間は眠れず、物音で怖くて目が覚めていました。ドアの開け閉めの音にさえ恐怖を感じ、飛び上がっていました」とセリーヌさんは直後の様子を話してくれました。

セリーヌさん

セリーヌさん

専門家によるケアで心の回復を促す

3人の子どもたちが心に傷を負っていることに気づいたマニサンさんは、ソーシャルメディアでプランが子どものための心理社会的サポートを行っていることを知り、プランのパートナー団体に連絡を取りました。その後、子どもたちは2カ月間で9回の心理社会的ケアのセッションに参加し、起こったことを徐々に受け入れられるようになりました。

セリーヌさんは、セッションの様子を次のように説明してくれました。「私は妹と弟と一緒に、セッションに参加しました。セッションの目的は、爆発のショックを克服することでした。大切なのはショックを取り除くのではなく、むしろ受け入れることだと教わりました。大きな音や、花火やお祭りの音など、爆発を連想させるものを怖がらないようにするためです」。 妹のサマンさんも、「専門家は、私たちの不安やショックは正常なことだと教えてくれ、それを受け入れ、立ち直る手助けをしてくれました。また、絵を描くセッションや瞑想も役に立ちました。部屋の雰囲気はとても落ち着いていて、安心して過ごすことができました」と話します。
セッションで取り入れているお絵描きの様子

セッションで取り入れているお絵描きの様子

生活必需品の価格が急騰 「生理の貧困」も課題

母親のマニサンさんは、この1年を振り返り、次のように語りました。「国の経済危機に爆発事故が重なり、私たち一家の状況はさらに厳しいものとなりました。今一番の問題は、食料や日用品の価格が急騰し、生活必需品の入手が難しくなっていることです。なかでも、娘2人と私の生理用品の購入には月収の4分の1の費用がかかり、それを捻出するのは容易ではありません※。家計は苦しいですが、娘たちには将来自立できるよう、勉強を続けさせてあげたい。それが私の希望になっています」。

子どもたちに教育を続けさせたいと語るマニサンさん(中央)とセリーヌさん(左)、サマンさん(右)

子どもたちに教育を続けさせたいと語るマニサンさん(中央)とセリーヌさん(左)、サマンさん(右)

  • ※プランとレバノンのNGO「Female」が共同で実施した調査では、国内の女の子と女性の76%が、価格上昇により生理用品の購入が困難と報告され、生理の貧困の状況が浮き彫りになりました。

ラニアさん(母親)、娘のヌールさん(10歳)、クルードさん(5歳)

今も子どもたちの記憶に残る「あの日」

爆発が起こったとき、母親のラニアさんは2人の娘、ヌールさんとクルードさんにシャワーを浴びさせていました。「爆発の瞬間、私はシャワーを終えたクルードに服を着せていましたが、ヌールはまだ水で遊んでいました。突然家の中で激しい揺れを感じ、周りのものが爆発したような気がしました」と語るラニアさん。恐怖で泣き叫ぶ娘たちを連れ、通りに飛び出しました。姉のヌールさんは「すべてが崩れ落ち、どこかから高い音が聞こえていました。あちこちでほこりや水が噴き出していたのを覚えています」と当時の様子を教えてくれました。

ヌールさん

ヌールさん

心理社会的ケアと安全な住居で再スタートを支援

爆発からしばらくたったある日、ヌールさんに異変が表れました。爪を噛んだり、髪の毛を抜いたりするようになったのです。心配した母親のラニアさんは、近所の公園で支援活動を行っていたプランのパートナー団体に相談。2人の娘たちは週に2回、8カ月間にわたる心理社会的サポートを受けることになりました。また、住んでいる建物が安全ではないと判断されたため、家族は安全な住居に移るための支援も受けました。新居の最初の6カ月間の家賃はプランのパートナー団体が負担し、新しい家具も提供。一家は爆発の中心地から離れた場所で、安心して生活を再スタートさせることができました。

爆発によって市街地の住居に多数の被害が生じた

爆発によって市街地の住居に多数の被害が生じた

ラニアさんは、「娘たちは心理社会的ケアのセッションを通じて、彼女たちが感じたショックと、再び同じことが起こるのではないかという不安に対処する方法を教えてもらいました。しかし、下の娘のクルードは、あの日のことを思い出すと泣いてしまい、簡単にはいきませんでした。安全な場所に引っ越し、長期間にわたり心のケアのセッションを受けたことは、どちらも娘たちにとって大きな助けとなりましたが、あのときの恐怖を完全に忘れることは難しいようです」と話しました。
ヌールさん(右)と妹のクルードさん(左)

ヌールさん(右)と妹のクルードさん(左)

世界最悪レベルの経済危機に瀕するレバノン

深刻化する経済不況が人々の暮らしを圧迫

爆発前から継続的な政情不安と銀行の破綻により、経済不況に陥っていたレバノン。爆発事故が追い打ちをかけ、状況がさらに悪化しました。世界銀行が2021年5月に発表した報告書では、レバノンの経済破綻は「19世紀半ば以降で世界最悪レベル」と指摘されています※1。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、保健・医療サービスや民間企業が圧迫され、多くの企業が閉鎖を余儀なくされています。こうした厳しい社会経済的状況から、成人の40%が失業、170万人が貧困ライン以下での暮らしを強いられています。また、食料の入手に苦しむ人々の数は84万人以上にのぼっています※2
  • ※1 ※2 Lebanon Economic Monitor, Spring 2021: Lebanon Sinking (to the Top 3)

生活困窮のなか、子どもや思春期の女の子へのリスクが増大

国内では、食料品から生理用品まで、あらゆる商品の価格が急騰。爆発前は1米ドル1500レバノン・リラでしたが、現在は22000レバノン・リラと、通貨の価値がかつてないほど下落しています。最近では、市販の医薬品や燃料への補助金が打ち切られ、レバノン人や国内に住む難民の家族、コミュニティにますます大きな負担がかかっています。苦しい生活が続くなかで、子どもや思春期の女の子たちは、暴力や虐待、搾取の危険にさらされています。ユニセフの調査によると、10人に1人の子どもが労働を強いられ、3人に1人が過去1カ月の間に空腹のまま寝なければならなかったり、食事を抜いたりする経験をしていました
  • ※ Lebanon : Children’s future on the line
生活困窮のなか、子どもや思春期の女の子へのリスクが増大
プランは今後も子どもの保護に取り組むとともに、国際社会に対し、レバノンへの資金援助を拡大し、弱い立場にある子どもや思春期の女の子たちを守るプログラムを優先的に実施するよう求めていきます。
  • ※ レバノン ベイルート爆発に対する支援活動については、日本での寄付募集は行っておりません。

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