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女性差別撤廃条約とは?世界で起きている問題や解決への取り組み

世界のあらゆる場所では、依然として性別を理由に不当な扱いや差別を受ける事例が後を絶ちません。男女差別の典型的な例としては賃金格差や教育格差などがありますが、それ以外にもジェンダーの違いによる差別や格差の問題は多岐にわたります。
ここでは、男女差別の解消にむけた国際的な取り組みのひとつ「女性差別撤廃条約」についてご紹介します。

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女性差別撤廃条約とは?

女性差別撤廃条約は、1979年(昭和54年)の第34回国連総会において採択され、1981年に発効された条約です。正式名称を「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」と言い、男女の完全な平等の達成に貢献することを目的としています。
この条約は、女の子に対するあらゆる差別を撤廃することを基本理念としています。具体的には、締約国に対し、「政治的及び公的活動、並びに経済的及び社会的活動における女子に対する差別の撤廃のために適当な措置をとること」を求めています※1

あらゆる分野において、性に基づく差別を受けない権利と平等の権利が保障され、法律や規則のなかの差別はもちろん、社会慣習・慣行のなかでの性差別をなくすことが、この条約の目指すところです※2

写真:キャプション

アドボカシー活動に参加する学生(シエラレオネ)

日本は発効から4年後の1985年(昭和60年)に批准。2020年(令和2年)10月時点で締約国が189カ国、署名国が99カ国存在しており、アジアでは日本も含めインドやバングラデシュなど40カ国、アフリカではナイジェリアやスーダンなど54カ国が締約しています※3。なお、条約批准の意志を正式に宣言するには、加入書を国際連合事務総長に寄託することが定められています。

  1. ※1「女子差別撤廃条約」(外務省)
  2. ※2「女子差別撤廃条約・選択議定書」(国連広報センター)
  3. ※3「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約 締約国一覧」(外務省)

1999年に採択された「女性差別撤廃条約選択議定書」とは?

女性差別撤廃条約制定から20年を経た1999年、条約の実効性を強化し、一人ひとりの女性が抱える問題を解決するために、あらためて採択されたのが「女性差別撤廃条約選択議定書」(以下、選択議定書)です。2023年2月時点で、115カ国が批准しています。
選択議定書は、締約国の個人又は集団が条約に定められた権利の侵害を女性差別撤廃委員会に直接通報する権限を認め、国連が通報に基づく調査・審査を行い当事者・政府に「意見」「勧告」を送付するとしており、女性差別解消に重要な役割を果たすものと言えます。

選択議定書には「個人通報制度」と「調査制度」の2つの手続きがあります。

個人通報制度

条約で保障された人権を侵害された被害者が、国内の救済手続きを尽くした後、条約機関に申立てを行うことができ、条約機関がこれを審査して見解を出すという制度です。条約機関が通報者の人権侵害を認める見解を出したとしても、この見解は当該締約国に対し法的な拘束力を持つものではありませんが、国際的にも国内的にも一定の影響を期待することができるとされています。

調査制度

通報された内容をもとに女性差別撤廃委員会が調査を行い、結果と措置を締約国に通知する手続きを指します。

    【出典】

  1. 「OHCHR Dashboard」(OHCHR)
  2. 「女子差別撤廃条約・選択議定書」(国連広報センター)

【日本の選択議定書批准にむけて】

女性差別撤廃条約の実効性の確保を図ろうとする国際的動向の下で、日本政府は選択議定書の審議に参加し決議に加わりましたが、まだこれを批准していません
日本政府は、第5次男女共同参画基本計画で「女性差別撤廃条約の選択議定書については、諸課題の整理を含め、早期締結について真剣な検討を進める」としています。これを踏まえて、複数の自治体からは、地方自治法第99条の規定に基づき、日本政府が自国の司法制度や立法政策との関連課題等が早急に解決されるよう環境整備を進め、女性差別撤廃条約選択議定書を早期に批准することを強く要望する意見書が提出されています。

女子差別撤廃条約の締結後に世界で生まれたジェンダー平等への取り組み

条約が締結されたとしても、即座に女性差別がなくなる訳ではありません。女の子と女性に対するあらゆる形態の差別をなくすためには、持続可能な開発目標(SDGs)の目標5にも掲げられているジェンダー平等の実現にむけて、世界各国の速やかな対策が求められます

ここでは、世界各地の女性差別撤廃にむけた取り組みを「アフリカ」「アラブ」「アジア」の3つの地域別にご紹介します。

アフリカ地域の取り組み

アフリカでは、家父長的社会構造や男尊女卑の文化、女性の相続権や所有権を制限している慣習法や婚姻制度など、さまざまな制度や慣習がジェンダー平等を阻んでいます。多民族社会の現状を反映して、複数の婚姻制度(市民婚、慣習婚、宗教婚)が法的に認可される一方で、多様な婚姻形態(一夫多妻、レヴィレート⦅寡婦が死亡した夫の兄弟と結婚する慣習⦆、亡霊婚、女性婚など)の慣行を容認している国も多く、男性に有利な制度や形態が多いことが問題視されています。変革を求めるアフリカ女性とそれを支援する国際社会の取り組みが進められているにもかかわらず、女性性器切除(FGM)や児童婚の慣習も依然として続いています。

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そのようななか、政治の分野において、好ましい変化が見えている国があります。スーダンでは2008年に選挙法の規定のなかで、議会における女性の数を25%以上にすることを義務付けたことで、女性の政治参加数が増加しました。また、2023年にはスーダン女性運動が70周年を迎えたのを機に、ジェンダーのデジタル格差に焦点を当てたイベントが開催するなど、女性の地位を高めるための活動を積極的に展開しています

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ジェンダー平等を訴える女の子たち(スーダン)

アラブ地域での取り組み

ジェンダーが完全に平等な状態を100%とした場合の達成率が62.6%と、北アフリカと並んでジェンダー格差が最も大きい地域とされている中東地域では、識字率や就学率などが指標となる「教育」の達成率は95.9%(世界平均95.2%)、健康寿命や男女の出生比を指標とする「健康」は96.4%(同96.0%)で世界平均をわずかに上回っている一方で、労働参加率、賃金格差、専門職・技術職や管理職の男女比などが指標となる「経済」は44.0%(同60.1%)、国会議員・閣僚の男女比などが指標となる「政治」は14.0%(同22.1%)と、世界平均を大きく下回っています

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そのような状況下で、エジプトでは2023年2月に職場における女性のリーダーシップを強化し、女性の経済的・社会的エンパワーメントの向上を目的としたエジプトジェンダー連合(EGA)が立ち上げられました
同連合が展開するEGAアカデミーでは女性の雇用を高め労働市場でリーダーシップを向上させるための研修プログラムを実施しています

アジア地域での取り組み

「Global Gender Gap Report」(世界男女格差報告書)の2023年版にて、フィリピン(16位)、シンガポール(49位)、ベトナム(72位)、タイ(74位)など複数の国々が上~中位に入っているアジア地域ですが、中央アジアの4カ国カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタンでは、女性が労働の対価として得られる賃金の世界平均が男性が得る賃金の約80%を大きく下回っています(カザフスタン:78%、キルギス:75%、ウズベキスタン:61%、タジキスタン:60%)しかしながら、これらの国々では現状に甘んじるだけではなく、格差を縮小させるための努力が続けられているのも事実です。

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例えば、カザフスタンは2021年の国際フォーラム「平等の世代」の2つの行動連合に参加し、ジェンダーに基づく暴力と闘い、経済的正義と権利を確保することに取り組んでいます。国際フォーラムへの参加を通じて、女性の禁止職業リストを撤廃し、2030年までの家族とジェンダーに関する政策を発表。政策のなかに、行政機関、代表機関、司法当局、州、準州、および企業部門の意思決定レベルにおける女性の割合を2030年までに30%に増やす計画を含めています

女性差別の程度を知る方法はある?

各国の男女差別の現状は、世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表するThe Global Gender Gap Reportのなかに示される「ジェンダー・ギャップ指数」で測ることができます。

「ジェンダー・ギャップ指数」は、「経済」「教育」「保健」「政治」の分野ごとの男女格差を数値化したものです。完全な男女平等を「1」とし、「0」に近づくほど不平等な状況を示しています

女性差別撤廃のためのプラン・インターナショナルの取り組み

世界経済フォーラム(WEF)は、2023年の報告書のなかで、現在の速度では、世界の男女格差が解消されるまでには131年を要すると勧告しています。また、コロナ禍以前の水準に回復しつつあるジェンダー公正(Gender Parity)の進展も鈍化しており、「経済活動への参加と機会」の分野は2022年よりも後退したと指摘しています。今この瞬間にも、世界中で女性差別撤廃のための取り組みが行われているものの、完全な「撤廃」までは時間がかかると明言しているのです。

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このうねりのなかで、プラン・インターナショナルも、女の子が直面する問題に焦点を当てた「ガールズ・プロジェクト」を展開することで、「女の子だから」という理由で差別や偏見を受けている女の子を守るためのプロジェクトを実施し、女の子たちが自立して、自分の選択で人生を歩むことができるよう支援を続けています。

ここからは、プラン・インターナショナルが現在実施中の「ガールズ・プロジェクト」の一部をご紹介します。

「早すぎる結婚の防止」プロジェクト

ベトナムでは、特に農村地域における少数民族の間で早すぎる結婚をする割合が高く、ハザン省やライチャウ省に暮らすモン族では、女の子の53.4%が18歳未満で結婚しています。早すぎる結婚をした女の子は、学校を中途退学することが多く、このことは将来収入を得る機会を失うことにもつながります。また、幼い妻は家庭内で地位が低く発言権が与えられないうえ、体が未発達な状態での出産により健康を損なうなど、さまざまな問題に直面します。

写真:早すぎる結婚の防止にむけたトレーニング(ベトナム)

早すぎる結婚の防止にむけたトレーニング(ベトナム)

この問題を解決するために、プラン・インターナショナルは、ベトナムの女の子や男の子、若者に早すぎる結婚の弊害について伝える活動を行い、早すぎる結婚やジェンダー平等に関する知識を伝えることで、差別的な社会規範に気づき行動を変えるきっかけを作っています

「女性性器切除から女の子を守る」プロジェクト

アフリカと中東地域の約30カ国で、約2000年前から続けられていると言われる「女性性器切除」(Female Genital Mutilation、以下FGM)。大人の女性になるための通過儀礼・結婚の条件として、幼児期から15歳ごろまでの女の子の性器の一部を切除するものです。不衛生な環境で麻酔なしで行われることも多く、激痛と出血をともない、命を落とす女の子もいます。死に至らなくとも、感染症や出産への悪影響を引き起こし、強い恐怖が心の傷として残る場合もあります。

写真:FGM根絶を訴える女の子クラブの啓発イベント(スーダン)

FGM根絶を訴える女の子クラブの啓発イベント(スーダン)

FGMを禁ずる国際条約を批准し、法律で禁止する国も多いなか、ソマリアはFGMが合法である数少ない国の一つで、15歳から49歳の女性のうち99%が施術されています。スーダンではFGMが刑法で禁止されていますが、法の執行が不十分であるため、今も水面下で広く続けられており、15歳から49歳の女性のち86.6%が施術されています※2。FGMが女の子や女性におよぼす負の影響について知られつつありますが、大人の女性になるために必要なこと、女の子が良い結婚をするための条件などという考えが根強く、やめるという決断を下すことが難しい状況です。

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プラン・インターナショナルはFGMの根絶に向け、ソマリアとスーダンでFGM(女性器切除)の被害を受けた女の子の心身のケアを行っています。また、家族や地域住民、行政にむけてFGM(女性器切除)の根絶を働きかけることで、法的措置の強化や住民への啓発活動を続けています。

あなたの周りにもある差別。勇気を出して声をあげてみませんか

古くて新しい問題、「女性差別」。歴史を振り返ってみても、古今東西さまざまな時代において、女性たちは不当な差別と偏見に苦しみ虐げられてきました。しかし、ただ現状に甘んじ、不条理に黙って屈してきたわけではありません。どの時代においても、その時々で自らの身を投じて差別に立ち向かい、声をあげた女性たちのバトンがつながり今に至っています。日本の女性たちのなかにも、進学や就職など人生の岐路に立ったとき、「女の子だから」「女の子なのに」など、性別を理由に夢をあきらめてしまった経験がある人も少なくないのではないでしょうか。

写真:プランの活動に参加する女の子(グアテマラ)

プランの活動に参加する女の子(グアテマラ)

差別や偏見を生む最大の原因は、無知や無関心であると言われています。私たち一人ひとりが経験し得る身近な差別の問題と、世界の女の子たちが今なお直面している差別の問題の根本は同一であることを理解し、状況を変えるために声をあげることが、差別のない社会をつくっていく第一歩となるのではないでしょうか

写真:ガールズ・プロジェクト

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プラン・インターナショナルは、女の子が本来持つ力を引き出すことで地域社会に前向きな変化をもたらし、世界が直面している課題の解決に取り組む国際NGOです。世界75カ国以上で活動。世界規模のネットワークと長年の経験に基づく豊富な知見で、弱い立場に置かれがちな女の子が尊重され、自分の人生を主体的に選択することができる世界の実現に取り組んでいます。

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