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【完了報告】ソマリア「干ばつ危機下の子どもの教育」プロジェクト
グローバル・プロジェクト
(更新)
プラン・インターナショナルは、2022年7月からソマリアで実施していた「干ばつ危機下の子どもの教育」プロジェクトを、2023年6月に完了しました。
ご支援くださった皆さまに心よりお礼を申し上げるとともに、プロジェクトの成果を写真や現地の声とともにご報告します。
活動内容
学用品や生理用品の支給、教員研修を通じて子どもの教育継続をサポート
長引く干ばつによって生計手段である家畜を失い、収入が途絶えた家族を助けるため、学校を休んで働き始めた男の子。近くの井戸が枯れ、遠くの井戸まで水汲みに行くため学校に通うのをあきらめた女の子。干ばつの影響で子どもたちは学校を休みがちになり、なかには1年以上も欠席している子どももいました。
プロジェクトでは、子どもたちが学校に通い続けることができるよう、学用品の支給、学校での給水施設やトイレなどの環境整備、特に貧しい世帯には6カ月間限定の現金給付を行いました。また、頻繁な欠席などによって学習に遅れがでている子どもたちに対する補習授業を実施。遅れを取り戻すことで、子どもたちは「学校に通い続けよう」、「また学校に行こう」といった気持ちも取り戻すことができました。
プロジェクト実施地域では、教壇に立つ先生のうち24%が正規の教員養成課程を修了しておらず、また教員資格を持っていません。そこで、教員資格を持たない先生20人に対して研修を実施し、研修後のフォローアップとして補習授業を担当してもらいました。この補習授業には394人の子どもが参加し、その全員が学年末テストで平均点以上の点数を取ることができました。
また、女の子が生理中も学校に通い続けられるよう、繰り返し使える布ナプキンを学校で配るとともに、生理や第二次性徴などの体の仕組みについて理解を深めるための学びの機会も提供しました。ソマリアの多くの地域では月経はタブー視され、話題にすべきではないものとされています。「干ばつ」と「生理」という二重の課題を乗り越えるための取り組みを行いました。
プロジェクト背景
世界最貧国の一つであるソマリアでは、雨期に十分な降雨量を得られない状況が続き、干ばつが深刻化。水源は枯れ、家畜は息絶え、放牧をおもな生計手段としていた多くの人々が生活の糧を失いました。食料や燃料価格の世界的な高騰も、厳しい暮らしにさらなる追い打ちをかけていました。教育は後回しにされ、長期間学校に通えず、学習面で大きく遅れをとってしまっている子どもたちが大勢いました。
主な活動の成果
地域 | トグデール州 |
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期間 | 1年(2022年7月~2023年6月) |
主な支援内容と対象 |
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関連リンク
現地の声
ハムダさん、15歳、小学生
「12歳で初めて生理が来たとき、大きな衝撃を受けました。自分の体に何が起こっているのか分からなかったからです。姉に聞いたら、『生理は普通のことだけど、女の子だけに起こるもの』と説明されました。また、生理は『大人の女性であり、結婚する準備ができた状態』でもあると言われました」
理解ある家族はハムダをすぐに結婚させず、学校に通わせ続けていましたが、生理用ナプキンを入手することは難しく、ハムダは時々、経血の漏れを古着で拭う必要がありました。
「以前は生理が来るたび1週間も学校を休んでいました。生理用ナプキンを使ったり、体を拭いたりするものがなかったから、とても恥ずかしかった。学校のトイレにはドアがなく、誰かに見られるかもしれないと思うと、生理中に学校に通うことは考えられませんでした。そのために何度も授業を休まなくてはなりませんでした。でも、授業を休むと遅れをとってしまうのです。
プランから支給された生理用品キットには、生理用ナプキンや石けんなどの必要なものが入っていました。以前は古布で代用していたので、ナプキンを使えるのはとても嬉しいです。また学校には女子トイレが設置されました。男子トイレからは離れているので、学校でも安心してトイレに行けるようになりました。生理中でも授業を休まずに済みます。とても嬉しいです」
マルワさん、15歳、ハムダさんの同級生
「私も初めての生理は12歳のときでした。ハムダと同じように、生理について何も知りませんでした。誰も生理について教えてくれず、生理が来たときはショックでとても怖かったです。母に話すと、『生理は普通のことで、女の子なら誰でもなることだから心配することはない。でも、このことは誰にも言ってはいけない』と言われました。母は、誰にも話してはいけない理由は教えてくれませんでした。とにかく生理が怖かったから、生理中は学校に行きませんでした。今は学校でもらった生理用品を使っています。生理のときは本当に助かります。生理用ナプキンの使い方も覚えたし、自分の体のケアもできるようになりました」