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ESDとは?持続可能な社会を実現するために行われていること

(2023年05月08日更新)

最近耳にすることが多くなってきたESDという言葉ですが、一体どのような意味があるのでしょうか。ESDとは、Education for Sustainable Developmentの略で「持続可能な開発のための教育」と訳されています。現在、世界情勢は、紛争、新型コロナウイルス感染症、気候変動という3つの危機が合わさり混沌を極めています。
地球が直面しているさまざまな問題を主体的にとらえ、継続的に平和で豊かな生活を送るためには何をすべきなのか。深く考え、行動する学びが必要とされています。

ESDとは?

ESDとは、持続可能な社会の実現を目指して、問題の解決につながる新たな価値観や行動変容をもたらすために行う学習・教育活動のことです。ESDとは何か、そして意義について詳しく見ていきましょう。

今、世界には気候変動、それに伴う生物多様性の喪失、資源の枯渇、貧困の拡大など人類に影響を及ぼすさまざまな問題が山積しています。「持続可能な開発のための教育」と訳されるESDとは、Education for Sustainable Developmentの略です。これは、現代社会が抱えているさまざまな問題を自らの問題として主体的にとらえ、
人類が将来の世代にわたり豊かな生活を送ることができるよう、身近なところから取り組むために推進されている教育です。

写真:キャプション

ESDの意味

ESDとは、環境的視点、経済的視点、社会・文化的視点から、より質の高い生活を次世代も含む全ての人々にもたらすことのできる開発や発展を目指した教育です。持続可能な未来や社会の構築にむけた実施計画を策定し行動に移す人材の育成を目的としています。

  1. 「将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、現在の世代のニーズを満たす開発」(国連ブルントラント委員会)
  2. 「人間を支える生態系が有する能力の範囲内で営みながら、人間の生活の質を向上させること」(IUCN/UNEP/WWF)。

上記2つを実現させるための教育が「Education for Sustainable Development:ESD」なのです。

持続可能な社会の形成者としてふさわしい資質や価値観を養うこと。この視点に立った学習指導を進めるにあたり、持続可能な社会づくりを構成する「6つの視点」を軸にして、教員や生徒が課題を見出していきます

持続可能な社会づくりの構成概念

  1. 多様性(いろいろある)
  2. 相互性(関わりあっている)
  3. 有限性(限りがある)
  4. 公平性(一人一人大切に)
  5. 連携性(力合わせて)
  6. 責任制(責任を持って)

そして、持続可能な社会づくりのための課題解決に、以下の「7つの能力・態度」の習得を促します。

ESDの視点に立った学習指導で重視する能力・態度

  1. 批判的に考える力
  2. 未来像を予測して計画を立てる力
  3. 多面的・総合的に考える力
  4. コミュニケーションを行う力
  5. 他者と協力する力
  6. つながりを尊重する態度
  7. 進んで参加する態度

出典:国立教育政策研究所「学校における持続可能な発展のための教育(ESD)に関する研究〔最終報告書〕」

ESDの歴史

ここでESDの歴史を紐解いてみましょう。

1980年 「世界自然保全戦略」で「持続可能な開発」が示された
2002年 日本政府が「持続可能な開発のための教育(ESD)」を提唱
2002年 第57回国連総会本会議で決議案が採択された
2005年~2014年 「国連持続可能な開発のための教育の10年(DESD)」とした
2013年 「ESDに関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)」が採択された
  • ※GAPは「国連持続可能な開発のための教育の10年」の後継プログラムのこと
2019年 第74回国連総会において「持続可能な開発のための教育:SDGs実現に向けて(ESD for 2030)」が採択された

ESDは、2002年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議」で日本が提唱した考え方です。その後第57回国連総会で採択された国際枠組み「国連持続可能な開発のための教育の10年」(2005-2014年)や2013年の第37回ユネスコ総会で採択された「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)(2015-2019年)に基づき、ユネスコの主導により国際的に取り組まれてきました。
2015年の国連サミットで、先進国を含む国際社会全体の目標として、「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals:SDGs)が採択されました。SDGsは、「誰一人取り残さない」社会の実現を目指して、2030年を期限とする包括的な17の目標及び169のターゲットにより構成されています。ESDは、このうちの目標4「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯教育の機会を促進する」のターゲット4.7に位置付けられました

ESDとSDGsとの関係性

SDGsとESDの関係性は密接です。
上述したようにSDGsは、「誰一人取り残さない」という強い決意表明のもと、環境、社会、経済の3つの観点から課題に取り組み、地球を持続可能なものにするための国際目標です。
一方、ESDは、持続可能な未来を担うための教育方針で、今では世界中で取り入れられている教育です。ESDを知ることで、これからの教育のあるべき姿が分かり、結果としてSDGs達成の促進につながるのです。SDGsの担い手を育成するための教育、それがESDなのです。

写真:SDGSロゴ

SDGsとは

誰一人取り残さない持続可能な世界を実現することを目的としているSDGs。2030年までにサステナブル/持続可能でよりよい世界にするために定められた国際目標SDGsは、17のゴールと169のターゲット目標で構成されています。

SDGsの掲げる17の目標

SDGs17の目標

目標1 貧困をなくそう
目標2 飢餓をゼロに
目標3 すべての人に健康と福祉を
目標4 質の高い教育をみんなに
目標5 ジェンダー平等を実現しよう
目標6 安全な水とトイレを世界中に
目標7 エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
目標8 働きがいも経済成長も
目標9 産業と技術革新の基盤を作ろう
目標10 人や国の不平等をなくそう
目標11 住み続けられるまちづくりを
目標12 つくる責任、つかう責任
目標13 質の高い教育をみんなに
目標14 気候変動に具体的な対策を
目標15 陸の豊かさも守ろう
目標16 平和と公正をすべての人に
目標17 パートナーシップで目標を達成しよう

SDGsに取り入れられているESD

世界中の人々が将来にわたり豊かに暮らせることを目指し、環境、人権、文化などのカテゴリーで達成すべき17の目標から成るSDGs。
SDGsを達成するための具体的な目標として169のターゲットが示されており、ESDは、目標4「質の高い教育をみんなに」にあるターゲット7「教育を通してSDGs達成に貢献する」に位置付けられています

つまり、2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献を理解するための教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにすることが目標とされているのです。

写真:児童婚の弊害について学ぶ(ベトナム)

児童婚の弊害について学ぶ(ベトナム)

一方で、ESDは、ターゲットの1つとして位置づけられているだけでなく、SDGsの17全ての目標の実現に寄与するものであることが国連総会において確認されています。持続可能な社会の創り手を育成するESDは、持続可能な開発目標を達成するために不可欠である質の高い教育の実現に貢献するものとされています。
次世代を担う子どもたちがSDGsの本質を理解し、社会問題の解決にむけ実践する力をつけるために、ESDは欠かせない存在なのです。

ESDを実践するうえで重視されていることは、「主体的・対話的で深い学び」の実現です。
SDGsの目標のひとつである「質の高い教育」では、文字の読み書きに加えて、自ら課題を見つけ考える力を養うことが求められています
そこで注目されるのが、アクティブラーニングの存在です。
アクティブラーニングとは、主体性を大切にする教育を指します。生徒が先生の講義を聞くだけという従来の一方向の授業スタイルに対し、グループディスカッション、発見学習、体験活動、ディベートといった生徒が主体となったスタイルです。
アクティブラーニングを通じ、子どもたちは、考える力や生きる力といった問題解決のアプローチを習慣化させることができます。

4.質の高い教育をみんなに

目標4:質の高い教育をみんなに

「2030年までに、教育を受けるすべての人が、持続可能な社会をつくっていくために必要な知識や技術を身につけられるようにする。そのために、たとえば、持続可能な社会をつくるための教育や、持続可能な生活のしかた、人権や男女の平等、平和や暴力を使わないこと、世界市民としての意識、さまざまな文化があることなどを理解できる教育をすすめる。」

引用:4.質の高い教育をみんなに(ユニセフ)

ESD実現に向けた日本や世界の取り組みとは

ESDは世界のさまざまな国で行われていますが、価値・道徳教育としての位置づけのほか、学校全体の取り組みとしての位置づけ、あるいは環境教育を基礎とした取り組み、民主主義教育としての位置づけなど、国ごとに多様な形で展開されています。
日本と世界の取り組みの事例をご紹介します。

写真:デジタルコンテンツを用いた授業(ネパール)

デジタルコンテンツを用いた授業(ネパール)

日本の取り組み

日本では、文部科学省と環境省の主導のもと、NGO、企業などさまざまなステークホルダーが主体となり、長年にわたりESDの取り組みが活発に実施されてきました。
文部科学省と環境省が開設したESD活動支援センターがESD支援を行っており、主に情報の発信、ESD支援体制の整備、ネットワーク形成と学び合いの促進、人材育成などを担っています。
文科省では、2017年に公示された幼稚園教育、小中高等学校の学習指導要領において、「持続可能な社会の創り手」の育成が掲げられています。また、ユネスコスクール(ASPnet:Associated Schools Network)加盟校をESDの拠点として位置づけ、学校でのESDを推進しています。

環境省では、「環境保全のための意欲の推進および環境教育の推進に関する法律」(2004年)を実施し、環境教育を中心としたESDの推進に取り組んでいます。地域創成に貢献する人材の育成を目指すローカルSDGs人材育成プログラムの実施や、学校や地域社会のなかで活発なESDの取り組みをしている人にインタビューした動画の配信、日本・中国・韓国の3カ国による日中韓環境教育ネットワークを通じた市民レベルでの環境共同体意識の向上などが行われています。

世界の取り組み

ユネスコは、2020年から国際的なESDの枠組み「ESD for 2030」を実施し、加盟国と共にESD推進を強化することで、SDGs実現に貢献することに尽力しています。また、加盟国や他のステークホルダーが「ESD for 2030」を導入するための指針となるロードマップを公表しています。
以下の5つの優先行動分野が提示され、各加盟国には、これらの優先行動分野における取り組みを、多様なステークホルダーとの協働のもと進めることが期待されています

  1. 政策の推進
  2. 学習環境の変革
  3. 教育者の能力構築
  4. ユースのエンパワーメントと動員
  5. 地域レベルでの活動の促進

さらに、気候変動枠組み条約事務局(UNFCCC)と共に、気候変動をテーマにしたESD推進のためのオンラインセミナーシリーズを実施し、幅広い関係者をターゲットに、地域に根ざしたESD実践者育成のための教材開発も行っています。

誰も取り残さない社会の実現にむけて

2015年9月に国連で採択されたSDGs達成の目標年は2030年。今はちょうどその折り返し地点を過ぎようとしているところです。
ところが、気候変動による自然災害の多発や、新型コロナウイルス危機、ウクライナ紛争による経済の混迷、食料危機が発生したことで、SDGsの進捗が大きく後退してしまい、予定どおりに目標を達成するためには今の4倍の努力が必要であるとの試算もあります。

写真:キャプション

特に、女の子や障害のある子どもたち、少数民族や遠隔地に住む子どもたちは、負の連鎖に陥る可能性が高い状況にあります。教育の機会を得られないことは、彼らの未来だけでなく、地域社会や国の未来にまで多大な影響を及ぼします。

先進国におけるESDと同時に、社会から疎外され取り残されがちな子どもが、当事者として自らの問題について声をあげ、解決に向け率先して働きかけることができるよう「ライフ・スキル教育」を推進することが重要です。ライフ・スキルは、ESDにもつながる、各々の人生を充実させ社会に変革を起こすために必要な能力です。

プラン・インターナショナルは、今後も世界のさまざまな課題は国境を越えた地続きの問題であると捉え、「教育」を軸に活動を展開していきます

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国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。

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