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(2023年06月26日更新)

世界を見渡すと、古今東西いつの時代においても、人間が営む生活のなかには、類似するもの同志が一体化する傾向が見られます。そして、異なる要素を持つ少数派に対し優位性を示し差別しようとする動きが繰り返されてきました。

学校や会社といった小さな単位から、地域や国家といった大きな単位まであらゆる社会において見られる差別について、差別の原因や世界各地で起こっている差別の状況を、人権の視点から解説します。

写真:ジェンダー平等について学ぶグループ(カンボジア)
ジェンダー平等について学ぶグループ(カンボジア)

差別のない社会を実現するために

差別が起こる原因とは

世界には、さまざまな形式の差別が存在しています。社会のあらゆる場面で、性別、人種、年齢、出身地、職業などによって生じる差別。そもそも、差別はなぜ起こるのでしょう。

差別の大きな原因は「偏見」

差別が生まれる背景には、ある集団に属する人々に対して、特定の性格や資質をみんなが持っていると見なしたり、信じたりする「固定観念」(ステレオタイプ)があります。そのステレオタイプに、好感、憧憬、嫌悪、軽蔑といった感情を伴ったものが「偏見」です。
例えば、性別の違いで固定的な思い込みや偏見を持つことを「ジェンダーバイアス」と言います。この「ジェンダーバイアス」により、性別によって能力差があると決めつけ、社会的な評価や扱いに差をつけるとどうなるでしょうか。いわゆるジェンダーに基づく差別が生まれます。このように、他者への理解不足や誤ったステレオタイプが偏見を生み、差別を作りだしてしまうのです。

歴史や文化が差別を生み出すケースもある

歴史を遡ると、世界各地で多くの人々が、歴史的、社会的、文化的、経済的理由による差別に苦しめられてきました。
アメリカの人種差別問題は、誰もが知る顕著な例と言えるでしょう。アメリカでは、奴隷制が始まって以来、黒人は白人による差別や迫害の対象となってきました。肌の色を理由にした差別は、現代でも深刻な社会問題として存在しています。

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日本国内に目を移すと、社会の歴史的過程において形成された身分階層構造に基づく部落差別(同和問題)が大勢の人々を苦しめてきました。長い間、日本国民の一部の人々が、経済的・社会的・文化的に低い状態に置かれ、同和地区と呼ばれる地域の出身者であることなどを理由に結婚を反対されたり、就職などの日常生活のなかで差別を受けたりするなど著しい人権侵害にさらされているのです。

差別が原因となって起きた世界の問題や運動

歴史や文化が差別を生み出すケースもある

世界各地には、生まれた国、人種、民族、宗教、性別、障害の有無、性的指向など、本人に責任がないにもかかわらず、不利益を被り、差別を受けている人たちが大勢います
ここでは、多くがヨーロッパに住んでいるロマの人々、アメリカで起こったBlack Lives Matter運動を例に、差別について深堀りします。

写真:ニューヨークで行われた国連のイベントに参加する各国の若者たち
ニューヨークで行われた国連のイベントに参加する各国の若者たち

差別のない社会を実現するために

民族差別に関する問題

ヨーロッパ全域に広く居住している少数民族ロマは、6~7世紀にインド北西部からヨーロッパへの移動を開始したと言われています。全人口はおよそ800万人〜1200万人で、従来ジプシーなどと呼ばれてきた人たちです。彼らは長い歴史のなか、周囲の無理解やエキゾチックな風貌から、「流浪の民」といったステレオタイプなイメージで語られたり、「ロマには窃盗癖がある」「ロマは誘拐行為をする」などの根拠のない偏見によって差別的に扱われ、迫害されてきました。ナチス支配の時代には「劣等人種」として強制収容所に送られ、ヨーロッパ全土で約50万人が虐殺されました。
現在もロマに対するステレオタイプな見方と偏見は根強くあり、居住する国々で教育、雇用、住居などにおいて差別的な扱いを受けています。近年では、民族主義を主張しナチズムとの連続性をもつ右翼勢力ネオナチなどの極右団体による排斥や、ヨーロッパ全土を覆う反移民・難民の流れのなかで抑圧された状況に置かれています。

人種差別に関する運動

アフリカ系アメリカ人公民権運動

1950年代半ばから1960年代半ばにかけて、奴隷制度が撤廃された後も黒人差別が続いていたアメリカにおいて、アフリカ系アメリカ人が展開した公民権運動では、差別の撤廃と法の下の平等、市民としての自由と権利が求められました。この運動の高まりを受け、1964年7月2日、アメリカ議会で公民権法が成立、制定されました。主として黒人の公民権を幅広く認めた法律で、黒人選挙権の保障のほか、「人種、肌の色、宗教、あるいは出身国を理由に差別もしくは隔離されてはならず、すべての人が完全かつ平等に享受する権利を有すること」、「公教育や雇用における人種差別の廃止を推し進めること」を謳っています。公民権法の成立後には、黒人市長の誕生、アフリカ系アメリカ人の公職者の増加といった好ましい影響が見られるようになりました。

BlackLivesMatter運動

Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター、以下BLM)は、アフリカ系アメリカ人に対する警察の残虐行為をきっかけにアメリカで始まった人種差別抗議運動のことです。BLM運動は、2012年2月、フロリダ州でお菓子を買いに出かけた高校生トレイボン・マーティンさんの射殺事件を契機に広まりました。彼の殺害に対し、加害者側の正当防衛が主張され罪が問われなかったことに対し、黒人女性たちが立ち上がり、2013年にSNSにて「#BlackLivesMatter」というハッシュタグを拡散したのです。

写真:国際人種差別撤廃デーに向けプランが作成したグラフィック(2021年)
国際人種差別撤廃デーに向けプランが作成したグラフィック(2021年)

その後、2020年5月にミネソタ州ミネアポリスで、ジョージ・フロイドさんが白人の警察官に首を圧迫されて死亡した「ジョージ・フロイド事件」は、依然アメリカに存在する人種差別の問題を浮き彫りにし、全米に衝撃を与えました。この事件をきっかけに全米で大規模なデモなどが行われ、2021年4月、白人警察官は有罪判決を受けました。白人警官が黒人を殺害して有罪評決が出るのは画期的な出来事となりました。

性差別に関する問題

子どもの権利条約(CRC)と女性差別撤廃条約(CEDAW)において禁止されている早すぎる結婚(児童婚)は、女の子や女性たちへの差別と人権侵害として世界中で問題となっています。18歳未満での結婚、またはそれに相当する状態にあることと定義される早すぎる結婚(児童婚)。早すぎる結婚を強制された女の子たちは、妊娠・出産による妊産婦死亡リスクが高まるほか、暴力、虐待、搾取の被害も受けやすく、学校を中途退学するリスクも高まります。結婚や出産によって教育を受ける機会が失われてしまった女の子たちは、就業の機会など人生の選択肢が狭められてしまいます

写真:児童婚や若年妊娠の問題について取り組む女の子(インドネシア)
児童婚や若年妊娠の問題について取り組む女の子(インドネシア)

SDGs(持続可能な開発目標)の目標5は、ジェンダーの平等の達成と、すべての女性と女の子の能力強化を行うことを掲げています。なかでも、ターゲット5.3では、未成年者の結婚、児童婚、強制結婚、女性性器切除(FGM)など、男女差別につながるあらゆる有害な行為を撤廃することが掲げられています。

差別をなくしていくために私たちができること

偏った知識に基づく偏見と固定観念が原因で起こる差別。世界中のあらゆる場所に潜んでいる差別解消については、SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」にて、すべての人が生まれや性別、宗教などに関係なく平等に生活できることを目指し、世界全体が取り組むべき問題として示されています。日本の私たちにできることを考えてみましょう。

目標10:人や国の不平等をなくそう

差別問題の原因を理解する

まずは、差別の原因となっていることに対して理解を深めることが大切です。差別は相手への不理解が原因で起こる場合が多いため、言われのない差別に苦しんでいる人々が置かれた状況に対する理解を深めることで自分が持っていた誤った偏見に気づくことができます。さらに、差別の原因を探るなかで、自分ができる支援や運動があることにも気づくことができます。

自分の中にある無意識の偏見について考える

幼い頃から無意識のうちに刷り込まれた偏見やステレオタイプを、自分自身も持っている可能性を常に自覚し、メディアの報道などを鵜呑みにせず、それが事実かどうか、報道の方向性が偏っていないかなど確認することが大切です。また、偏見が言語化されると、差別的な言葉となって発せられてしまうことを十分に理解し、自分の発言が差別にならないか、常に注意を払うことが大切です。

子どもたちに偏見を抱かせない教育を行う

性別や人種による偏見やステレオタイプを持たないように子どもを育てるには、親を含む周囲の大人たちが、差別につながりかねない発言や誤った考えを正す必要があります。ジェンダーの違いによる固定観念は、幼少期の子どもにも影響を与えます。プラン・インターナショナルが2022年4月に実施した「日本の高校生のジェンダー・ステレオタイプ意識調査」においても、ステレオタイプが形成される前の早い段階から、ジェンダー平等の意識を高める教育が必要であると述べています。また、10代の子どもたちに対しては、差別の歴史に関する教育を強化し、差別や偏見がもたらす悪影響について考える機会をつくることも重要です。

あらゆる形態の差別の撤廃にむけて

現在の国際情勢に鑑みると、差別や暴力のない平和な世界の実現までには、長く険しい道のりが続いているように思われます。しかし、一人ひとりが、公正な世界を希求し、人種や民族的アイデンティティを含むあらゆる多様性を持つすべての人々を尊重することで、差別のない包摂的な社会を実現できるはずです。

写真:ジェンダー平等や有害な社会規範について学ぶ(ネパール)
ジェンダー平等や有害な社会規範について学ぶ(ネパール)

子どもの権利やジェンダー平等を促進するプラン・インターナショナルは、誰も排除されず、すべての人々が等しく社会に参画する機会を持つことを目指し活動を続けます

国際NGOプラン・インターナショナルについて

国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。

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