(2024年09月26日更新)

皆さんは「女性ホルモン」について、詳しく知っていますか?
目には見えずとも、月経やカラダ作り、メンタルまでをも大きく左右する不思議な存在──それが女性ホルモンです。
一生付き合うホルモンを理解することは、より自分のカラダを知ることにつながり、もっと生きやすくなるはず。
そんな女性とホルモンの関係について、プランの評議員を務めてくださっている「女性ライフクリニック銀座・新宿」理事長の対馬ルリ子先生に話を伺いました。
対馬ルリ子 先生
1984年に東京大学医学部産婦人科学教室入局。都立墨東病院総合周産期センター産婦人科医長、女性のための生涯医療センターViVi初代所長を経て、2002年に「ウィミンズ・ウェルネス銀座(現 女性ライフクリニック銀座)」を開院。
不思議な「ホルモン」その正体とは?
ホルモンとは、体のさまざまな働きを調整するもの。100種類以上のホルモンがあるなかで、女性ホルモンもその一つ。
女性ホルモンの役割は、妊娠/出産や、女性のカラダ作りを行うといった、女性の生命維持に欠かせない機能を持っています。
「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2種類の女性ホルモンがあり、ともに卵巣で作られます。
女性ホルモンは、脳の「視床下部」から指令が出て、それが「卵巣」に伝わることで卵巣から血液中に分泌されます。
つまり、脳と卵巣の機能はつながっているのです。
女性ホルモンが乱れると、どんな影響があるの?
もし女性ホルモンの働き、つまり卵巣の働きが乱れると、カラダにどんな影響があるのでしょうか?
「脳と卵巣の機能はつながっているので、極端なダイエットや過度な運動、不規則な生活をしていると、脳が“危機”を感じて、排卵をストップします。一番影響があるのは妊娠能力ですね」
女性ホルモンが分泌されないと、月経周期が乱れる「月経不順」や、3カ月以上月経がない「無月経」になることも。
そして月経だけでなく、全身にさまざまな症状が現れます。
繊細な女性ホルモン。理由は命を守るため
脳が厳しくコントロールしている女性ホルモン。
毎日大きく動いていますが、実は女性の健康を守ってくれる存在とも。
「女性ホルモンの指令を出す“視床下部”は、脳のコントロールセンター的な存在。体のバランス調整をしているので、常に危機に敏感です。なぜ敏感かというと、さまざまな病気リスクから女性の命を守るためなんです」
実は、ホルモンの違いにより男女差が発生する病気があります。
糖尿病、心筋梗塞、脳卒中などの重度の病気にかかる割合は、女性よりも男性の方が約2倍近く多いことがわかっています。
そして、女性の平均寿命は男性よりも約6年長く、世界的に見ても女性の方が長寿です。
「女性ホルモンを持っている人は免疫力ともに強い傾向があります。私見ですが、女性は環境が悪くなると敏感にホルモンが反応して、月経が来なかったり、カラダに諸症状が現れて守ってくれる」
「これだけ聞くとネガティブですが、見方を変えると、危機から命を守るために初動が速いともいえます。長期的にみれば女性の方が寿命は長いですからね」
女性ホルモン、ガクッと下がる時期に注意!
女性ホルモンは免疫力を高めて、体を守ってくれる存在。
「ただし、ライフステージによっては女性ホルモンが大きく変動するタイミングがきます。その時は病気リスクが急増するので注意が必要です」
女性ホルモンが大きく変化するタイミングは、以下3つ。
月経前
月経前は、2つの女性ホルモンがダイナミックに揺れ動く時期。人によってはイライラしたり、うつ気味になったりと、カラダにさまざまな不調が訪れやすくなります。
PMSの対策については、生理の記事で詳しく紹介していますので、ぜひこちらをチェックしてみてください。
産後
妊娠中は、赤ちゃんと母体を守るために、普段の300〜1000倍もの女性ホルモンが大量に放出されています。しかし、出産したあとはホルモンがいったんゼロにまで急降下!(正常に戻るのは2〜3カ月後)。
この急変により発生するのが「マタニティブルー」あるいは「産後うつ」と呼ばれるものです。
ホルモンの激減で体調は最悪に。そのうえ育児に配偶者の協力をえられない場合には、心身ともに大きなダメージを負います。
「現代では、出産で亡くなる人より、産後うつによる自殺で亡くなる人の方が圧倒的に多い。それだけ深刻だということを皆さんに知ってほしいです」
更年期
閉経前後に、女性ホルモンが激減。さまざまな不調や病気に悩まされます。
糖尿病、高血圧、コレステロール値の上昇、うつなどの気分障害まで。ホルモンの守りがなくなったあとは、より病気のリスクにさらされることになります。
更年期が辛い人には、女性ホルモンの補充治療がお勧めです。日本では5%程度と普及していないですが、欧米では50〜80%ぐらいの女性がしている一般的な治療法。不調を感じたら、ガマンせずに婦人科を受診してください。
女性ホルモン、整えるためには?
日々の体調にも関わる女性ホルモン。もし乱れがちな場合は、どのように整えれば良いのでしょう?
女性ホルモンと、関係の深い自律神経の整え方を教えてもらいました。
低用量ピル
女性ホルモンを安定させるには、低用量ピルは有効な手段。排卵を抑制することで、ホルモンバランスが安定します。
「世界中の女の子は、日常的にピルを使って月経の周期や痛みをコントロールしています。日本ではピルに抵抗感のある人も多いですが、月経が重い人は正しく服用することでグッと楽になります」
適度な運動
運動はホルモンに大きな影響を及ぼし、全身の不調に効果的!
「どんな運動でも効果がありますが、おすすめなのはリズミカルな運動。ウォーキングやスイミング、ダンスなど、リズムに合わせて体を動かすことで自律神経が整いやすくなります」
女性は男性よりも運動習慣のある人が少ない傾向があるので、軽い運動を習慣化するだけでだいぶ体調が楽になるとのこと。
腹式呼吸
「ホルモンは脳の視床下部から指令が出て分泌されますが、視床下部は自律神経をコントロールしている部分。つまり自律神経を整えると不調が和らぎやすいです」
「横隔膜をよく動かすには”腹式呼吸”が有効です。自律神経が集まっている横隔膜を動かすことで、動悸、のぼせ、発汗、手の震え、緊張などが楽になります」
やり方は簡単。
- 骨盤を立てて姿勢を正す。
- 肩の力を抜き、お腹を膨らませるように大きく息を吸う。
- ゆっくり長くハーッと息を吐く。
「呼吸をする時、緊張していると吸っているだけの人が多いので、長く吐くことがポイント。横隔膜をしっかり動かす意識で行ってみてください」
首を冷やす+アロマ
月経前や、更年期などは、ホルモンの揺らぎでのぼせたり、発汗したりすることも。そんな時は焦らずに、落ち着いて呼吸し首を冷やしましょう。
「ほてり(ホットフラッシュ)が起きている時は、自律神経が暴走しているサイン。後頭部や首を冷やすことで沈静化できます。一緒にアロマを使うとさらに効果的。ミントや柑橘系などさっぱりタイプが良いですね」
婦人科は、美容院と同じくらい気軽に
女性の一生は女性ホルモンの変化によって大きく左右されています。
その変化を一緒に付き合っていける存在がヘルスケアを専門とする「婦人科」です。
「私がよく言うのは、『婦人科は美容院と一緒』ということ。お気に入りの美容師さんだと自分の好みを把握していますよね、婦人科も同じ。自分の体を一番知っている存在なので、なんでも相談できます。”かかりつけの婦人科医”を持てるといいですね」
婦人科というと、何か症状があって我慢できない時に行くものだと思う人も多いですよね。
「よく誤解されますが、婦人科は病気の予防として、チェックするために通うもの。症状が出た時では遅いんです」
婦人科検診の頻度は2年に1回が目安。
しかし日本は、若い女性が婦人科検診を受ける割合は10〜30%程度と低いそうです。
20〜30代でも子宮系の病気(子宮内膜症、子宮筋腫)、子宮頸がんなど、さまざまな病気リスクがあるため検診はマスト。
「女性ホルモンはダイナミックに揺れ動いているので、その変化に日々悩まされて辛い人も多いと思う。でもその状態の自分を救ってあげるには、知識を身につけることが重要です」
先生は、医療も上手に活用しながら乗り切ってほしいと話します。
「たとえばピルを上手に使うことで月経をコントロールしたり、避妊に使う場合はいつ産む/いつまで産まないといったライフプランを設計することができますよね」
「人生は100年と長い。これからの女性たちには、よりよい人生を送るために病気の予防と、正しいヘルスケアの知識を身につけてほしいですね」







