(2026年04月27日更新)
プラン・インターナショナルは世田谷区と共同で、2026年3月25日に活動報告会『女の子・若年女性の居場所「ゆうカフェ」の現場での気づきから』を開催しました。
「ゆうカフェ」
プランが東京・池袋に開設している「わたカフェ」※での取り組みをもとに、東京・下北沢に、「世田谷区悩みや困難を抱える若年女性への居場所事業補助金」を活用して開設した15歳から24歳の女の子のためのカフェ「ゆうカフェ」。初年度の活動が終了するのを機に開催した報告会には、世田谷区行政関係者、子ども・若者の居場所事業関係者など、約70名が参加しました。
- ※「わたカフェ」とは:プラン・インターナショナルが「女の子の居場所・相談」プロジェクトを通じて運営している、若年女性が安心して安全に過ごすことができる居場所。社会福祉士や臨床心理士、助産師などの専門職がチームを組み、一人ひとりに寄り添った支援を行っている。
若年女性が抱える困難と、支援における居場所の意義
保坂展人世田谷区長
まず、保坂展人世田谷区長より開会の挨拶として、困難な状況にある若年女性と接点を持ちにくいという現状とともに、そのつながりをつくる場として「ゆうカフェ」が設けられたことが示され、「この報告会が、課題を共有しながら、前へ進めていく。そんな場になればいいなと思っております」とメッセージをいただきました。
杉田真衣東京都立大学准教授
続いて、杉田真衣東京都立大学准教授より講演があり、若年女性が抱える困難として、経済的困窮や性暴力などの被害、性と生殖に関する健康と権利(SRHR)の侵害などが報告されました。
また、より困難な状況にある人ほど、誰かに相談するということが難しいというデータが示され、あわせて「優しい人が近くにいると知っているだけでも違うと思う」と、親身になって寄り添ってくれる存在を求める当事者の言葉が紹介されました。
「ゆうカフェ」の初年度の活動7カ月をふりかえる
濱田真奈職員(プラン・インターナショナル)
続いて、「ゆうカフェ」での取り組みを、事業責任者の濱田真奈職員が報告しました。
「ゆうカフェ」は「あなた(You)のための場所」という意味で名づけられたこと、プランの活動の根幹にあるセーフガーディング(すべての子どもとプログラム参加者をあらゆる形態の暴力から守る取り組み)を規範として、利用者一人ひとりにとって安心できる環境づくりを行っていることが紹介されました。
パネルディスカッション:若年女性が抱える困難な課題とは
パネルディスカッションでは、行政、調査研究、実践の立場から支援に関わるなかで感じる「若年女性が抱えている困難」について意見交換しました。
保坂展人 世田谷区長
講演と、ゆうカフェの報告を聞きながら、今から25、6年前に、あるひとり親の女性と、激論を交わしたことを思い出しました。彼女は、「自己責任」という言葉をずっと言い続ける方でした。「自己責任」だと刷り込まれて頑張ってきた方ほど、親になり、その価値観で子どもと向き合うなかで、厳しく接することもあるのではないかと思ったのですがいかがでしょう。
杉田真衣 東京都立大学准教授
自分で頑張ってきた方であればあるほどご自身に厳しい傾向はあると思います。私は、2003年に都立高校を卒業して世に出た女性に継続してインタビュー調査を実施しています。今現在、そうした方は40代になり、なかには「ゆうカフェ」に来る年代の子どもがいらっしゃる方もいます。皆さん謙虚な方が多く、すごく大変な経験の話をされても、「いやでも私が悪いんです」とおっしゃったり、現状の困った状況を「当たり前だ」と思っておられる。だから場合によってはお子さんに対して、「私はこの不安定な社会を生き抜いてきたのだから、家族も作ったのだから、あなたも、まだやれるでしょう」という風に期待をかけることもあるのではないでしょうか。
濱田真奈職員 ゆうカフェ事業責任者
親から、「頑張りなさい」、「努力しなさい」と言われても、子どもの心身の特徴や発達の特性上、本人の努力だけでは期待に応えられない場合もあります。周囲が、幼少期のうちから特性に合った対応をしていれば、「できない人」と烙印を押すことなく、本人の持っている長所や得意なことを伸ばしていくことだってできただろうなと感じる子もいます。
福田愛職員(プラン・インターナショナル)
福田愛職員 プラン・インターナショナル国内支援事業グループリーダー
自分の子どもに期待することは自然のことですが、その期待が過剰になることは子どもにとってはすごく苦しいことです。これまで親の期待に必死に応えようとしてきたけど、「もうこれ以上頑張れない」「限界だ」と感じている女の子が「ゆうカフェ」に来ます。息抜きする場所、自分を認めてもらう場所が彼女たちには必要だなと思っています。
参加者の声
「わたカフェ」さんから受け継がれる知見と地域に根ざしたサポートが実現していて素晴らしいと思いました。知人がいることが多い地方都市でのユースカフェのモデルにもなるといいなと思いました!
40代が自己責任論に縛られているという話は考えさせられた。どうしたら、ときほぐしていけるのか。世の中の雰囲気を変えていく必要があると感じた。
親世代の価値観や世の中の状況により困難さを抱えており、子ども、若者には何の責任もないと改めて感じた。状況を悪化させるのも、改善するのも、我々大人の責任と思います。また、支援は本人の思いや当事者主体を尊重したい、との話があり、とても共感しました。
私たちも居場所活動をしていますが、利用者同士の交流よりもスタッフとの交流を求める方が多く、今回の報告と重なると感じました。
困難を抱える若者は「大人の人に話しを聞いてほしい」とのことが印象的でした。若者が、言葉にできないことを拾い上げていく作業をされているとの言葉に胸が熱くなりました。
ゆうカフェのスタッフは、支援者であり本人たちの代弁者でもある、ということ・信頼関係を築くことで相談先になれる(心を開いてくれる)、という話が印象に残りました。






