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UN Women日本事務所と対談~国際ガールズ・デー2022~

女の子だから

更新)

10月11日は国連が定める「国際ガールズ・デー」です。女の子が直面する課題に取り組む必要、そして女の子のエンパワーメントと権利の促進を啓発するための日を記念して、UN Women(国連女性機関)日本事務所石川雅恵氏と、プラン・インターナショナルアドボカシーグループの長島美紀が対談しました。

写真:THINK FOR GIRLS 国際ガールズデー

世界ガールズ・レポート 今年のテーマは「女の子の政治参加」

写真:長島職員(左)とUN Women日本事務所の石川雅恵氏(右)

長島職員(左)とUN Women日本事務所の石川雅恵氏(右)

石川さん:今回、プラン・インターナショナルさんがレポートを出されたとお聞きしました。どのような内容だったのでしょうか?

長島:今回のテーマは、「女の子の政治参加への意欲」です。日本を含む29カ国、15歳~24歳の約3万人の女の子を対象に調査を行いました。そのなかで出てきたデータとしては、ほとんどの女の子が「政治に関心がある」というポジティブな結果が明らかになりました。また日本の傾向と少し違いますが、「なんらかのカタチで政治に参加したことがある」という人が8割以上という調査結果もでました。参加というのは、「実際に手を挙げて立候補する」や、「政治的な課題に関してみんなで議論する」というインフォーマルなものも含まれています。みなさん、政治に関する関心は非常に高いということが言えると思います。ただ、一方で、政治の状況を見てみると、政治家の人たちが若者の意見を考慮して、政策に反映しているという状況にはまだ至っていない。自分たちの意見を政治家に伝えようとしてもそれが、政治には反映されない。そこに対して、ネガティブな結果や、落胆を感じるというデータも出ていました。

国連の報告書では、真のジェンダー平等達成までには286年かかるとも

石川さん:非常に面白いデータですね。今、仰っていただいたことは、国連の報告にも重なる部分があります。UN Women は毎年、「Gender Snapshot」というSDGsの5番(ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを実現しよう)に関して、どれだけ世界が進んできたか?という報告書を発表しているのですが、ジェンダー平等が本当の意味で、世界で達成されるまでには286年かかるということが新たに報告されました。日本では人生100年時代といわれている今日ですが、それでも3倍の人生を歩まないとジェンダー平等達成を実現する未来は見られないのですね。

ジェンダー平等に向けた一つの障害としては、女の子たちが「自分たちが政治リーダーになることに自信がない」、もしくは「そうなったとしても、あまり影響がないんじゃないか?と思っている人が多い」ということなどがあげられると思います。ただ、女の子だけではなく、すべての日本の若者が自分に対する自信がないというデータもでていますので、それはなぜか?ということをよく考えてしまいます。

自信を失っている日本の女の子たち

長島:内閣府が実施した、日本を含めた7カ国の満13~29歳の若者を対象とした意識調査(我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成25年度)のなかでも、ほかの国に比べると日本の若者が自分に自信がなく、「他者からの評価」で自分を位置付けているというデータもでています。2019年に、プランでは、「Taking the Lead 」というレポートをだしています。それによると、「リーダーになりたい」という日本の女の子は、2人に1人と高い傾向にあります。しかし、「自分はリーダーになる素質があるか?」という質問に対して、調査対象となった19カ国平均と比べるとかなり低い結果となりました。昨年中高生の女の子2000人にリーダーシップに関する調査を行ったのですが、学校で学生内でのリーダー、例えば「生徒会長」などになりたいかと?と聞くと、「なりたくない」と答える人が多い結果になりました。理由を聞くと、「キャラじゃない」という返答が多くあげられました。「キャラじゃない」というのは、他者からの評価が基準となっていますよね。また、政治家イコール男性、特に高齢の男性というイメージが、結果的に政治は「自分たちには関係がない」と考えてしまうのかな?と思います。

石川さん:おっしゃる通りですね。今の日本の女の子が見ている風景やリーダーのイメージを変えていかないといけない。従来のリーダーのイメージのように、強くなくても、へなちょこでも、大きな声がだせなくても、それでも、何か人を惹きつける力がある方が、リーダーになっていくこともあり得ると思います。

長島:リーダーとは、進むべき方向を指し示す人物であると思います。例えば、学生であったら文化祭や運動会といったイベントでもリーダーになれる場所があるわけで、リーダーという点において、政治も文化祭も差はありません。世の中はいろんな場面でいろんなやり方で活躍するリーダーがいるし、その場に応じて自分自身がリーダーになる可能性は常にあります。その場に応じたリーダー経験を積み重ねることで、リーダーという存在は構築されていくはずです。

大切なのは政府・市民社会・民間企業が力を合わせること~「Action Coalition」

写真:長島職員(左)とUN Women日本事務所の石川雅恵氏(右)

石川さん:おっしゃる通りですよね。今回、こちらのレポートで浮き彫りになったことは、実は、日本特有のものではなくて、世界にも共通しています。国連としての大きな振り返り時点と言うのが2020年にありました。1995年に北京で世界女性会議があって、そこから25年たった2020に、この25年間に何が起こったかということを振り返る機会があったのですが、その時に「女性や女の子の政治参加がまだまだ足りない」という事が一つの課題として浮かび上がり、その課題に取り組むためにUN Womenは「Action Coalitions」という行動連合をつくりました。

政府、市民社会、民間企業が一緒になって行動していくことを決め、その行動連合の一つとして、「女性のリーダーシップ」を扱う行動連合があります。この行動連合には、例えば民間企業でいえば、Gucciさんというファッションブランドがあります。プラン・インターナショナルさんも行動連合に加入していると思われますが、官、民、市民社会の3つでやっていけるように現在取り組みをおこなっているわけです。そういう意味では、日本も一つの世界の目標に向けて頑張って頂きたいと思っていますし、日本で何か盛り上げていくことができるのではないか?と私たちは考えておりますが、このレポートを読んだ女の子たちが、具体的にできることは何かあったりしますでしょうか?

一人の「つぶやき」が世界を変えることもある

長島:そうですね。今回のレポートでは、「具体的なアクションに起こす」という指標が、日本の結果は全体と比べると低い傾向にありました。具体的に、デモ行動や、SNS上でのキャンペーンの参加、政治家に会いに行くというアクションが数値としては低くでています。

とはいえ、SNS上のキャンペーンのように、女の子の影響力を行使する機会は以前より多くなりました。2019年には、職場でのヒール・パンプスの強制をなくしたい!という、元女優の石川優実さんのTwitterでのつぶやきが、「#KuTooキャンペーン」となりました。1人の若い女性のつぶやきに多くの人が賛同し、国会でもヒール着用の義務規定について取り上げられたり、航空会社や銀行など規則でヒール着用を定めていた企業が義務規定を撤廃しました。健康にもよくないけれど当たり前とされていた慣行が一人のつぶやきから変わっていく。社会は意外と、変えようと思えば変わっていくし、変えようと思うヒントって、実はたくさんあるのではないかな?と思っています。何かに出くわした時に、おかしいなと、思えるかどうかが大切です。

自分では企画ができなかったとしても、まずは、オンライン上の活動に参加をしてみるとか、いいね!を押してみるとか、そういった行動だけでも社会は変わると思います。

声を上げるためのツールとしてのSNS 安全な利用のためには?

石川さん:おっしゃるとおりですね。SNSで声をあげることは、少しだけハードルを低くした政治参加で、ソーシャルメディアの力というのは非常に強く、そこで声をあげることは大事ですよね。今まで点であったものが線となって面になって、そして大きな力となって動かしていくということはすごく重要です。しかし、一方で、SNSというものは暴力にも変化します。SNSで連帯して、何かを動かそうとしたときには必ず反対勢力というのがでてきますよね。反対勢力が出てきた時に、そこでこそやはり声を上げて何かを起こそうとしている人たちに応援するために「私もあなたに同意します」ということを発信することがすごく大事だと思っています。

長島:そうですよね。プランが2021年に発表した世界ガールズ・レポート「The Truth Gap~女の子が直面するオンライン上の有害な情報~」では、オンライン・ハラスメントを取り上げました。誹謗中傷などの被害にあうと、多くの人が声を上げることをやめてしまったり、SNSを見なくなってしまう。アカウントを閉じてしまうということがあると言われています。SNSは自分たちの声を上げられるツールですし、LGBTIQのような家族に言えない悩みを持っている人が、外で、匿名であるが故につながれるプラットフォームでもあります。SNSの運用会社であったり、政府に対しても、SNSという場は、完全に公共空間であるという認識を持ち、そのなかでルールをどうつくっていくのかを考えることが非常に大切であると考えます。

12月には日本政府主催の国際女性会議(WAW!)が開催

石川さん:本日は、せっかく若い人のお話をしていますので、ぜひ次回は実際に若い人の意見を聞く機会を設けられたらと思いますが、12月の3日に、日本政府が国際女性会議、World Assembly for Women 通称、WAW ! を開催するということが発表されておりまして、そのなかの一つの議題として、女性の意思決定も扱う予定であるとお聞きしています。もし、そうであれば、若い人とともにその機会にこの話をぶつけてみれば、一つの学びの場になるのではないかと思うのですがいかがでしょうか。

長島:ありがとうございます。今回のデータとしては、とりわけ低い数値が目立ちましたが、とはいえ、若者の投票率を上げようという活動を行っているNO YOUTH NO JAPANの能條桃子さんのように、実際に声を上げ始めている人たちはいますし、ぜひそういった方たちと一緒に、データからは読み解けない実際のところはどうなのか?という所を若い女性、男性も含めて議論ができる場を作りたいと考えています。

石川さん:では、これから企画を考えて、何かご一緒にできればと思っております。今日は、ありがとうございました。

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