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難民受け入れへの海外の反応は?各国の政策とわたしたちにできること

難民とは、紛争や人種、宗教、国籍、政治的意見または特定の社会集団などさまざまな理由から国籍国では生命が脅かされる危険があるため他国に逃れる人々のことです。近年では、気候変動の影響で頻発している自然災害による難民も急増しています。

保護を求める難民たちは、自国の周辺国だけでなく世界各国に避難しています。この記事を通して難民の現状や各国の受け入れ政策について知り、日本にいる私たちができることを考えてみましょう。

写真:南スーダン難民キャンプでお粥を食べる子どもたち(ウガンダ)

南スーダン難民キャンプでお粥を食べる子どもたち(ウガンダ)

難民が多い国の背景や現状

世界の国々で生まれている難民の現状は、難民の保護と支援を担う国連高等難民弁務官事務所(UNHCR)が毎年報告しています。

2022年末の時点で、世界中で故郷を追われた人々の数は過去最多の1億840万人に上ります。その52%の出身国が、シリア、ウクライナ、アフガニスタンの3カ国に集中しており、以下ベネズエラ、南スーダン、ミャンマーと続きます。ここでは、シリア、ミャンマー、ソマリアの3カ国について紹介します。

写真:グラフ 主な出身国

主な出身国

シリア難民

2011年3月に発生したシリア危機によって、約40万人の人々が命を落とし、約690万人以上が国内避難民となり、約550万人以上が難民として周辺諸国などに逃れました※12021年のUNHCRの報告によると、約2710万人いる難民のうち、約680万人(25%)※2をシリア難民が占めていました新型コロナウイルス感染症の拡大に加え、2023年2月に発生したトルコ・シリア地震による甚大な被害によって、人々の暮らしはさらに困窮していますシリア危機発生から10年以上が経過した2023年3月時点で、国外に逃れている難民は依然として536万人おり、シリア国内において人道援助を必要としている人の数は1530万人にも上ります

写真:シリア難民の子どもたち(レバノン)

シリア難民の子どもたち(レバノン)

世界全体の難民の数(3530万人)は、UNHCR支援対象者(2490万人)とUNRWA※3支援対象者(590万人)から構成されています。

  1. ※1「シリア基礎データ」(外務省)
  2. ※2「シリア」(国連UNHCR協会)
  3. ※3 UNRWA
    国連パレスチナ難民救済事業機関。中東においてパレスチナ難民を支援・保護するために設立された。
    国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)

ロヒンギャ難民

ロヒンギャとは、仏教徒が9割のミャンマーで、西部のラカイン州を中心に暮らすイスラム系少数民族のことです。ミャンマーでは先住民族とみなされず、多くはバングラデシュからの不法移民としての扱いを受けていることから、国籍を奪われ、教育を受ける機会などあらゆる権利を制限されていました。
2017年にミャンマーのラカイン州で発生した暴動と軍の掃討作戦により、多くのロヒンギャの人々が隣国バングラデシュへ避難しました。長引く避難生活のなか、人道支援のみならず、識字教育や生活を支えるための就業訓練などの継続的な支援も必要とされています。

写真:ロヒンギャ難民キャンプで衛生キットを届けるスタッフ(バングラデシュ)

ロヒンギャ難民キャンプで衛生キットを届けるスタッフ(バングラデシュ)

2023年5月時点で96万1000人以上のロヒンギャ難民がバングラデシュへ避難しており、52%が18歳未満の子どもたちです。5歳未満の子どもの10%以上が深刻な栄養不良に陥っています。

  • 出典:「ロヒンギャ」(国連UNHCR協会)

ソマリア難民

1991年から1992年にかけて起きた内戦以降、多くのソマリア人が隣国のケニアやエチオピアへ避難しています。そこからさらに、リビアを経由して地中海を渡り、ヨーロッパを目指す人々も多く存在します。しかしこの避難ルートは危険で、命を落とすこともあります。2017年にはリビアからボートで地中海を目指す移民や難民の数は9万人を超え、2000人以上が命を落としたり行方不明になったりしました。

こうした状況が続くなか、ソマリアを含むアフリカの角と呼ばれる地域では、気候変動の影響による前例のない干ばつと飢餓が追い打ちをかけています。ソマリアでは、深刻な水不足や食料不足により、2023年7月の時点で約380万人が家を離れ、国内の避難民キャンプに身を寄せています。

写真:家まで水を運ぶ女の子たち(ソマリア)

家まで水を運ぶ女の子たち(ソマリア)

30年以上続く紛争による政情不安、繰り返される洪水と干ばつによる食料危機などが原因で、何世代にもわたり難民キャンプでの生活を強いられている人々が大勢います。

    【出典】

  1. 「リビアを通過して避難する難民や移民が増加」(国連UNHCR協会)
  2. 「続・ヨーロッパ難民危機 ヨーロッパで今、何が起きているのか」(国連UNHCR協会)
  3. Somalia Refugee Crises Explained 7.17.2023

世界の難民の受け入れ状況|海外の反応は?

あらゆる理由で難民となった人々が、安心して暮らすことができる場所はあるのでしょうか。

難民の多くは、周辺国に避難します。しかし、一時的に留まった後、自国に戻ることが困難である場合、安全でより良い暮らしを求め、遠く離れた国に行くことを決断する人も大勢います。

シリアの隣国トルコは多くの難民を受け入れ続けており、EU各国へ難民が流入することを防ぐ「防波堤」の役割を果たしてきました。また先進国のなかで、ドイツはあらゆる国から多くの難民を受け入れています。

写真:グラフ主な受け入れ国

主な受け入れ国

ドイツの難民受け入れ状況と反応

ドイツは2015年から2016年にかけて、メルケル前首相のリーダーシップのもと120万人を超える難民と庇護希望者の受け入れを行うなど、以前から難民受け入れに対して積極的な姿勢を見せています。こうした功績が称えられ、2022年にはメルケル前首相に「ナンセン難民賞(難民や国内避難民、無国籍者の保護に多大な貢献を果たした個人・団体を称える賞)が贈られたことが話題となりました※1
UNHCRの2022年の報告によると、ドイツは約3530万人いる難民のうち、5.9%にあたる210万人を受け入れています※2

ドイツは、庇護申請手続きに基づく受け入れによってのみ難民を受け入れており、第三国定住(避難先の国に定住すること。避難国政府の承認が必要)は実施していません。庇護申請手続きとは、難民認定制度と入管法に基づき、ドイツ政府に難民として認定されるための手続きを指します。

  1. ※1「UNHCRナンセン難民賞をアンゲラ・メルケル氏が受賞~シリア危機で難民の保護に貢献(2021年)」(UNHCR Japan)
  2. ※2「数字で見る難民情勢(2022年)」(UNHCR Japan)

トルコの難民受け入れ状況と反応

トルコは世界最大の難民受け入れ国であり、2022年のUNHCRの報告によると、360万人の難民を受け入れています。2010年3月に勃発した隣国シリアでの内戦の翌月から難民の受け入れをはじめ、2022年11月の時点で363万人の難民がトルコに暮らしています※1

その後も多くの難民が入国し続けるなか、最近ではトルコ国民のシリア難民に対する見方が変化してきています。トルコ政府は、シリア難民に対して多くの予算を割いていることもあり、トルコ経済の悪化や失業率の上昇に対するトルコ国民の不満や批判の矛先がシリア難民に向けられる傾向にあります※2。自国への帰還が難しいなかで、受け入れ国の人々と難民が共存していくことの難しさが浮き彫りになっています。

写真:簡易的なシリア難民キャンプ(トルコ)

簡易的なシリア難民キャンプ(トルコ)

  1. ※1「選挙の争点として顕在化したシリア難民問題――トルコ人の間で燻る不満」(アジア経済研究所)
  2. ※2「シリア難民政策も争点 エルドアン政権「帰還」に傾斜―トルコ大統領選」(時事ドットコム)

日本や海外で行われている難民支援の例

難民の支援にはどういうものがあるのでしょうか。ここでは避難した難民の人々に対して行われる支援の内容を紹介します。

難民への支援活動は、大きく2段階に分けられます。「緊急支援」と「自立支援」です。多くが危険と隣り合わせのなか一斉に移動することから、まずは命を守るための支援が急務です。次の段階として、難民キャンプなどでの避難生活の長期化に伴い、難民の人々が自分で生計を立て前向きに生きていけるようにするための支援が必要になります。

緊急支援

難民に必要な物資を届ける短期的な支援のことをいいます。紛争や災害は突如発生するため、安全なシェルターや水と食料、医療など命を守るための支援です。自国が対応できない場合、他国や国際機関からの支援によって、即座に人々を救う対応が行われます。

写真:地震の被災者への毛布やマットレスの配布(シリア)

地震の被災者への毛布やマットレスの配布(シリア)

自立支援

避難先での生活がある程度落ち着いてきた段階で必要になるのが、自立を助ける長期的な支援です。具体的には教育支援や就労支援が該当します。緊急支援は、あくまでも短期的な解決にはなりますが、難民が抱える問題の直接的な解決にはつながりにくいものです。避難先における食料確保や衛生環境の改善、治安の安定などを進めると同時に、将来を見据えた学校教育や職業訓練などによって自立できるように支援します。

写真:パンやお菓子作りの講習を受けた難民の女の子たち(ウガンダ)

パンやお菓子作りの講習を受けた難民の女の子たち(ウガンダ)

  • 出典:「難民を守る。難民を支える。」(国連UNHCR協会)

あなたにもできる難民への支援

日本人にとって難民問題は遠い国で起きていることで、自分との接点を探すことが難しいと感じる人も多いかもしれません。難民申請者に対して、日本は世界の先進国のなかでも稀に見る難民認定の少ない国です。最近では、ロシアとウクライナ間の紛争激化により日本政府が多数のウクライナ人の避難民を受け入れましたが、あくまでも例外的な措置であり、自分の身近なところで難民の人々を直接支援することは難しいのが現状です。しかし、この問題に取り組む団体を支援することを通じて、誰でも難民問題に貢献することができます

写真:移動のためにバスを乗り換えるウクライナ難民(ポーランド)

移動のためにバスを乗り換えるウクライナ難民(ポーランド)

プラン・インターナショナルでも、難民支援のためのプロジェクトを行っています。紛争や自然災害の発生直後に短期的に行う緊急支援のほかに、教育、就業、保健、栄養改善、ジェンダーに基づく暴力や早すぎる結婚(児童婚)の防止など、厳しい境遇にある難民の人々、とりわけ未来を担う子どもや若者たちが前向きに生きていくことができるような支援に取り組んでいます。

プランの難民に対する取り組み詳細はこちら

運営団体

国際NGOプラン・インターナショナルについて

プラン・インターナショナルは、女の子が本来持つ力を引き出すことで地域社会に前向きな変化をもたらし、世界が直面している課題の解決に取り組む国際NGOです。世界75カ国以上で活動。世界規模のネットワークと長年の経験に基づく豊富な知見で、弱い立場に置かれがちな女の子が尊重され、自分の人生を主体的に選択することができる世界の実現に取り組んでいます。

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