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(2025年03月19日更新)

最近の女の子たちは、どんな「生きづらさ」を抱えているのでしょう?
女性のジェンダー問題は耳にする機会が増えた一方で、「女の子」が抱える悩みや問題はなかなか見えにくいかもしれません。

そこで今回は、女の子の生きづらさの背景や、どうすれば解消できるのか、専門職の2人に話を聞きました。

「生きづらい…」と悩む当事者の方だけでなく、周りでサポートをしたいという方や、この問題に関心がある方も、ぜひ読んでみてくださいね。

女の子の居場所「わたカフェ」

取材を実施したのは東京・池袋にある「わたカフェ」
女の子と若年女性(15歳〜24歳)の居場所を目的とした施設です。

女性たちが安心して過ごし、気軽に悩みを相談できる場所として、コロナ禍の2020年に開設。国際NGOプラン・インターナショナルが運営しており、利用は無料です。

watacafe

今回は「わたカフェ」にて、女の子たちの悩みに寄り添ってきた、ソーシャルワーカーのめぐさん、しむさんに話を聞きました。

しむさん(左)|めぐさん(右)

女の子が抱える悩みとは?

── 生きづらさを感じる女の子、どんな問題がありますか?

めぐさん:現代の女の子たちは、多様な問題を抱えています。
友人や職場での対人関係の悩みから、家庭内の暴力・虐待など。最近では景気の悪化により、貧困や生活困窮の悩みも増えています。

また、性的虐待、性被害などは表面化されづらいですが、隠れた数としては多いため支援が必要です。

このように多様な問題がありますが、最大の課題は彼女たちが発言する場所が少ないこと。

悩みを話しても否定された経験が多いため、「発言しても無駄だろうな…」「言っても伝わらないかも…」と、発言をあきらめてしまう。
悩みが改善されたという成功体験が少ないんですよね。

── 悩みを話せる場として「わたカフェ」は機能しているのですね。
利用者の悩みで、多いものとは?

しむさん:悩みで多いのは「友達に本音が話せない」「嫌われないか常に不安」など、人間関係によるものです。

彼女たちに共通しているのは自己肯定感が低く、常に周囲の「反応」を気にしていること。
リアルの友達だけでなくSNS上でも同様、一度も会ったことがないネット上の関係でも、常に周囲からの反応を気にしています。

一方で、反応は気にするものの、その友達関係は極端になりがちです。
たとえば、リアルでもSNSでも、友達との関係が悪化するとすぐにスパッと関係を断ち切ってしまう。トラブルが生じても修復を試みることなく、そのまま関係をシャットアウトする傾向にあります。

── なぜ、極端な人間関係になってしまうのでしょう?

しむさん:原因のひとつに、コロナ禍でコミュニケーションの機会が限られたことも大きいのかなと。
コロナ禍に10代を過ごした彼女たちの場合、学校の授業もオンラインが中心になりがちでしたから、どうしても会話が一方向になりやすいのかもしれません。

一方的に発信される授業を受けて、終了したら電源オフにする。みんなで集まってコミュニケーションをする機会が少なかったからか「雑談が苦手」という子が増えている印象です。

「どうやったら雑談できますか?」はよく聞かれる質問で、それ以外にも「このLINE、こう返信したら嫌われないですか?」「初対面で何から話せばいいですか?」といったように、具体的なセリフまで教えてほしいと相談されることも。

めぐさん:そうですよね。「嫌われないか」を何より気にしてしまうんです。

しむさん:それから「自分に厳しい子」が多い印象ですね。
これは、本人だけの問題というより、外からの価値観の影響が大きいのかもしれません。
逃げ場のないなかで生き方や考え方のモデルを探すうちに、極端な思考になってしまう。たとえばSNSを見て「痩せていないと価値がない」「美しくない=努力不足」と感じ、摂食障害にまで追い込まれてしまうケースもあります。

「自分でできた」という成功体験を

── 極端な人間関係や、ルッキズムなどの価値観は、どのように良い方向に導いていくのでしょう?

めぐさん:私たちソーシャルワーカーがすることは、まずは彼女たちの考えを、すべて受け止めます。絶対に否定はしません。
すべて受け止めたあとに、「なんでそう思ってしまうのか」を、少しずつ聞き出して、考えを整理していきます。

じっくり話を聞いていくと、いろんなヒントが見えてくる。
たとえば、過去に親御さんから容姿について言われたことが引っかかっているとします。ささいな一言かもしれないですが、本人はずっと気にしている。

原因が分かると、その次は「親御さんってどういう視点で、そのことを言ったのかな」と、相手の立場に立って考えてみる。
それらの繰り返しで、徐々に凝り固まった考えをほぐしていきます。

しむさん:私たちは、一度ですべてを解決できるとは思っていなくて、少しずつ少しずつ信頼関係を作ることを心がけてアプローチしています。

めぐさん:支援のゴールは、本人が最終決定できて、自立できるようになること。
自分で決めて、自分で実行できた、それを自ら選んでよかった、と思える形です。

支援プロセスの1つとして「振り返る時間」を作っています。
本人は「自分なんてまだまだダメだ…」と責めがちですが、そのときは半年〜1年前の自分を振り返ってもらう。
すると「あの時よりもできている」という、変化に気づくことができるんです。

しむさん:できたことに本人が気づいてない場合もありますね。

めぐさん:一緒に振り返ることで、「ほら、これできてる。できてるよ!」と気づいてもらう。できた時には、私たちも一緒になって喜びます。感動する瞬間ですね。

めぐさん:大事なのは「彼女たち自身」が行うことなんです。
最初は誰かの手を借りたかもしれないけど、自分で目標を決めて、それを達成できた、それが彼女たちの力になる。

このような「小さな成功体験」を作ることが、すごく大事なんです。

悩みは「整理」してみよう

── 「悩みを解消したい」という方に対して、まず何から取り組めばよいでしょう?専門的な視点からアドバイスをいただけますか。

めぐさん:解消したい問題がある場合には、まず「整理」をしましょう。
問題には「自分が行動すれば解決できること」と、「行動しても解決できないこと」の2つがあります。

頭のなかで2つが混同している場合が多いので、まずはしっかり分けていく。問題の整理ができたあとは、「行動して解決できること」に取り組みましょう。
高い目標だと挫折してしまうかもしれないので、まずは小さいこと、できることからやってみてください。

── ここに、さきほどの「振り返る時間」を作って、小さな成功体験を積み上げていくのですね。

めぐさん:ただし、この作業を一人で行うのはすごく大変なんです…。そのため「誰かに相談する」というのも一つの解消法。
身近な人がいなければ「わたカフェ」や、それ以外の相談機関に気軽に相談してください。

子どもだけでなく、大人も同じです。
大人の場合は、立場や役割によって悩みが複数にわたります。それを整理して、ゴール設定して、定期的に振り返って…と、一人で行うのは至難の業。
身近な人に頼ったり、専門職の力を借りたりすることは、ごくごく自然だと思いますね。

サポートする上で気をつけたいこと

── 当事者以外で、周囲の人がサポートしたい場合、気をつけることはあります?

めぐさん:大きく2つあり、1つ目は「話を聞いて、決めつけない」こと。
親しい人こそ助言やアドバイスをしがちですが、自分の経験や考えを押しつけることにつながります。

2つ目は「適切な距離を保つ」こと。
相談を受ける人は、本人のことを知っているからこそ「どうにか助けたい!」という気持ちで共感して入り込んでしまう。
その結果、共依存になり共倒れになることも。

〈共依存とは?〉一方または両方が過剰に依存しあい、健全な自立やバランスが取れない関係性のこと。

めぐさん:共倒れにならないためには「第三者」を入れることが大事。
10代であれば大人や相談機関の人を交えて話をしてみる。相談者のメンタルを守るためにも、外部の人を巻き込むことが重要なんです。

しむさん:相談されて「解決してあげなきゃ!」という方は、とてもサポーティブな方ですよね。優しくて素敵だとは思いますが、もし共依存関係になると、辛い人が増えてしまうことに。

めぐさん:全部一人で抱え込んで、解決しようと思わないでほしい。
私たちソーシャルワーカーも、一人で悩まずチーム全体で「ああでもない…こうでもない…」と日々話し合いながら、問題の解決に向き合っていますから。

「関心」を持つことで、社会は変わる

── 女の子が直面する問題の背景にある、社会問題とは?

めぐさん:家庭の不和、虐待など、いろんな要因が考えられますが、私が思う一番の問題点は「みんなの関心がない」ことだと思っています。

ヨーロッパの福祉国家だと、国民全体が若者の貧困やメンタルヘルスなどの社会問題に関心が高く「自分事化」している方が多い。 日本でも「関心を高めていく」ことが社会問題の打破につながる。

しむさん:社会全体として「余裕がない」のも大きいですよね。
親や周りの大人たちも、社会からあらゆる事を要求されるので、毎日必死に生きていて余裕がない。その積み重ねが、女の子たちの困難につながっているのかもしれません。

めぐさん:余裕がなく大変ではありますが、若い世代がこれからの日本を支えていくことを考えると、いま大人たちが一生懸命支える必要がある。

社会問題を知り、その背景について想像してみる、少しでも関心を持ってみる。
それだけでも「もうちょっと頑張ってみよう」と思える人が増えるのではないかなと。そう期待を込めて、この活動を続けています。

「悩むこと」が豊かな感受性につながる

── 最後に、生きづらさに悩んでいる方にメッセージを。

しむさん:一人ひとり大変な状況があるとは思いますが「あなたは一人ではないよ、大人も一緒に考えたいと思ってるよ」ということを伝えたいです。

私が大人だから、上から目線で子どもたちに「何かしてあげる」ということではなく、私自身もいまの時代を一緒に生きているひとりの人間として、あなたと同じように、毎日頑張って生きていきたいと思っている。
「一緒に頑張ろうよ」という想いで活動しています。

めぐさん:「悩むこと」はネガティブに感じると思います。
でも、ネガティブな部分、ポジティブな部分、その両面あってこそ本人の豊かな「感受性」につながります。

私自身、いろんなことに悩んできましたが、それが今の私の糧になっている。
私の強みは「自分の弱さを知ることができたこと」だと思っています。

誰にでも「弱さ」はありますが、弱さを知ることが、かえって自分の強みや、良い部分を引き出してくれるかもしれない。
悩みや弱さも含めて、あなた自身だと思って大事に受け止めてほしい。

もし悩みが大きすぎて辛くなったら、私たちのような相談機関に頼ってください。一人で解決できない時は、一緒に悩みますから。

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女の子の居場所「わたカフェ」について

今回取材しためぐさん、しむさんが所属する「わたカフェ」では、有資格の相談員(全員女性)にさまざまな悩みを無料相談できます。
カフェでの過ごし方は自由ですので、相談せずくつろぐだけでもOK。

施設内には、勉強ができる机、本や漫画を読むスペース、仮眠ができる座敷スペースなどがあり、充実した設備のなかで安心してくつろげます。おやつや飲み物、食品や衛生用品(マスクや生理用品)も完備。

詳しくは「わたカフェ」公式サイトにて。

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国際NGOプラン・インターナショナルは「わたカフェ」の運営やオンラインのチャット相談などを通じて、生きづらさを抱える女の子たちのサポートをしています。

その他にも途上国の女の子の支援など、多くのプロジェクトを行っていますので、他の活動や記事もあわせてチェックしてみてください!

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