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3月21日は「国際森林デー」~ラオスでの森林保全と収入向上を目指す取り組み~
世界の各地から
(更新)
3月21日は、森林や樹木の大切さを考えるために、国連が制定した「国際森林デー」※です。プラン・インターナショナルがラオスで行っている、森林保全につながる生計向上の取り組みをご紹介します。
- ※FAO,3月21日 国際森林デー (International Day of Forests)
ラオス北部における森林減少 農村の暮らしにも影響
ラオス北部の山間にある農村では、焼畑に依存した稲作を行いながら森林に育つ非木材産物※の採取により生活を営んでいる家庭が多く、このことが森林減少の一因となっています。加えて、無計画な植物の採取が、気象パターンの変化や野生動物の生息地、人々の暮らしにも悪影響を及ぼしています。
この地域に暮らす人々の多くは、降雨量が少ない乾季の休閑期には、焼畑後にできる二次林で育つタイガーグラス(ホウキグサ/Thysanolaena latifolia。乾燥させ、ほうきの材料などに加工される)などの換金可能な植物を採取し市場で売って暮らしを立てています。
- ※出典:JIRCAS(国際農研)、ラオスの焼畑二次林に出現する樹木データベース
タイガーグラス
女の子と女性たちにのしかかる労働の負担
焼畑後の二次林には、地域や森の年数によってさまざまな植物や野生動物が育ちます。そこからタイガーグラスなどの植物を採取するのは、主に女の子や女性の仕事です。うっそうとした森や丘を何時間も歩いて他の人々と競い合いながら探し続けなければなりません。刈り取った大量のタイガーグラスを頭上や背中に載せて家に持ち帰るのも一苦労です。
2人の子を持つ27歳のヴォーネさんは次のように話します。「毎日いとこたちと一緒に植物を取りに出かけます。他の人たちとの取り合いになるので、早起きして出発しなければなりません」。
ヴォーネさんと家族は、2021年には年間400キロのタイガーグラスを採取して売りましたが、120万ラオスキープ(約70米ドル)ほどの収入しか得られませんでした。
収穫したタイガーグラスの束を計量する様子
タイガーグラスの栽培による収入向上を支援
プランは、ラオス北部の12の村で少数民族の女性の収入創出と環境保護に取り組む地元組織と連携し、地元自治体の支援のもと、収入向上プロジェクトを実施しています。プロジェクトでは、タイガーグラスの栽培を奨励することで、森林保全と生計向上の両方の実現を目指しています。プランは栽培区画の登録や、仲買人を通さずに適正価格で販売できる体制作りも支援しています。
良質のタイガーグラスを畑から収穫できるように
2022年に、ヴォーネさんの家族も自分たちの土地に300本のタイガーグラスの苗を植えました。収穫後のタイガーグラスは、自生のものよりも大きく育ち、もっと高値で売ることができました。「タイガーグラスを植え、今年は200キロを収穫して売り、110万ラオスキープ(約65米ドル)稼ぐことができました。栽培にはそれほど時間も労力もかからないので、同時に自生の植物も採取してもっと収入を増やしたいです」と話します。
森林保全と生計向上の両立にむけて
農村の新たなビジネスとなったタイガーグラス栽培ですが、まだ村の人々の主な収入源にはなっていません。しかし、
2021年から2022年にかけて、ある村で収穫された2.5トンのタイガーグラスの内訳は、栽培が2割、野生からの採取が8割でした。2022年から2023年の3月末にかけては、合計9.5トンのタイガーグラスが収穫される見込みで、そのうち栽培による収穫の割合は約4割と推定されています。
タイガーグラスで作られた伝統的な箒(ほうき)
タイガーグラスが自生する森林を守るとともに、女性の収入向上にもつながるこの取り組みは、持続可能な取り組みとして注目されています。プランは今後も、地元組織や自治体、政府と連携し、森林保全を視野に入れながら農村地域の暮らしの向上を支援していきます。
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