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女子教育の重要性と課題|世界の現状と普及に向けた取り組み

2000年9月に国連によって採択されたミレニアム開発目標(MDGs)では、2015年までに達成すべき国際社会共通の目標として、「すべての子どもたちが、男女の区別なく初等教育の全課程を修了できるようにすること」が掲げられました。各国の努力の結果、2013年時点で世界における男の子の初等教育純就学率は91%、女の子の純就学率は89%と男女ともにほぼ変わらない割合となりました。

一方で、中等教育においては男の子の純就学率は65%、女の子の純就学率55%と格差があり、世界には女子教育がまだ普及していない地域が多く存在していることが分かります。
女子教育の重要性とそれを阻む課題について、世界の現状と取り組みをご紹介します。

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女子教育の必要性

なぜ教育が必要なのでしょうか。それは、教育は人間が持つ基本的な権利のひとつだからです。教育を受けることは誰もが等しく与えられる権利であり、もちろん女の子にも男の子と同じ水準の教育を受ける権利があります。世界人権宣言には、「教育は人間の基本的な権利であり、人格の完全な発展並びに人権及び基本的自由の尊重の強化を目的としたものでなくてはならない」とうたわれています。

教育の意義は、個人の能力を伸ばすことだけに留まりません。身につけた知識や技術で社会に貢献できる人材を増やすことができるのです。平和で安定した社会を築いていくためにも、誰もが等しく教育機会を得られることが重要です。

写真:女性の権利について学ぶ女の子たち(ネパール)

女性の権利について学ぶ女の子たち(ネパール)

日本の女子教育の始まり

ここで、日本の教育制度の始まりを、特に女子教育の観点から振り返ってみましょう。日本で学制が発布されたのは明治7年(1874年)のこと。国民のすべてが初等教育に就学すべきと定められ、発布から数年間に全国で2万校以上の小学校(尋常・高等、各4年制)が整備されました。
当初は、女の子の高等小学校(高等女学校)への進学率は5%にも満たなかったものの、大正14年(1925年)には15%近くに、昭和20年(1945年)には約25%に達しました。当時の高等女学校のカリキュラムには、一般科目に加えて「家事」「裁縫」など男子が学ばない女子校ならではの科目も設定されていました。特に戦前の高等女学校は、女子学生の中等教育機関であると同時に、良妻賢母の育成も目的としていたことがうかがい知れます。なお、学制の発布と同時に女子大学や女子専門学校など、女性教育に特化した官立や私立の高等教育機関も設立されましたが、進学率は戦前期を通じて1%に満たない状況でした。

女子教育の重要性

世界には、「女の子だから」との理由で学校に通えず、教育を受ける機会を奪われてしまっている子どもたちが大勢います。しかし、女子教育はさまざまな効果をもたらすことが報告されています。世界銀行によると、女の子が教育を受ける年が1年増えれば、出生率が10%減るという報告があります。また、ユネスコは、中等教育以上を受けた母親から生まれた子どもはそうでない子どもに比べ、5歳未満で亡くなる率が半減すると報告しています。ここでは女子教育の重要性について、いくつかの観点から考えていきます。

写真:野外学習活動を楽しむ女の子たち(インド)

野外学習活動を楽しむ女の子たち(インド)

世代を超えた「負の連鎖」を断ち切ることができる

持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)目標4では、「質の高い教育をみんなに」が示されています。実際に質の高い教育を受けた女の子が母親になることで、子どもにもその教育が受け継がれていき、自身や子どもが差別や理不尽な暴力を受ける可能性を減らすことができます。また、教育を受けた女の子は、児童婚(早すぎる結婚)や女性性器切除(FGM)といった女の子にとって理不尽な慣習に違和感を持ち、自らが直面している課題に対して声をあげ状況を改善しようと行動を起こすことができるようになります。女の子が就学し体罰途中で学校を辞めることなく質の高い初等教育を修了する権利を享受できるように推進することで、さまざまな好ましい効果をもたらすことができるのです。

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開発途上国での爆発的な人口増加を食い止めることができる

現在79億人を超える世界人口は、このまま増加を続けると2050年には97億人を超えると考えられており、それに伴う貧困や環境問題の悪化が懸念されています。教育を受けた女の子は、家族計画に関する知識を得ることにより、爆発的な人口増加を食い止めるための行動をとることができます。また、教育を受けている期間は、児童婚を促されることもないため、出産する子どもの数を減らすこともできます。開発途上国では女性一人が多くの子どもを産むため、子どもが増えすぎてしまう場合があるのです。

写真:若者カップルが保健サービスにアクセスできるよう支援(マラウイ)

若者カップルが保健サービスにアクセスできるよう支援(マラウイ)

HIVとエイズの罹患率の低下に貢献する

若者の病気と言われるHIVとエイズの罹患を避けるためには予防が重要な鍵となります。HIV感染の約80%は性行為に起因することを踏まえ、予防のためのABC(Abstinence=禁欲=性的関係を結ばない、Being faithful=誠実であれ=一夫一婦制のような単一で誠実な関係のもとでのセックス、Condom=コンドームを常に正確に使用すること)が提唱されています。中等教育や識字教育を受け、女の子がこれらの適切な情報を得ることができるようになると、母乳による子どものHIV感染や、妊娠中の母子感染の危険性が少なくなるという事実を知るようになり、HIVとエイズの罹患率の減少につながります。

写真:感染症予防について啓発(ザンビア)

感染症予防について啓発(ザンビア)

女子教育の普及を妨げる原因

2015年までに普遍的な初等教育の実現を目指したミレニアム開発目標(MDGs)は、結局達成することができないまま宿題はSDGsに引き継がれました。2013年には、15歳以上の成人で読み書きができない人は7億5700万人で、そのうちの3分の2は女性でした。女の子の教育は開発にとっていかに意義あることであるかが実証されているにもかかわらず、教育における男女間の格差は根強く残っているのが現状です。
ユニセフによると、世界中で学校に通っていない女の子、1億2900万人のうち、3200万人が小学校就学年齢で、3000万人が中学校就学年齢、6700万人が高校就学年齢です。
女の子の教育を阻む障壁は国やコミュニティによって異なりますが、ここでは、「貧困」「児童婚」「教育環境」の観点から考えます。

貧困

途上国には、学校へ通うための教材を買うこともできないほど貧しい家庭が多数存在します。そのような家庭では男の子を優先的に学校へ通わせる傾向にあります。一方、女の子は家で家事労働をさせられる場合が多く、2016年の調査では、5歳から14歳の女の子は同じ年齢の男の子に比べ、無報酬の家事労働や水汲み、薪を集めるために40%も多くの時間を費やしていることが明らかになっています。この傾向は男性優位の価値観が強い国ほど多く見られ、貧困が女の子たちから教育を受ける機会を奪っています。

児童婚

児童婚(早すぎる結婚)は、早期結婚とも呼ばれるもので、18歳未満の子どもが結婚することを指す言葉です。結婚は同意のもとに行われることもありますが、同意なしに強制されることも少なくありません
ユニセフの報告によると、現在6億5000万人以上の女の子と女性たちが、18歳の誕生日を迎える前から結婚生活または法律婚ではない形態でパートナーとの同居生活を送っています。
児童婚を強いられた女の子が妊娠すると学校へ通えなくなったり、中途退学せざるを得なくなったりするなど学びの機会を失ってしまいます。また、児童婚は学校へ通う機会を奪うだけでなく、未成熟な身体での妊娠・出産に身体が耐え切れず命を落とす場合もあり非常に危険です。

写真:児童婚から逃れた女の子

児童婚から逃れた女の子

教育環境

途上国では、そもそも学校の数が少なく、家から遠すぎて通えない場合があります。また、紛争地や政情不安な状態が続く地域では、通学路で暴力を受けるリスクもあるため、通学が女の子にとっては大きな障壁となります。たとえ学校に通えたとしても、女の子が勉強するための環境が整っていないため、教師からの暴力や体罰から中途退学をせざるを得ないこともあります。なかでも一番の障壁として、トイレの問題があげられます。途上国では、男女別のトイレがない学校が多く、地面に穴をあけただけのトイレや、ドアのないトイレもあります。生理用品を持っていない女の子も多く、月経中は学校に行くことが難しくなってしまうのです。女性教員の数も少ないため、女の子に厳しい環境に理解を示し改善を試みるサポートがないことも問題となっています。

写真:飢餓と紛争のため学校に通うことも困難(マリ)

飢餓と紛争のため学校に通うことも困難(マリ)

女子教育の普及を目指すプラン・インターナショナルの取り組み

女の子たち自らが直面する課題に気づき声をあげ、解決にむけて動き出すことが、男性や大人を含む周囲の人々、そして地域全体に好ましい影響をもたらす近道となります。女の子たちが人生の選択肢を増やすために最も大切なもののひとつが「教育」です。そのため、プラン・インターナショナルは弱い立場におかれた女の子たちへの教育機会の提供に特に力を入れています。

プランが活動する国々で実施している主な活動を紹介します。

東ティモールに給水所を設置し、女の子を水汲みから解放

東ティモールは2002年に独立した新しい国であり、国土の大半が山岳地帯からなる小さな国です。遠隔地では道路や電気、水道設備などのインフラが十分整備されておらず、女の子たちは安全な水を確保するために、毎日危険な崖を下り水汲みに行っていました。水汲みの後に学校へ行くため、女の子たちは日々疲れているなか学校へ通っていました。プラン・インターナショナルは、東ティモールの活動地域に給水設備を設置することで、女の子たちを水汲みの重労働から解放し、学べる環境を整えました。
プランの支援により完成した給水設備のおかげで水汲みの重労働がなくなり、女の子たちは元気に学校へ通えるようになったのです。

写真:貯水タンクを設置(東ティモール)

貯水タンクを設置(東ティモール)

若者向けの小規模金融プロジェクトを開催

シエラレオネは、アフリカ西海岸に位置し、人口の約48%を18歳未満の若者が占める若い国です。2014~2016年にエボラ出血熱が猛威を振るい多くの人々が亡くなりました。この混乱のなか、女の子と女性たちがレイプの被害にあい、10代の妊娠数が増加するなど、とりわけ女の子と若い女性は軽んじられてきました。プランは、シエラレオネで若者向けの小規模金融プロジェクトを実施し、参加者にお金に関する基礎知識を教えるトレーニングを行いました。約1万5000人が参加したトレーニングでは、その70%以上が女の子でした。小規模金融プロジェクトによって、シエラレオネの女の子たちはお金の知識を身に付け、貯蓄の方法や教育ローンの組み方についての学びを通じてお金を貯め、学校に通えるようになりました。その結果、将来の夢を見つけ前向きに生きていく気持ちが高まりました。

写真:ローンを組むこともでき将来への投資も行えるように(シエラレオネ)

ローンを組むこともでき将来への投資も行えるように(シエラレオネ)

教育が、人生を、そして世界を変える

ここまでお読みいただいて、女の子への教育がいかに重要であるかをご理解いただけたのではないでしょうか。良妻賢母や一歩下がって男性を立てる姿が美徳とされていた昔の日本でも、女性が大学に進学することに対し否定的なイメージが持たれていました。しかし、現在では女性が教育を受けることで得られるさまざまなメリットを多くの人々が認識するようになっています。教育は、新たな知識の習得だけでなく、自尊感情を高め、視野を広げ生きていく力を得ることにもつながります。自身が直面している課題を明確にし、声をあげ、解決にむけ社会を変えていこうとする女の子たちが増えれば、確実に世界は変わることでしょう。


一人でも多くの女の子が教育を受けることができるよう、
プラン・インターナショナルとともに女の子たちを応援いただけますと幸いです。

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プラン・インターナショナルは、女の子が本来持つ力を引き出すことで地域社会に前向きな変化をもたらし、世界が直面している課題の解決に取り組む国際NGOです。世界75カ国以上で活動。世界規模のネットワークと長年の経験に基づく豊富な知見で、弱い立場に置かれがちな女の子が尊重され、自分の人生を主体的に選択することができる世界の実現に取り組んでいます。

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