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女の子たちの声に耳を傾け続けた1年~女の子のための居場所・相談プロジェクト(日本)~
ガールズ・プロジェクト
日本
(更新)
プラン・インターナショナルは、日本の女の子や若年女性を支援するため、2023年1月から「女の子のための居場所・相談」プロジェクトを実施しています※。
女の子が差別や偏見によって弱い立場に置かれがちな状況は、途上国に限ったことではありません。日本国内でも多くの女の子や若年女性が、ジェンダーに基づく差別や不平等、暴力にさらされ、困難に直面しています。このプロジェクトでは、15歳から24歳の女の子のための居場所「わたカフェ」(東京都豊島区)と、全国からアクセスできる「チャット相談」を提供し、社会や家庭から孤立し生きづらさを抱えている日本の女の子と若年女性を支援しています。
活動開始からまもなく1年を迎えるにあたり、これまでの活動の様子を、2023年に実施した利用者アンケートの結果を交えて報告します。
- ※2020年6月よりパイロット事業として本事業を開始しています
「誰かと話がしたい」女の子たちの心の声
居場所「わたカフェ」の存在は、SNSや口コミなども通じて、徐々に認知されるようになってきました。オープン時間になるとドアの前に女の子が待っているという日も珍しくありません。利用者の多くが月に1度、頻度の高いケースでは週に1度のペースで「わたカフェ」に立ち寄り、日々の暮らしのなかで溜め込んでいる悩みを打ち明けてくれます。
「わたカフェ」では、15歳から24歳の女の子に安心して自由に過ごしてもらえるような工夫をしています。無料でパスタや親子丼、コーヒーやジュース、お菓子などを提供しているほか、Wi-Fiや電源も利用可能です。アンケートの利用目的を問う設問に対し最も多くを占めたのは、「だれかと話がしたい」と「身体や生活、心のことで相談したい」という回答でした。
スタッフと利用者間の関係構築が相談の鍵
「わたカフェ」の特長のひとつは、社会福祉士や臨床心理士、助産師などの専門家による個別相談の提供です。利用者の半数が利用しています。一般的に、専門家に相談するのは敷居が高く、「いつでも話してね」と待っているだけでは、相談支援は始まりません。「わたカフェ」では、専門資格を持つスタッフが、積極的に利用者に話しかけ、良好な関係づくりに努めています。アンケートのなかには、声かけについて「タイミングがよくなかった」との回答もありましたが、「たのしかった」、「気持ちが落ち着いた」、「すっきりした」などの声が大半を占めました。スタッフとの良好な関係を築くことができて初めて、利用者の女の子たちは、希死念慮をともなう苦しい気持ちや、生活困窮、身体のことや障がいなどの悩みを語ってくれます。
一人ひとりを尊重し傾聴することで寄り添う
このプロジェクトで大切にしていることは、女の子たちを尊重し、その言葉に耳を傾けること。困難を抱えた女の子に、「あなたは一人ではない」というメッセージを伝え、寄り添うことです。
2022年に発表された子供若者白書(内閣府)によると、相談できる人がいる場所を多く持っている子どもや若者ほど自己肯定感が高く、将来に希望を持ちやすく、またチャレンジ精神も高いという傾向があります。
このプロジェクトでは引き続き、困難な状況にあって生きづらさを抱えた女の子に安心して相談できる居場所を提供し、一人ひとりが人生を少しでも前向きに歩めるように支援していきます。
※2024年1月のプラン・ラウンジでは、このプロジェクトの活動報告を行います。ご参加をお待ちしています。
2024年1月27日(土) | 11:00~12:00 |
【プラン・ラウンジ1月】オンライン開催「日本の女の子の孤独に寄り添う『チャット相談』の現場から~女の子のための居場所・相談プロジェクト~」 |
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担当者の声
濱田 憲和職員(国内支援事業グループ)
「わたカフェ」は、女の子が疲れたときには休めたり、誰かに合わせたりしないで、自分の歩みを進める準備ができる「居場所」になるようデザインしています。
しかし、利用の初日からすぐに女の子の「居場所」になるわけではありません。女の子が居心地の良さを感じて利用を続けるうちにスタッフと関係ができ、この人になら相談してもいいかな、と思えるようになって悩みを話してみる。そうしたステップを経て、自分自身がそのまま受け入れてもらえていると感じられる場所、文字通り「居場所」になっていきます。女の子が抱える困難の多くは、「わたカフェ」を利用し、相談したからといってすぐに解決できるものではありませんが、日常のなかに安心できる「居場所」が存在し続けることで、女の子を励まし、持っている力が発揮されるよう促すことができます。今後も、女の子への関わりのプロセスをお伝えしていけたらと思います。