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ブラジルのスラム街はどんなところ?問題と女性や子どもに必要な支援

(2025年09月24日更新)

ブラジルには「ファベーラ(ファヴェーラ)」と呼ばれるスラム街が存在します。ファベーラで暮らす住民は、衛生や治安をはじめとした多くの問題に直面し、命の危険にもさらされています。スラム街では教育や就職の機会を得られない女性や子どもが多く、貧困の負の連鎖を断ち切ることが難しい点が大きな課題です。人々の暮らしを改善するための一歩として、一体どんな支援が必要なのでしょうか。

ここでは、ブラジルのスラム街であるファベーラの問題や、現地の人々に必要な支援について解説します。

ブラジルのスラム街「ファベーラ」とは?

はじめに、ブラジルのスラム街「ファベーラ」に関する基本的な情報をご紹介します。ファベーラとはどんな場所で、どんな背景があるのか見てみましょう。

ファベーラの歴史

ブラジルのファベーラは、もともと19世紀末に移民や移住労働者によって自然発生した不法居住地であり、都市部における貧困層の増加にともない徐々に人口が増えていった背景があります。その後、貧困地区で発生する病気や犯罪の深刻化を受けて政治的な注目が高まると、1940年代には市政府・州政府によってファベーラの撤去と公営住宅建設が計画されました。
ところが、住民の強制立ち退きと移住では問題の根本解決には至らず、最終的に計画は頓挫し、ファベーラは以降も拡大を続けます。ブラジルのスラム街の問題は、現在もなお解決されないまま残されています。

ファベーラ

立地と規模

ファベーラは、ブラジルのリオデジャネイロ州リオデジャネイロ市および周辺都市に1,000カ所ほど点在しています。具体的には、リオデジャネイロ市の中心部と国際空港を結ぶ高速道路周辺や、観光地・高級住宅街の周辺などに位置しています。

住民の生活

ファベーラの住民は、主に低所得者層で構成されています。現地では劣悪な住環境による衛生問題、犯罪や暴力の横行など、数多くの社会問題を抱えているのが現状です。その一方で、ファベーラでは地域住民コミュニティの連帯により、独自の文化や経済活動が生み出される革新的な側面も見られます。

漁に出かける姉弟

ブラジルのスラム街で住民が直面する社会問題

ファベーラでは、地域住民がさまざまな社会問題に直面しています。ここでは、具体的に現地の人々が抱えている問題をご紹介します。

貧困と経済格差

ブラジルは世界的に見ても富裕層と貧困層の経済格差が大きい国として知られています。ジェトゥリオ・ヴァルガス財団(FGV)の研究データによると、2021年にはブラジルの総人口の約29.6%が、世帯収入497レアル以下(1人当たり)の貧困層であると明らかになりました。経済格差は国の経済に不安定性をもたらし、経済成長の抑制にもつながりかねません。

  • ※約9,900円(2021年の平均的な為替水準 1ブラジル・レアル=約20円で計算した場合)

有名なキリスト像があるリオデジャネイロ

劣悪な住環境とインフラ不足

スラム街では、インフラ不足により住民の健康問題が懸念されています。現地には電気・上下水道・道路などの生活に必要なインフラが十分に整っていない場所が少なくありません。また、上下水道の不足から衛生を保つことが難しく、劣悪な住環境で暮らさざるを得ない人たちが数多く存在します。

治安の悪化と犯罪組織の存在

ブラジルのスラム街は犯罪被害多発地域であり、犯罪組織間の抗争や銃撃戦に一般市民が巻き込まれる事例も少なくありません。リオデジャネイロ日本商工会議所が公表するデータによると、2024年におけるリオ州の犯罪件数は殺人事件が2,930件、強盗総数が10万6,970件となっています。治安の問題から住民が安全に暮らすのが非常に難しい状況です。

都市部の路地

教育・雇用期間の不足

ブラジルのスラム街で暮らす貧困層のなかには、経済的に学校へ通うのが難しかったり、中途退学を余儀なくされたりする子どもたちがいます。特に女の子は18歳未満で早すぎる結婚(児童婚)をさせられ、勉強したくてもできないケースが少なくありません。
このように適切な教育を受けられない事情や、不安定な雇用形態が一般的である事情から、貧困を抜け出すことがますます難しくなってしまいます。

幼い娘を抱く若い母親

人口増加と過密

ブラジル地理統計資料院(IBGE)が2024年に公表した人口予測によると、ブラジルの人口は今後も増加を続けて、2041年には2億2,042万5,299人というピークに達すると見込まれています。都市部の人口が過密化すると、居住に必要なサービスの需給バランスが崩れ、すべての住民に行き届かなくなるおそれがあります。

社会的排除と差別

ブラジルのスラム街で暮らす住民は、社会的排除や差別にも苦しんでいます。過去にファベーラを撤去する政策が進められた歴史があるだけでなく、現在でも貧困層に対する差別や人種差別は根絶が難しい状況だといえるでしょう。日々、抑圧や迫害による不安を抱えながら暮らす人々が少なくありません。

ブラジルのスラム街で暮らす女性や子どもに必要な支援

ここまで、ブラジルのスラム街で暮らす女性や子どもたちが多くの困難に見舞われている現状をご紹介しました。ファベーラの人々がより良い暮らしをしていくために、今どのような支援が必要なのかを考えてみましょう。

教育の充実

スラム街で暮らす子どもたちが適切な教育を受けられるよう、学校教育の充実化を図る必要があります。学校の資金不足や教員の能力不足といった課題を抱えている現場を改善することで、子どもたちの可能性を広げられるでしょう。

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女性の経済的自立支援

スラム街を出られない貧困層の女性たちは、雇用や職業訓練の機会を得られないことが多く、経済的な自立が難しい傾向にあります。そこで、女性向けの職業訓練を提供し、経済力の強化を支援することが大切です。

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プラン・インターナショナルの起業研修に参加する若者たち

保健・医療サービスの強化

ファベーラでは治安や衛生の問題が多発しており、住民は暴力や感染症による健康課題に直面しています。こうした特有の健康課題と向き合うために、インフラ整備や保健医療サービスの強化に取り組まなければなりません。

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子どもの安全と権利保護

スラム街では、ストリートチルドレン(街路などの公共空間で生活せざるを得ない子どもたち)や児童労働といった、子どもの人権にかかわる大きな問題が起こっています。生活上のリスクや暴力から子どもを守るために、地域ぐるみの支援体制が不可欠です。

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あなたもブラジルのスラム街問題にアクションを起こそう

ブラジルには、リオデジャネイロ市を中心としてファベーラが多数点在しています。スラム街では人々が安心して健康的に暮らすための基盤となるインフラが不足しているだけでなく、日々暴力や人権侵害と隣り合わせで生きている女性や子どもがたくさんいます。
そんなブラジルから遠く離れている私たちにも、スラム街問題の解決へ向けて小さなアクションを起こすことが可能です。

国際NGOプラン・インターナショナルは、ブラジルで活動を行っています。貧困層の女性や子どもが直面する問題に対して、「質の高い教育の提供」「経済力の強化」「暴力や災害からの保護強化」などへ積極的に取り組んでいます。世界で支援を必要とする女性たち、子どもたちのために、ぜひあなたのお力をお貸しください。

寄付の方法によっては、支援先の子どもと手紙を通じて交流しながら、日々の成長を見守ることもできます。

寄付によって実現できる支援の内容について、詳しくは以下のページからご覧いただけます。

子どもたちのために、ぜひあなたのお力をお貸しください

あなたにできる支援

運営団体

国際NGOプラン・インターナショナルについて

国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに世界80カ国以上で活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。

写真:プラン・スポンサーシップ

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