(2024年08月28日更新)

女性にとって「生理」は身近ですが、意外と知らないことも多い話題。
もし悩みがあっても、周りに相談できない人もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、いまさら聞けない生理のキホンから、ツライ痛みを緩和する方法まで、生理の全体像を詳しくご紹介します。
教えてくれたのは、プランの評議員を務めてくださっている「女性ライフクリニック銀座・新宿」理事長の対馬ルリ子先生です。
対馬ルリ子 先生
1984年に東京大学医学部産婦人科学教室入局。都立墨東病院総合周産期センター産婦人科医長、女性のための生涯医療センターViVi初代所長を経て、2002年に「ウィミンズ・ウェルネス銀座(現 女性ライフクリニック銀座)」を開院。
いまさら聞けない!生理のキホン
まずは先生に、生理のキホン知識を教えてもらいました。
対馬先生「そもそも“生理”という用語は通称の呼び方で、医学的には“月経”といいます。月経は、妊娠しなかったカラダを、月1回リセットすることをいいます。要するに体のお掃除ですね」
初経(はじめての月経)の平均年齢は12歳で、閉経(最後の月経)の平均年齢が51歳。ほとんどの女性は約40年間、毎月月経があります。
ちなみに女性が一生涯に経験する「月経回数」ですが、昔と現代では大きな違いがあります。
「昔の人(戦前)では、妊娠/出産の回数が多いため無月経期間がすごく長かったんです。一生涯の月経回数は50回くらいでした」
それに比べて、現代の女性は妊娠/出産の回数が少ないため、一生涯の月経回数は450〜500回。つまり、昔の人よりも10倍程多いことに!
このように月経回数が多いことによって、病気リスクが生まれやすいそう。
「排卵の時は卵巣が破れて勢いよく卵が出るため、卵巣に大きな負担がかかっています。それにより卵巣がんが増え、毎月月経の時に子宮内膜が剥がれるので、内膜の異常も増加傾向にあります」
現代人は、卵巣がん、乳がん、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣のう腫などのリスクが上がっているそう。月経がある年代(10代〜40代)は婦人科系の病気に要注意!
次の項目からは、月経にまつわるお悩みと、その解消法を紹介していきます。
急激なダイエットは「月経不順」の原因に
みなさんの「月経周期」は正常の範囲内ですか?
「月経が終わってから月経周期を数える人が多いですが、これは間違い。月経が始まった日から、次の月経が始まる前日までを月経周期といいます」
一般的な月経周期は28日ですが、25日〜38日の中であれば正常範囲だそうです。これに当てはまらない人を「月経不順」といいます。
なぜ月経不順になるのでしょうか?
「排卵は、脳から指令が届いて行われます。その指令が止まる/乱れるというのは、脳が『排卵を止めなきゃ!』と思う原因があるということ」
脳はカラダに異変が起きると、排卵をストップします。
その状態が3カ月以上続くことを「無月経」といいます。無月経の一番の原因は“急激なダイエット”にあるそう。
「ダイエットなどで急激に体重が減っている人は、カラダが“飢餓状態”と認識され、脳が『妊娠すると赤ちゃんに栄養が取られて危ない!』と、排卵をストップします。つまり、体内の環境が全部良く整っている状態で、はじめて脳が安心して排卵の指令を出せるんです」
理想体型に近づくためにダイエットや筋トレをする人も多いですが、やりすぎはNG!
不要だと思いがちな脂肪(皮下脂肪)も女性にとっては必要な余剰エネルギーです。一方、太り過ぎも排卵が不安定になりますので、適正体重を守りましょう。
「貧血」には要注意!
月経のトラブルで多いのが「貧血」です。
血液(ヘモグロビン)を作るには、鉄が必要ですが、月経では毎月血がでていくため貧血に陥りやすい。血液は酸素を全身に運ぶ役割があるので、貧血になるとカラダに酸素が行き渡らず、常に酸欠状態に…!
貧血の検査では、ヘモグロビンの数値を調べます。
女性だと12g/dLを下回ると貧血ですが、徐々に進行するため気づいていない人が多いそうです。
「11g/dLを割ると、顔色が悪くなったり、髪の毛がパサパサになったりと症状が現れます。そして10g/dLを下回ると動悸がしたり、階段が登れなくなります」
「私が今まで見たなかで一番ひどい貧血は5g/dLの人。よく立ってられるなぁ…という感じでしたが、本人は子どもの頃から慣れっこなので大丈夫というばかり。貧血であることを自覚していない状態ですね」
貧血は生命に関わるので、放置してはいけない状態。
検査で貧血と判断された場合には、食事やサプリメントなどで積極的に鉄分を補いましょう。
「月経がつらい…」3人に2人が月経痛
女性の3人に2人が月経時に痛みを感じる「月経痛(生理痛)」を抱えています。
そもそも、なぜ月経時に痛みが出るのでしょうか?
「痛みが出るのは、月経時に子宮内膜が壁から剥がれる時です。子宮内膜が剥がれる時にプロスタグランジンが産生され、子宮の筋肉が収縮して血液を外に押し出します。プロスタグランジンはまるで陣痛のような痛みを起こす物質です」
内膜の剥脱量(剥がれる量)が多いと、痛み物質であるプロスタグランジンも大量に出るそう。市販の鎮痛薬にはプロスタグランジン産生を抑制する成分が配合されているので、痛い時は迷わず服用しましょう。
もし、あまりに痛く、生活の質を落としているレベルであれば、「月経困難症」に該当します。該当する場合は婦人科へ相談を。
「生理前にイライラする…」PMSを理解しよう
ここ最近、浸透してきたPMS(月経前症候群)という言葉。
PMSとは、月経前におこる精神的・身体的な不調のことで、月経がはじまると和らぐのが特徴です。
なぜPMSが起きるのでしょうか?
「生理前は2つの女性ホルモンが大きく変動するため、それによって引き起こされると考えられています。また、痛み成分・プロスタグランジンも関係しています」
「PMSが重くなる原因は、ストレスを抱えている、寝不足が続いている、疲れが溜まっている…といった環境要因も大きいですね」
PMSがひどい人は、月経痛もひどくなる傾向にあるそう。そうなると、月に2〜3週間も調子が悪い状態が続くことになります。
「PMSで荒れているときは自己嫌悪に陥ると思いますが、本人のせいではなく女性ホルモンのせい。本人も周囲もそのことを理解しつつ、職場や家庭でもPMSが重い人がいるのを理解することが重要だと思います」
PMSが重い人は放っておくとカラダにもメンタルにも大きな影響が出る可能性があるため、ぜひ早めに対処しましょう。
痛みはガマンしないで!薬を上手に活用しよう
PMSも月経痛も、「仕方がない、女性にはつきもの…」と痛みを放置したり、ガマンしたりする人が多いですよね。しかし先生は、痛みの裏に病気が潜んでいることもあると警鐘を鳴らします。
「PMSも月経痛も、痛みを放置したり、ガマンしたりすることは非常に問題。なぜかというと、痛みを放っておくとたくさんの病気のリスクが高まるからです」
月経痛がひどい人は、そうでない人に比べて子宮内膜症や子宮腺筋症になりやすいそう。
「まずは痛みを取ること、そして異変を感じたら婦人科で超音波検査を受けてください。超音波でしか見つからない病気もあります」
さらに先生は、痛みをおさえるには薬を積極的に活用することを勧めています。ここでは、薬の種類と特徴を紹介していきます。
市販の鎮痛薬
PMS、月経痛ともに痛み成分・プロスタグランジンが関係しています。
市販の鎮痛薬(バファリン、イブプロフェン、ロキソニンなど)には、プロスタグランジン阻害成分が入っているので痛みに効果的。
痛みがでた後(プロスタグランジンが放出されてしまった後に)に服用しても効き目は少なく、“痛みがでる前”に飲むことが重要です。
低用量ピル
最近、じわじわ広がってきた「低用量ピル」も痛みに効果的です。
「低用量ピルは排卵をお休みしてホルモンバランスを整えることができます。月経量もへり、月経痛も半分以下になります。痛みが強い人は、3カ月くらい服用することでだいぶ回復しますよ」
漢方
「婦人科では3つの漢方をよく使います。漢方は低用量ピルとの組み合わせもとても良いんですよね」
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷えや月経に伴うホルモンバランスの乱れによる諸症状を緩和。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん):自律神経の乱れ〜精神の不安定までをカバー。PMSのイライラに効果的。
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):血の巡りをよくして、ホルモンバランスを整える。頭痛、肩こり、のぼせなどの症状に有効。
その他のお薬
もし痛みのほかに、メンタルに症状が出てしまう人は、抗不安薬(安定剤)など他のお薬と併用することもあるそう。
「神経の緊張を和らげる安定剤や、不眠の人には睡眠薬を処方することもあります。これらはずっと飲み続ける薬ではなく、一時的な症状緩和としての役割。上手に使えばPMSもだいぶ楽になりますよ」
薬は効果的とわかりつつも、「できれば薬に頼りたくない…」「常用したくない」と思う人も多いと思います。その点はどうなのでしょうか?
「痛いときに鎮痛薬を使うことや、さまざまな薬に頼ることは現代女性のかしこさのバロメーターです。たとえばピルは、すでに70年以上の長い歴史と研究データがあり、世界中で数10億人が日常的に使用しています。それを自然じゃない、薬だから怖いといって遠ざけるのは、写真を撮ると魂が奪われるといった迷信を信じるのと同じではないでしょうか」
先生いわく、先進国では約8割の女性たちがピルの使用経験があるそうですが、日本ではいまだに10%以下程度だそう。
「世界中の女の子は日常的にピルを使って、月経をコントロールしています。このようにお薬を上手に使えることこそが、現代を生きるスマートな女性だと私は思いますね」
***
いかがだったでしょうか?
生理のキホンから、さまざまなお悩みと解決策を紹介してきました。
ぜひ知識を身につけて、そして辛い時はお薬に頼ったり、婦人科に訪れたりと、生理とうまくつきあっていけるといいですね。







