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【開催報告】オンライン開催「なりたい『私』になる!~女性がリーダーシップを発揮するために~ 国際女性デー2022」

イベント

更新)

プラン・インターナショナルは、2022年3月4日に、国際女性デーを記念したオンライントークイベント「なりたい『私』になる!~女性がリーダーシップを発揮するために~」を開催しました。当日は、178名の方々にご参加いただきました。

イベントには、メインスピーカーとして、アジア開発銀行副官房長で、プランの評議員でもある児玉治美さんをお招きしました。国際協力の分野でキャリアを積み、世界を舞台に活躍し続けている児玉さんに、今必要とされる「女性のリーダーシップ」についてお話しいただきました。
聞き手は、プラン・ユースグループのメンバーで、大学1年生の大崎さんが務めました。

写真:大崎さん(左)と児玉さん(右)

大崎さん(左)と児玉さん(右)

学生時代の「国際協力」への思いがキャリア形成の軸に

児玉さんは、リーダーシップを発揮し、周囲や社会にも影響を与えている女性のロールモデルの一人です。はじめに、これまでに築いてこられたキャリアについて、詳しくご紹介いただきました。鹿児島県出身の児玉さんは、小学校と高校時代の一時期をアメリカで過ごした経験をいかし、学生時代から国際協力に携わりたいとの思いを抱いていたそうです。大学院卒業後、議員秘書や国際協力NGOを経て、2001年から国連人口基金のニューヨーク本部に勤務。2008年、双子の妊娠・出産を機にアジア開発銀行に転職。2019年からは駐日代表として、18年ぶりに日本に居住しました。2021年12月末には、副官房長に着任するため再びフィリピンに戻り、現在は組織の意思決定や組織運営のサポートに携わっておられます。

ジェンダー・ギャップ指数が著しく低い日本

世界経済フォーラムが世界各国の男女平等の度合いを数値化した「ジェンダー・ギャップ指数2021」によると、児玉さんが暮らすフィリピンは156カ国中17位で、アジア地域で最も高いランクに位置しています。一方の日本は、156カ国中120位。特に政治・経済分野のスコアは著しく低く、「管理職についている男女差(経済)」では、139位と大幅に遅れを取っています。
アジア開発銀行駐日代表として日本で過ごしていた間は、駐日代表というよりは、女性であることに注目され意見を求められることが多かったと振り返る児玉さん。国際開発金融機関の東京事務所長などの要職はほとんど男性に占められ、仕事で関わる相手もほぼ男性という、依然として続いている日本の「男性優位社会」に衝撃を受けたそうです。「日本政府は2020年までに女性が管理職に占める割合を30%にするという目標を立てていたものの、現時点で12%にしか達していない」と述べ、政府には目標を一刻も早く実現するためのさらなる努力が必要と話しました。

写真:データを示して解説する児玉さん

データを示して解説する児玉さん

「ジョブ型雇用」に学ぶジェンダー平等推進のヒント

続いて児玉さんは、ジェンダー平等を推進する制度面の改革例として、「ジョブ型雇用」を紹介しました。「ジョブ型雇用」とは、働き手の職務内容をあらかじめ明確に規定して雇用する形態で、ほぼすべての国際機関で採用されています。それに対して、日本の雇用システムは「ネットワーク型雇用」と呼ばれ、新卒一括採用、年功序列、終身雇用が柱です。職務内容がはっきりせず、会社の都合で社員の職務や配属が決まってしまうという特徴があります。
「ジョブ型雇用」は育児や介護で仕事を中断してもスキルに応じて復職できるなど、働く側から見ても多くの利点があります。児玉さんは、ご自身が双子の息子さんの出産・育児をしながら国連からアジア開発銀行に転職し、キャリアアップできたのも、「ジョブ型雇用」制度のおかげであると振り返り、日本も学ぶべき多くのヒントがあると述べました。

写真:職務内容が明確な完全ジョブ型雇用

職務内容が明確な完全ジョブ型雇用

「なりたい私」を実現するために必要なこと

今回のイベントのテーマでもある、「女性がリーダーシップを発揮し、自分らしい人生を歩むために必要なことは何か」について、これまでのキャリアを通じて児玉さんご自身が大切にしてきた考え方や思いを交えてお話しくださいました。

●「ぶれない軸」を拠り所に、意図的にキャリアを切り拓く

キャリアアップを目指すのであれば、意図的にキャリアを切り開くことが非常に重要です。考えても答えが出ないときには成り行きに任せるという選択も視野に入れておいてください。私自身キャリアの前半は、出会いや運に身を任せて進路を決めることが多々あったのですが、そのような状況下でも失敗しなかったのは、ぶれない軸があったからです。「軸さえぶれなければ、人生何とかなる」というのが私の持論です。

●心の知能指数(EQ)を高める

EQは、自分や他人の感情を知覚して適切に対応できる能力です。現在、EQが高い人ほど、職場や人生において成功する可能性が高いという認識が広がっています。ドイツの元メルケル首相、ニュージーランドのアーダーン首相など、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の初期対応を評価された国のトップには女性が多かったことは非常に印象的です。これは、共感力が支持されたということだと思います。心の知能指数を高め、思いやりを持って人に接すれば、あなたのキャリアもきっと成功するはずです。

写真:心の知能指数(EQ)を高める

●インポスター症候群から脱却する

「インポスター症候群」とは、自分の成功を実力ではなく運や周りの人のおかげだと思い込み、自己を過小評価してしまうことです。女性リーダーを育成するためには、「インポスター症候群」から脱し、まずはリーダーに手をあげてみるということが大切です。日本社会にとっても、女性が役職や職務に積極的に手をあげ、所属する会社のメインストリーム(主流の事業)に入ることが非常に重要です。

ジェンダー・ステレオタイプについてユースとの対談

続く児玉さんとプラン・ユースグループ大崎さんの対談では、ジェンダー・ステレオタイプ※についての意見が交わされました。
大崎さんは、3月8日の国際女性デーに合わせてプランが発表したレポート、「日本における女性のリーダーシップ2022」のなかで、女の子がリーダーになることに意欲的ではない理由の一つとして、「自分はそういうタイプではないから」という回答が多かったことに言及。「女の子はこうあるべき」といった無意識の思い込みや固定観念が、女の子を消極的にしてしまう要因ではないかと話しました。また、メディアを含め普段の生活で目にする意思決定層に男性が多いことが、男性中心に社会が回っているという印象を与え、ジェンダー・ステレオタイプの派生につながっているのではと推測しました。

  • ※ジェンダー・ステレオタイプ:社会に広く浸透している、ジェンダーに基づく固定観念や思い込み、偏見のこと

児玉さんは、さまざまな要因によって、無意識のうちにリーダーになりたくないと思ってしまっている女の子たちでも、リーダーシップ教育によって変わることができると指摘。「学校生活の中でリーダーの経験を積むことが女の子の意欲向上につながる」というプランの調査結果は、事実に裏づけられたものであると話されました。また、ご自身の経験を踏まえ、ジェンダー・ステレオタイプによる差別や偏見を受けたとしても、悔しさや怒りも原動力にして、まずは「男性と同じテーブルにつくこと」「最初ははったりでも良いので、男性と同じ立ち位置、視線で発言することが大切」と助言。ジェンダー問題についてはっきりと意見を述べることは、ともすれば男性を糾弾していると捉えられがちですが、重要なのは、女性も男性も、そして多様なジェンダーの人々も含め、誰もが尊重され、自分らしく生きていける社会を作っていくという視点であると強調しました。自分らしく生きるためには、やろうと思えば何でもできると思うことが大切と続け、「私自身、50代になった今でも、人生はこれからと思っている」との力強いメッセージでトークを締められました。

Q&Aでは、さまざまな世代の参加者からご質問が寄せられ、ジェンダー課題を自分事として捉え、高い関心を持っている方々が多いことがうかがえました。

プラン・ユースグループメンバー 大崎さんのコメント

中学生のときから、地球規模の課題に貢献する人になりたいと思い続けています。女性の働きやすさを、制度と意識の面で包括的に説明くださった児玉さんのお話はとても興味深く、ますますポジティブな気持ちになりました。これからも、広い視野を持ち、目標を明確にするために今まで捉われていた概念を取り払うとともに、児玉さんのようなロールモデルからヒントを得ながら、頑張っていきたいです。

参加者の声

  • 学生時代より、すでにご自身の目標を定め、実現させた児玉さん。とてもパワフルで行動力のある印象を受けました。平成初期の頃は、まだまだ男性優位で、多くの人が女性は家庭にと思っていた時代でしたので、多くの困難や試練も経験されたのではないかと推測します。「とにかく男性と同じテーブルにつく」という言葉にとても勇気をもらいました。
  • 笑顔でお話される児玉さんが素敵で、話に引き込まれました。自分のなかにあるリーダー像も、子どものころからの刷り込みによってできあがったもので、女性には女性のリーダーシップの取り方があるということに気づかせていただきました。まだまだ自分もいろいろなことにとらわれているのだと、あらためて自分自身のものの見方を見つめ直すきっかけになりました。たくさんの励ましの言葉をいただいたようで、有意義な時間でした。
  • 60歳代の男性としてつらいところもありましたが、しきりに相槌を打ちながら聞いていました。児玉さんの、同質でなくても平等であることが大切という言葉にあらためてそうだなと深く共感しました。現在の日本はジェンダー不平等な社会ですが、ジェンダー平等の先には人権をより大切にする社会の実現が望まれると思います。

ご参加くださった皆さま、誠にありがとうございました。

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