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カンボジアの教育事情|学校へ行けない子どもたちを支援するには
カンボジアは東南アジアに位置し、近年目覚ましい経済発展を遂げている国の一つです。しかしながらその歴史的背景によって、今も多くの子どもたちが教育を受けられずにいます。1975年に樹立したポル・ポト政権下において、教育が否定されたために教育基盤を失ってしまいました。ポル・ポト政権失脚後、教育の立て直しを行っていますが、40年が経過した2024年現在も課題は山積している状態です。
もくじ
カンボジアにおける教育の現状
それではまず、どのくらいの割合の子どもたちが教育を受けているのか、そしてカンボジアの教育制度について見てみましょう。
カンボジアの就学率と進学率
ユニセフの教育指標によると、2011年から2016年には、初等教育(日本の小学校に相当)の就学率が95%だったのに対し、最終学年まで教育を継続できた割合は男女平均約48%まで落ち込んでいました。前期中等教育(同中学校)の就学率は約46.5%と、初等教育の就学率より大幅に低くなっています。また、2023年発表の指標では、初等教育の修了率は73.5%と改善が見られるのに対し、前期中等教育の修了率は40%で、依然として低い傾向にあります。このことから、多くの子どもが小学校に入学しているにもかかわらず、継続することが難しく、義務教育を終えられずにいることがわかります。
カンボジアの教育システム
カンボジアの教育制度は日本同様6・3・3制で義務教育は小学校、中学校にあたる最初の9年間です。その間の授業料は無償ですが、制服や学用品などの代金は保護者が負担する必要があります。小学校から高校の授業は二部交代制になっており、午前と午後で生徒を入れ替えて授業が行われるため、一人ひとりが受けられる授業時間は短くなってしまいます。
また、中学3年生、高校3年生には卒業試験があり、試験に合格しないと卒業できない仕組みです。大学への進学や4年制の職業技術機関など高等教育への入学資格を得るには、高校卒業試験に合格する必要があります。
カンボジアの教育における課題
カンボジア特有の背景を踏まえ、子どもたちの教育を阻んでいる原因を考えてみます。
教員の数や質が不充分
1970年から1990年代まで続いた内戦の影響で、知識や文化が否定されたことから、多くの教育施設が破壊され、教員を含む多くの知識人が粛清されました。その影響は今も続いており、教室や教員が不足しているために、生徒が受けられる授業時間が少なくなっています。
また、教員の質が低いことも課題の一つです。カンボジアで教員になるには、教員養成校を卒業しなければなりません。教員養成校には、高卒と大卒どちらでも入学できる学校があるため、教員の指導力に差がある原因となっています。カンボジア政府はこれらの課題を認識し、学校教育の向上を図るために、教員数の増加や教育の質の向上を目指してあらゆる取り組みを実施しています。
教育を受ける時間やお金がない
貧困も教育を続ける上での大きな課題です。カンボジアでは著しい経済発展を背景に貧困率が減少しています。しかしながら、2022年の時点でカンボジアの人口の16.6%が1日2.15ドル以下の収入で生活する貧困状態にありました。そのような状況では、通学に必要な制服や鞄などを買う余裕がなく、子どもたちは学校に行けなくなってしまいます。また、食料の確保が優先され、家計を支えるために子どもも働かざるを得ません。こうした状況が、教育の継続を阻む要因のひとつとなっています。
カンボジアの貧困層に向けたプラン・インターナショナルの教育支援
「地域主導型の小学校給食」プロジェクト
プランでは、2013年から世界食糧計画(WFP)と連携してカンボジアの学校に給食を導入する取り組みを行っています。都市部の経済成長から取り残された農村部では、貧困から多くの子どもたちが家で朝食をとれずに学校へ登校します。空腹では授業に集中できず、勉強が身につかないために進級できず、中途退学してしまうケースが問題となっていました。このプロジェクトでは、学校給食の提供によって栄養補給だけでなく、子どもたちの学習効率を上げ、初等教育の修了率を向上させることを目的としています。
給水設備や調理場、学校菜園などの整備に加え、調理法や運営について現地の人々にトレーニングも実施しています。これまでに345校で給食が定着し、修了率を向上させることにつながっています。2021年4月からは、地元政府の能力強化に注力しており、地域の人々が自らの手で給食を確実に継続していけるよう体制づくりをしています。
貧困の連鎖を断ち切る学び
カンボジアを含む多くの途上国では、貧困、差別、環境、治安、言語などのさまざまな理由から、多くの子どもたちが基礎的な教育を受けられずに育ちます。その結果、文字の読み書きや計算ができず、暴力や人身取引、児童婚などのリスクに直面したり、仕事に就くこともできなかったりと、世代を超えて貧困が連鎖してしまいます。
プランがカンボジアで実施しているプロジェクトでは、女の子と男の子が同じように役割を分担して自分たちで野菜を育て、一緒に給食を食べ学習することで、子どもたちは「学校が大好き」と言うようになりました。栄養補給が子どもたちの学習意欲を向上させ、大きな成果につながっています。
カンボジアで学校へ行くことができない子どもたちや教育の機会に恵まれなかった若者たちの未来のために、皆さまのご支援をよろしくお願いいたします。
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