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6/20は「世界難民の日」~4地域の難民問題を解説~
世界の各地から
(更新)
6月20日は「世界難民の日」です。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、紛争や迫害により故郷を追われた難民・国内避難民の人々は8,000万人を超えています※(2019年時点)。
プラン・インターナショナルが支援に携わる4地域の難民問題について、背景や課題とともに解説します。
- ※ UNHCR, Global Appeal 2021 Update
ペルーにたどりついたベネズエラ避難民の親子
シリア難民
シリアでは、2011年から続く政府軍と反体制派との内戦の影響で、何百万人もの人々が故郷を追われました。現在も、約670万人が国内避難民として、また、660万人が難民として※1、主にトルコやレバノン、ヨルダンなどの近隣受け入れ国で、10年に及ぶ厳しい避難生活を余儀なくされています。シリアと国境を接するヨルダン国内に開設されているアズラック難民キャンプには現在約3万8000人が生活しており、そのうち60%が18歳未満の子どもです※2。総世帯のうち25%は女性が世帯主※3となっています。
- ※1 UNHCR, Syria emergency
- ※2,※3 UNHCR, Azraq Camp Dashboard UNHCR Jordan April 2021
アズラック難民キャンプの風景
高まる「早すぎる結婚」と「暴力」のリスク
- 内戦前は、20~24歳のシリア人女性の18歳未満での「早すぎる結婚」の割合は13%※1でした。しかし、2016年に国連人口基金(UNFPA)が約2400人のシリア難民女性を対象に行った調査では、20~24歳の女性の35%が18歳未満で結婚していることが明らかになりました※2。「早すぎる結婚」の増加の背景には、娘たちを早く結婚させることで、キャンプ内外での誘拐や性暴力などから守ることができる、と考える保護者がいることも要因としてあります。
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、早すぎる結婚の原因となっている教育機会の不足や貧困、ジェンダー不平等がより悪化しているという調査結果もあり、この問題の深刻化が懸念されています。
- 受け入れ国のヨルダンやレバノンでは、社会経済の衰退によって貧困状態にある女性世帯が急増、それに伴ってジェンダーに基づく暴力のリスクも高まっています。
難民の女の子の早すぎる結婚が増加
- ※1 ユニセフ世界子供白書2013
- ※2 UNFPA, New study finds child marriage rising among most vulnerable Syrian refugees
プランのシリア難民支援プロジェクト
プランは2017年以降、ヨルダンのアズラック難民キャンプにおいて、子どもたちの教育支援や、早すぎる結婚の防止に取り組んできました。現在も、ヨルダンとレバノンの両国において、最も弱い立場に置かれている子どもたち、とくに女の子や女性への支援を継続しています。
- 【完了報告】「シリア難民の子どもの教育支援」プロジェクト~ヨルダン~
- 【経過報告】「シリア難民の女性の安全な居場所」プロジェクト~ヨルダン~
- ※現在は、上記プロジェクトへの寄付募集は終了しました
南スーダン難民
1956年にスーダンがイギリス・エジプトの共同統治から独立後、政権を主導する北部と分離独立を求める南部との間で武力衝突が勃発。長い内戦の果てに、2011年に南部が南スーダンとして独立しました。しかし、2013年には再び政治的緊張が高まり、2016年の首都での大統領派と副大統領派との間で発生した戦闘を機に、南スーダン全土に紛争が広がりました。2020年2月に暫定政府が樹立されましたが、今なお情勢不安は続いており、約222万人が、難民としてウガンダ、スーダン、エチオピア、ケニアなどの近隣諸国に逃れています※1。また、国内避難民の数も162万人にのぼっています※2。
- ※1 UNHCR, Operational Update South Sudan(March 2021)
- ※2 OCHA, South Sudan: Humanitarian Snapshot (April 2021)
ウガンダに逃れてきた子どもたち
ウガンダに逃れてきた子どもたち
南スーダン難民の問題は「子どもの危機」
- 南スーダン難民の65%以上が0~17歳の子どもであり、南スーダン難民の問題は「子どものクライシス(危機)」ともよばれます。難民となった子どもたちの多くが、自国から避難する間に暴力や虐待、家族との離別や死別を経験していると言われます。また、長引く難民居住区での生活に心理的・精神的に疲弊した親や養育者からの虐待や、養育放棄の脅威にもさらされていました。
- 小学校卒業後の進学先がなく、仕事や耕す畑もなく、紛争が続く祖国を憂い将来を悲観しつつ、時間が過ぎるのをただ待つだけの若者たちも多くいます。このような若者たちへの支援も必要です。
- また、スーダンのように一時期、国際社会からの支援があまり集まらなかった国もあります。支援が遅れ、トイレや手洗い場が不足している学校もあります。
- 2013年12月の武力衝突から8年が経過した今、長きにわたり難民を受け入れている地域の人々の回復力を強化する支援も必要です。
14歳での出産。難民キャンプで暮らす女の子
プランの南スーダン難民支援プロジェクト
プランは難民受け入れ国のウガンダにて、2014年から難民居住区やその周辺のホストコミュニティで支援活動を続けています。主な活動内容は、「子どもひろば」を拠点とした子どもの保護、布ナプキンや石けんづくりといった衛生改善のほか、生計スキル研修などを通じた若者の社会参加支援です。2018年からは国際社会からの支援が少なかったスーダンの難民キャンプでの活動も開始。現在は、難民キャンプ内や隣接する村の学校において、手洗い習慣や衛生設備の改善、ジェンダーに基づく暴力や女の子の中途退学を防ぐための取り組みを行っています。
- ※現在は、上記プロジェクトへの寄付募集は終了しました
ロヒンギャ難民
ミャンマー南西部のラカイン州に暮らすイスラム系少数民族のロヒンギャは、国籍を奪われ、長年さまざまな権利を制限された生活を送ってきました。さらに、2017年8月に起きた暴動と軍の掃討作戦により、多くのロヒンギャが土地を追われ、隣国のバングラデシュに逃れました。現在バングラデシュ南東部コックスバザールの難民キャンプで暮らす約88万人のロヒンギャ難民のうち、半数以上が18歳未満の子どもたちです※。
- ※ UNHCR, Operational Update Bangladesh April 2021
住居が密集する難民キャンプの風景
感染症に加え自然災害や火災のリスクにも直面
- ミャンマーで国内避難民として暮らすロヒンギャ、そしてバングラデシュに難民として逃れたロヒンギャには、ともに法的な保障がありません。そのため、子どもたちの教育機会は限られ、虐待、人身取引、早すぎる結婚のリスクに直面しています。
- ミャンマー、バングラデシュともに自然災害のリスクが高く、ロヒンギャが暮らす地域や難民キャンプもモンスーンによる洪水や地滑りの危険にさらされています。
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)もロヒンギャ難民を脅かしています。コックスバザールのホストコミュニティと難民キャンプ内の両方で、感染拡大抑制にむけた対策や支援が必要な状況が続いています。
- 人々が密集して暮らす環境は火災による被害拡大のリスクも高く、2021年3月に発生した大規模火災では1万戸以上が焼失し、推定4万8千300人が住居を失いました。
豪雨による地滑りや洪水のリスクも
プランのロヒンギャ難民支援プロジェクト
プランは2017年にミャンマー国内のロヒンギャへの支援を開始し、2018年には支援対象をコックスバザールの難民キャンプにも拡張しました。現在はミャンマー、バングラデシュ両国において「ロヒンギャの子どもの保護と教育」プロジェクトを実施しています。ロヒンギャの子どもたちをあらゆる暴力や搾取から守るための体制作りと、若者の教育支援に取り組んでいます。
- ※現在は、上記プロジェクトへの寄付募集は終了しました
ベネズエラ避難民
ベネズエラでは、政情不安がもたらした社会経済の混乱により、学校や病院の閉鎖、極度のインフレによる物価急騰、物資不足に陥りました。その結果、国民生活が困窮し、560万人以上※がペルー、コロンビア、エクアドル、ブラジルなどの周辺国へ逃れています。シリア難民に次いで世界で2番目に難民の数が多く、ラテンアメリカの歴史のなかでも最大の人道危機となっています。
- ※ Regional Inter-Agency Coordination Platform, Refugees and migrants from Venezuela
ペルーに到着した避難民たち
たどりついた避難先での厳しい暮らし
- 避難先や移住先では、搾取、虐待、人身取引などの被害に遭う危険に直面します。
- 膨大な数の避難民が流入したことにより、受け入れ国のインフラや行政サービスがひっ迫し、教育や医療など基本的サービスを受けられない状況にあります。また、ホストコミュニティの住民との軋轢も生じています。
- 新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な南米では、度重なるロックダウンや行動制限により、日雇いや路上で仕事をしてきた避難民や、非正規雇用で働いてきた避難民が、収入を得る道を絶たれています。家賃やその日の食事代が払えない世帯は行き場を失っています。
資金が底をつき路上で夜を明かす家族
プランのベネズエラ避難民支援プロジェクト
プランはペルー、コロンビア、エクアドル、ブラジルなど、避難民を受け入れている近隣諸国で、避難民とホストコミュニティの人々を対象とした活動を継続しています。
ペルーでは、ジャパン・プラットフォームの支援のもと、2019年からベネズエラ避難民とホストコミュニティの住民の保護に取り組んできました。新型コロナウイルス感染症の影響が深刻なペルーでは、累計感染者は200万人、死者は18万人を超えています。プランは感染防止対策を徹底しながらクーポンを使った食料・衛生用品・乳幼児用品などの配布、オンラインを活用した避難民への情報提供、若者を対象とした起業支援などを行っています。
配布場所を示す地図やクーポンで購入可能なものの案内もSNSで送信します(左)
女性向け衛生・防犯用品などを受け取りに来た女性(右)
- ※上記のプロジェクトは、ジャパン・プラットフォームの資金を受けて行っています。日本での寄付募集は行っておりません。
今この瞬間も、紛争や災害など、さまざま理由で故郷を追われ、過酷な暮らしを強いられている人々がいます。プランはこれからも、難民の子どもや若者たちの「生きていく力」と「未来を変える力」を育むために、継続的な支援を行っていきます。
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