(2024年11月11日更新)

みなさんは日常の中で、ジェンダーに関する「もやもや」を感じたことはありますか?
ユースで構成している「プラン・ユースグループ」では、ユース世代が感じるもやもやをまとめた企画『ジェンダーもやもや、燃やそう!』をSNSで発信中です。
今回は、プラン・ユースグループのメンバー4人に、「日常で感じたジェンダーもやもや」について、座談会形式で語り合ってもらいました。
友人、恋人、家族、SNSなど、日常にひそむさまざまな「もやもや」とは?
4人の会話を通して一緒に考えてみましょう!
参加メンバー
ユース発!『ジェンダーもやもや、燃やそう!』企画とは?
「プラン・ユースグループ」は、高校生から社会人のユースメンバーで構成。ジェンダー平等な社会の実現を目指して、政府への政策提言や、SNSでの発信活動を行っています。
そんなプラン・ユースグループが企画したのが『ジェンダーもやもや、燃やそう!』です。
約160人のユースから、ジェンダーに関するもやもやエピソードを集めて、4コマ漫画を制作。
動物モチーフのポップな4コマで、気軽にジェンダー問題を学べるとして好評に。
その後は3大学(東京大学、聖心女子大学、明治学院大学)にて巡回展を開催しました。
── SNSからスタートした『ジェンダーもやもや、燃やそう!』は大学でのリアル展示に発展しました。反響はどうでしたか?
そうそう。40・50代の男性だと、会社で役職について部下がいる方も多いので「ジェンダー問題には気をつけなきゃ!」という意識が働いているのかもしれません。
展示をする前は「親世代とは価値観が合わないし、わかり合えないのでは」という勝手な先入観がありました。でも理解を示してくれる人も大勢いたのが嬉しかったですね。
ミサキ
友人、恋人間で感じた「ジェンダーもやもや」とは?
── ここからは、みなさんが日々感じる「ジェンダーもやもや」を語ってもらおうと思います。まずは友人関係のなかで「もやもや」を感じた瞬間とは?
イドウ
今回の『ジェンダーもやもや、燃やそう!』企画のために、友人に何かもやもやしたエピソードがないか聞いてみたんですが、みんな「う〜む…特にないかな」といった反応で。
ふだんからジェンダー問題を意識していないと出てきづらいのかも、と思いました。
私も同じで、友人に聞いてもなかなか出てこない。
でもしばらく話していると、「母から女の子だから料理できないとダメだよと言われた」という話をしてくれて。それに対して私も「それって性別関係ないよね、もやもやなのでは?」と話すと、「たしかにそうかも!」という感じでした。
日頃からジェンダーを強く意識してはいないものの、話すとみんな何かしらあるという印象です。
ミサキ
リオン
私は女子校出身なのですが、友人間でもやもやを感じたのは、よく使われる「女子力」という言葉。「女子力がない=悪いこと」のニュアンスで語られることに、すごくモヤった思い出がありますね。
今は大学生になりみんな自立してきたので、友人から「女子力」を求められることは減ったように感じます。
一方で、大学から男女共学になったことで、男子から女子に対するステレオタイプ発言に驚いています。
例えば「女子は毛がないのが当たり前」とか「お酒は飲めない方が可愛い」など。男性視点の偏見がプラスされたという意味では、大学生になってよりひどくなっている気はします。
── ステレオタイプが根強くあるのですね。
次は「恋人間」のもやもやについて、何かありますか?
リオン
恋人間だと「おごる/おごられる問題」について。SNSでもよく話題になりますよね。
以前お付き合いしていたパートナーとレストランに行ったとき、お会計時にテーブルの上に伝票が置かれるのですが、それが常に男性側にあることに違和感があって。
多分、店員さんも一般的に「男性が払うべき・払った方がかっこいい」といった概念があるからだと思っていて。これは日常に潜むもやもやだと感じました。
それ、私は提供側(お店側)として経験したことがあります!
以前イタリアンレストランでバイトしていたことがあり、始めたての頃に店長から「伝票を置いてきて」と言われたので、テーブルの真ん中においたら、「違う、男性側に置くんだよ!」と言われたんです。
面白かったのは、その時支払ったのは女性だったんですよ。それを見た店長が「今の見た?女性が払ってたよ」と言われて、私は「はぁ…」という感じで(笑)
ユウナ
リオン
なるほど!提供する側でもそういう偏見があるのかも…。
伝票が置かれることで、男性側も「自分が払わなきゃいけない」というプレッシャーを感じたり、女性からの評価を気にしたりするケースがあるかもしれません。
私としては、割り勘を含めどちらが支払うかは、2人の関係性のなかで自由に決めたらいいと思っています。性別によって「おごる/おごられる」を分けるのは違うのかなと思いますね。
どのようにSNSと向き合っている?
── 普段SNSをしていて「もやもや」を感じる瞬間はありますか?
ユウナ
最近SNSを見ていて気がかりなのが、「男を沼らせる〇〇」とか「モテる秘訣は〇〇」などのコンテンツ。
“モテる女性とはこうあるべき”というステレオタイプを生むし、そういうコンテンツがSNSでバズりやすいのは危険かなと思いますね。
私も同感。特にTikTokだとフォローしていなくてもコンテンツが流れてくるから、自然と偏見が植えつけられてしまう。
それがルッキズム※1や、トキシック・マスキュリニティ※2を生んだりしてしまう。
これは女性だけの問題でもないし、例えば男性側にも「男は泣いちゃいけない」とか、そういう価値観が植えつけられる一因になっている。日々そのようなコンテンツを目にしている同世代では、その被害が大きくなるのでは、と思っちゃいますね。
リオン
※1〈ルッキズム〉人を外見を基準に評価すること。特定の容姿を持つ人を優遇したり、逆に差別したりする考え方。
※2〈トキシック・マスキュリニティ〉「有害な男らしさ」を意味する言葉。男性が“男らしさ”を強調しすぎることで、暴力的で抑圧的な行動をとったり、感情表現を抑え込んだりする有害な行動や態度を指します。
イドウ
私はなるべくSNSを見ないようにしています。
一応アカウントはあるんですけれど、あまり見ていない。たまにインスタを見たくなるときはありますが、Xだけはシャットアウトしていますね。
この環境にずっといたら「心がすさみそう…」と思って。
匿名のつぶやきは、汚い言葉や誹謗中傷も多いですからね。
私もXはリアルタイムの情報を知りたい時だけ活用しつつ、それ以外は極力見ないようにしています。
リオン
ユウナ
私は2人とは真逆で、けっこうXを活用していて。
なぜかというと、私のなかで「違う考えに触れること」を大事にしていて、Xはまさにその場所だと思っているからです。
ユウナ
よく政治の話になると、保守とリベラルが対立しますが「相手は全然わかってない!」と怒っても仕方ないと思っていて、それよりも「なぜそういう考えに至ったのか?」を私は知りたい。
だからこそXでは「あ、こういう考え方をする人がいるのか!」といった違う考えに触れることで、俯瞰的な視点を身につけるために活用していますね。
帰省で感じた「家」でのジェンダーもやもや
── 次は「家族」のなかで感じたジェンダーもやもや、何かありますか?
ユウナ
私は地方出身なんですが、大学院進学の際に「将来はこういうふうにバリバリ働きたい!」と言ったら、親戚から「だったら結婚・子育てはしないってことね」と言われて。
「結婚・子育て=女性の幸せ」と思われていることにモヤモヤしましたね。
あとは、地元だと女性だけが家事をしていることにも違和感がある。
夫婦共働きで同じ量の仕事をしているのに、なぜ女性だけが家事をするのか、「男性もやればいいのに?」と。
ただそれも、子どもの時は何も思わなかったんです。
大学に入り一人暮らしを始めて、すべて自分で家事をする状況になった。その時に「あ、これまですべて母親がしてくれたのか!」とはじめて気づきました。
世間では女性だけが家事を担っている現状が多いことを知識としては知っていたものの、自分事として感じた瞬間でした。
私もユウナさんと似た経験をしていて。私も地方出身者なのですが、地元だと本当に家事はすべて女性がしているんです。
昨年末に帰省したとき、男性たち(父と祖父)はコタツでくつろいでTVを見ているのに、女性たち(母と祖母)だけずっと台所で忙しく料理をしている。
それを見てハッとして、23年間見てきた光景なのに「なんで今まで気づかなかったんだろう…」って。
ミサキ
── 家父長制がはびこっていますよね…。ユウナさんやミサキさんのように、地元を離れてはじめて気づく方も多いかもしれません。
ミサキ
そうなんです。特に祖父母の世代とはギャップが激しいので、ジェンダー問題を理解してもらうことは難しいと感じています。
TVで紅白を見ていても「この人らは男なんか?女なんか?ようわからん!」みたいな発言ばかりなので…。
その一方で、親世代(50代)は話すと分かってもらいやすい。
プラン・ユースグループの活動についてもちょこちょこ話していて、母はインスタをフォローしてくれていたりと応援してくれています。意外だったのが、父の変化が大きかったこと。
父は田舎の長男として、家を継ぐというプレッシャーのなかで生きてきた人。父なりに思うところがあると思います。
最近では私の活動をキッカケに、ジェンダー問題を扱ったドラマを見るようになったそうで。朝ドラの『虎に翼』や、フジTVの『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか』、最近だと『海のはじまり』など。
ドラマを観ながら「お父さんも勉強中だからね」と、理解を示そうとしてくれています。
── 娘の活動をキッカケにジェンダーを勉強するお父さん…素敵ですね!
ミサキ
父は元々ドラマが好きなんですが、作中で描かれるジェンダー問題に対して「あ、これって娘がやっている活動のことか!」と繋がる感じ。
ドラマで描かれていることが、自分の人生と繋がりがあるとわかると、一気に理解が深まっていくのだと思いますね。
ジェンダー問題に関心を持ったきっかけ
── そもそも、みなさんがジェンダー問題に関心を持ったキッカケとは?
イドウ
私は母と2人で生活してきたことが影響しているかなと。女性だけで生活しないといけない環境だったからこそ、自然とジェンダー問題に関心が向かうようになりました。
例えば、女性の政治参画の少なさや、リーダーシップが少ないことへの問題意識、あとはLGBTQ+についても興味がありました。
自分でいろいろ勉強するなかで、「インプットだけでなく、何かアウトプットしたい!」となり、プラン・ユースグループに参加したという流れです。
リオン
私がジェンダー問題へ関心を持ったキッカケは、10歳ぐらいのとき。
父の仕事の影響でアメリカに住んでいた時、授業で貧困についてのドキュメンタリー番組を見て驚いたんです。
貧困によって衛生環境が整っていないことや、女性性器切除(FGM)の問題など、途上国の女の子たちの現状にショックを受けて。そこから高校3年のときに、プラン・ユースグループの活動を知って参加しました。
そのなかで「わたカフェ」という、国内の女の子の居場所作りを行う事業に参加したんですね。
そこでは日本の隠れたジェンダー問題が多々あることに気づかされました。それまでは途上国に目を向けていたのを、今は国内のジェンダー課題をメインに活動を行っています。
ジェンダーの話をするときに、意識していること
── 周囲にジェンダー問題を話すと「意識高い人」「めんどくさい人」といったネガティブな反応が返ってくることも。伝える際に意識していることはありますか?
リオン
個人的には「意識が高い」ことは悪いことではないと思っていて、私にとっては無知な方が怖いというか。
例えばジェンダーギャップや、日常的に潜んでいるさまざまな問題を知らない方が怖い。なので問題に対して声を上げることを大事にしています。
一方で「声のあげ方」には、すごく気をつけています。例えば言い方だったり、どんなプラットフォームで発言するかなど。
もしジェンダー問題について話したい時は、対面を選ぶようにしています。なるべく相手の意見を否定せずに、まずは共感から入る。
そして会話の中で、自分のこれまでの経験だったり、考えてきたことをカジュアルに相手に伝えるようにしていますね。
ジェンダーやセクシュアリティの話って、人それぞれ価値観が違うからネガティブな反応がありそうなんですが、実際にそういう反応をされたことはなくて。
たぶん周りからは「なんかジェンダーの活動している、意識高そうなヤツ」みたいに思われているとは思いますが(笑)
私がジェンダー問題を伝えるときに意識しているのは、学術的なことや専門用語とかよりも「個人のストーリー」を話すこと。その方が伝わりやすくていいなと思っています。
イドウ
ユウナ
私はジェンダー問題をリアルな場で話す機会はあまりないのですが、SNS発信で意識しているのは「無意識に訴える」こと。
ジェンダー関連の主張をすると、SNSだとネガティブな意見が返ってくることも多々ある。なので私は、サラッとユース・グループでの活動写真を載せるようにしています。
例えば「プラン・ユースグループの活動で、文科省へ政策提言に行ってきました」とだけコメントをつけた写真を投稿するとか。
写真を載せるだけなら否定的な意見はつきづらいし、写真を見ることで無関心層にもジェンダー問題が入っていく感じ。
もしそれを見て気になった人が声をかけてきたら、そこではじめて会話をします。
SNSを活用して広く届けつつ、興味があるとリアクションした人だけに対話をしていくというスタイルを取っていますね。
私もユウナさんの意見に近くて、SNSで目に触れるだけでOKというか。言葉で伝えるのは誤解が生まれやすくて、難しいなと思っています。
何か主張したい時は、インスタでサラッとストーリーに載せてみる。
相手に何かリアクションを求めているわけではなく、「私はこういう事に興味がある人間」と伝えるためにSNSを使っています。
それを見た友人なり誰かが、もし何か悩んでいたり興味を持ってくれたりしたら、そこからゆっくり会話していく。そういうのが理想ですね。
ミサキ
ジェンダー平等、実現するためには?
── 最後の質問です。みなさんは「ジェンダー平等」を実現するためには、どうすればいいと思いますか?
リオン
まずは法律など社会のフレームが変わらないと、ジェンダー平等を実現するのは難しいと思っています。
法律ができることで、会社や組織が変わるキッカケになる。いま私たちが政府に対して行っているロビイング活動もすごく意義があると思ってます。
もう一つは私自身のこと。日本では女性のロールモデルが少ないのが課題なので増やしていきたい。私自身もロールモデルになれるように頑張りたいし、他の女性たちを応援したりサポートをしたりしていきたいと思っていますね。
1つは「一緒に勉強しよう」という雰囲気を作ること。
社会問題に関心のあるいわゆる「意識高い人」って、なんでしょう、全知全能感があるというか(笑)。でも私もジェンダー以外の社会問題だとわからない事が多い。
自分がわからないと思ったら聞くようにしているし、わからないって聞いてくる人がいたら真剣に受けている。「私もわからないことだらけだから、一緒に勉強しようよ!」という雰囲気を作っていきたいですね。
もう1つは、私は話すことが得意なので、その得意分野を活かした活動をしていきたい。例えば、文章書くのが得意な人は文章書いて伝えた方がいいように、私は対話を通して伝えることが得意だからこそ、その得意分野を活かす。
みんなが適材適所で、ジェンダー平等に向けて活動していけたらなと思っていますね。
ユウナ
イドウ
リオンさんの話にあったように、まずは政策を変えていく必要がある。
あとは人々の価値観の形成。その2つが両輪となって互いに影響し合うものかなと思います。
私個人ができることは、プラン・ユースグループの活動をしつつ、同じように活動をしている人たちをサポートしていきたい。
その時に大事にしたいのが「複雑性」です。
メディアではよくわかりやすさを重視した表現があるかと思います。そうすると見落としてしまう人や物事がたくさんあると思っていて。
私はそのこぼれ落ちるものに目を向けていきたい。もちろんそれは面倒臭いし大変な作業ではありますが、一つ一つ丁寧にすくいあげていきたいと思いますね。
ミサキ
私も同感で、一つは法律などのフレームの側、もう一つは人々の意識の側。
「みんなの意識を変える」という意味では、プラン・ユースグループで行っているインスタ発信が重要だと思っていて。
もし、「ジェンダーについて話すと、意識高い系って思われて話しづらい…」という人がいたとしても、私たちのインスタをフォローしてくれたら、いろんな情報にアクセスできる思うし、SNSだと抵抗感なく見られる気もします。
私はSNSチーム所属なので、発信を頑張っていきたいですね。
みんなが小さな違和感や問題意識を持つことで、それが大きなムーブメントにつながるという期待を込めて。
***
いかがでしたでしょうか?
日常にひそむ「ジェンダーもやもや」について、考える機会になってもらえると嬉しいです。
プラン・ユースグループのSNSでは、ジェンダー平等について知っておきたいさまざまなトピックを随時発信しています。
ぜひ、こちらもフォローしてチェックしてみてください!











イドウ
3大学で実施したのですが、多くの方が展示を観てくれて嬉しかったですね。
私たちとしては「同年代にメッセージが届けばいいな」と思っていました。意外だったのは、親世代40〜50代ぐらいの男性たちも声をかけてくれたことです。
主な反応は2つありまして。
1つ目は価値観が合わないという人。「今はこういう時代かもしれないが、自分の価値観には合わないな〜」という感じ。
2つ目は学ぶ姿勢がある人。「娘や家族もいるから、ジェンダーとかも学ばなきゃいけないとは分かっているんだよね。でもなかなか機会もないし難しいし…」と。
「娘や妻とはこういう話はできないから、本を買ってこっそり勉強しているんだよね」など話してくれたのが印象的でした。