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拡大する「サヘル危機」に巻き込まれる子どもたち~ブルキナファソ~
世界の各地から
(更新)
サヘル危機
アフリカのサハラ砂漠の南縁に沿って、紅海から大西洋まで広がるサヘル地域。2018年以降、この地域での武装勢力による一般市民への襲撃が相次ぐようになり「サヘル危機」と呼ばれています。ブルキナファソ、マリ、ニジェールを中心に、新型コロナウイルス感染症拡大下においても武装勢力の活動は止まることがありません。襲撃を逃れ避難する各国の国内避難民の数は200万人※に達し、その半数以上をブルキナファソが占めています。急激に高まっている危機であるにも関わらず、国際社会の関心が低く、いまだ適切な支援が届けられずにいます。
学校に通い始めたイシドールさん
教育現場をも標的にする武装勢力
武装勢力は学校をも標的とし、教師が暴行を受けて殺害されたり、学校や教育機関が破壊されたりしています。治安の悪化により、もっとも過酷な人道的危機にある中央北部地域だけで約300、国全体では2100以上もの学校が2020年12月までに閉鎖されています。
突然の襲撃、そして避難
プランと国際機関が協力し設置した避難所の一つの内部
ブルキナファソ北部で過激化する武装勢力の襲撃から逃れ、多くの人々は中央北部地域のカヤへ避難してきています。13歳のイシドールさんも襲撃を逃れて故郷の村からカヤに避難してきた一人です。避難までの経緯を話してくれました。
イシドールさんの父親はキリスト教の伝教者でしたが、2年前教会でのミサの最中に、武装グループの襲撃に遭い、父親を含む6人が殺害されました。
「いつものように日曜日、ぼくは教会でお祈りをしていました。すると武装した男たちが来て、銃を撃ちだしたのです。彼らがお父さんを殺すところを見ました。ぼくはお母さんとカヤに避難しましたが、この2年、恐怖と苦痛のなかで暮らしてきました。目を閉じると、いつもお父さんの顔が浮かんできます」と言います。
プラン・インターナショナルが支援する学校へ復学
復学を喜ぶイシドールさん
イシドールさんは今、家族とカヤの小さな賃貸住宅に住んでいます。彼のおじがプランの支援する学校へ入学させました。イシドールさんが学校に通う生活に戻るまで2年かかりました。今ようやく将来にむけて勉強を再開したところです。「やっとぼくは学校にまた行けるようになったんだ」と笑顔を見せます。
イシドールさんの母親は、イシドールさんが父親の死を乗り越えるのにどれだけ苦しんだか話してくれました。「イシドールは夜、眠ることができませんでした。頭の中にはいつも父親のことがあったからです。このトラウマをいつか乗り越えることができるのだろうか、とずっと心配していました。幸いなことに、また学校に行くことができましたが、私はときどき先生に、イシドールが学校で順調にやっているかどうかを聞きに行っています」
学校を取り巻く環境
イシドールさんの学年には多くの国内避難民の子どもを含む114人の生徒がいます。そのほとんどがイシドールさんと同じように過酷な経験をしています。プランは教師たちに、心に傷を抱えた子どもたちに精神的なサポートができるよう研修を提供しています。
しかし、急激に増加した避難民の子どもたちで膨れ上がった大人数での授業は難しく、もっとトレーニングが必要と考える教師もいます。「多くの国内避難民の子どもたちは精神的に傷ついており、何年も学校に通っていません。一年を通じて編入者があり、途中からでも学校にうまく溶け込んでいかなければなりません。大変なことです」と話します。
プランの支援
プランが支援する学校
教師へのトレーニングとあわせて、緊急下の教育を支援するグローバルファンド「教育を止めない(Education Cannot Wait)」からの基金を得て、プランは生徒の受け入れを拡大するための追加教室の建設や学校に戻る子どもたちへの文房具セットを提供しています。
イシドールさんは今も父親の死を受け入れられず苦しんでいますが、学校に通い始めたことで軽減しつつあります。
「いつか牧師になって傷ついた人たちのために祈り、癒す手助けをしたい、とイシドールが言っていました」と彼の母親が話してくれました。
「サヘル危機」では、武装勢力が民間人を襲い、学校に通う子どもたちも攻撃の対象にされています。この人道危機は、紛争以前からあった気候変動や食料危機、そして2020年の新型コロナウイルス感染症により、状況は深刻さを増しています。プランは学校支援に加え「子どもひろば」の運営を行い、危機下でより弱い立場に置かれる女の子と女性への支援を国際社会へ訴えていきます。
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