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(2025年06月13日更新)

ガーナ北東部の農村で、”静かな革命”が進行中です。「リアル・ファーザーズ・クラブ(真の父親クラブ)」と呼ばれる男性グループが、家事や育児の分担を通じて、従来の「有害な男らしさ」に挑戦しているのです。迷い、学び、そして確かな手応えを得てきた父親たちの物語を紹介します。

立ち上がるお父さんたち 性別役割を超えて

写真:マイケルさん

マイケルさん
©プラン・インターナショナル/Michael Aboya

教師兼農家のマイケルさん(41歳、8児の父)。プラン・インターナショナルによって2024年に設立された「リアル・ファーザーズ・クラブ」のメンバーです。この地域では、料理や育児は女性、農作業は男性という役割分担が長く続いてきました。しかし今、クラブの活動が従来の常識を揺さぶっています。

「本当の変化は私たちから始まります。家事を分け合えば、皆が幸せになれるのです」と語るマイケルさんですが、当初は固定観念にしばられていたといいます。いったい何が彼を変えたのでしょうか。

父親同士の学び合いが変えた意識

写真:性別役割分業について話し合う父親たち

性別役割分業について話し合う父親たち
©プラン・インターナショナル/Michael Aboya

彼の背中を押したのは、「リアル・ファーザーズ・クラブ」で交わされる実践的な対話でした。クラブには現在24人の父親たちが参加しています。月に2回の集会では、家庭での経験を共有し合いながら、経済面だけでなく感情面でも家族を支える方法を学んでいます。妻をどう支えるか、子どもが健やかに育つ環境をどう作っていくのか―。料理、登校の付き添い、宿題の手伝いなど、具体的なアイデアを出し合います。

写真:マイケルさんと子どもたち

マイケルさんと子どもたち
©プラン・インターナショナル/Michael Aboya

「以前は、家事や育児は女性の仕事だと思っていました。でも今は違います。妻が赤ちゃんを背負いながら薪を運ぶことが当たり前の光景でしたが、今は私が薪を運び、妻には赤ちゃんを抱いてもらいます」と語るマイケルさん。

今では彼のように、家事や育児を妻と分担し、何世代にもわたって続いてきた「男らしさ」の固定観念から脱却しようとする父親たちが増えつつあります。

対話が育む子どもたちとの信頼関係

クラブのメンバーたちは、かつてこの地域で行われていた女性性器切除(FGM)を二度と復活させないという強い意思も共有しています。集会では、娘を早すぎる妊娠の問題やFGMなどの根深い慣習から守る方法についても話し合われています。「FGMはやめるべきです。女の子を傷つけ、弊害しかもたらしません」とマイケルさんは断言します。

写真:カカオ豆の世話をするアグベコさん

カカオ豆の世話をするアグベコさん
©プラン・インターナショナル/Michael Aboya

メンバーで猟師兼カカオ農家のアグベコさん(47歳、6児の父)も同じ思いです。「昔はFGMが行われていましたが、今では完全になくなりました。私の家族でも決して行いません。娘たちには夢を持ってほしいですし、私はそれを全力で応援します。」

こうした父親たちの変化を、子どもたちも感じとっているようです。

マイケルさんの娘、エンヨンナムさん(17歳)

写真:マイケルさんの娘、エンヨンナムさん(17歳)

お父さんが私たちを支えると言ってくれるので嬉しいです。友だちのなかには親がほとんど話を聞いてくれない子もいます。私の両親のように、親は子どもに愛情を示してほしいです。

アグベコさんの娘、ナオミさん(14歳)

写真:アグベコさんの娘、ナオミさん(14歳)

お父さんの言葉に安心します。何でも本当のことを率直に話してほしいと思っています。

家庭内の小さな実践から生まれる確かな変化

写真:「リアル・ファーザーズ・クラブ」のメンバーたち

「リアル・ファーザーズ・クラブ」のメンバーたち
©プラン・インターナショナル/Michael Aboya

「リアル・ファーザーズ・クラブ」のプログラムの一環として、プランから地域の家庭に生理用ナプキンが提供され、あわせて月経衛生に関する研修も実施されています。
「前向きな男らしさ」とジェンダーを考慮した子育てを推進するこの取り組みは、家庭内の小さな実践を通じて、伝統に根ざした社会にもしなやかな変化をもたらし始めています。

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