(2025年08月14日更新)
私たちの社会は、水道・電気・ガス・インターネット・道路・公共施設などのさまざまなインフラ設備によって支えられています。
しかし、先進国では当たり前のようにインフラの恩恵が人々に行き届いている一方で、開発途上国では依然としてインフラが十分に整備されていないことも少なくありません。また、近年は自然災害や大規模な事故の発生時に重要なインフラをいかに維持・復旧するかが世界的な課題となっています。

もくじ
「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、以下SDGs)」の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」では、私たちの社会に欠かせないインフラに関するターゲットやグローバル指標が設定されています。各国の政府や自治体、事業でインフラに携わる企業がどのように目標へ貢献できるのかを考えてみましょう。

地震で壊れた家屋のがれきを撤去する様子(ネパール)
SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」とは
SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」では、社会に強靱なインフラを構築することによって、包摂的かつ持続可能な産業化の促進と、イノベーションの推進が目指されています。この目標では、以下のようなターゲットが定められています。
9.1 全ての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラを開発する。
ターゲット9.1では、世界のすべての人々のために、質の高い・信頼できる・持続可能で強靭なインフラの開発が目指されています。
特に開発途上国では、人々の生活や経済活動に必要なインフラが依然として不足している状況です。G20が公表する世界予測のデータによると、世界のインフラ需給ギャップは2040年時点で約15兆米ドルと推計されており、開発途上国のインフラ整備が大きな課題となっています。
その際は、開発途上国の成長を推進するためにも、自然災害や大規模な事故に直面した際の維持・復旧まで考慮し、安全で良質なインフラを導入しなければなりません。

地震で壊れた家屋のがれきを撤去する様子(ネパール)
9.c 後発開発途上国において情報通信技術へのアクセスを大幅に向上させ、2020年までに普遍的かつ安価なインターネットアクセスを提供できるよう図る。
また、ターゲット9.cでは、後発開発途上国における情報通信技術へのアクセス向上が目指されています。近年は世界的にインターネット環境が人々の生活に欠かせないものとなっています。
先進国ではデジタル技術が教育や医療の分野においても活用され、ICTが学習効率の向上や病気の治療にまで貢献するようになりました。しかしながら、インフラ設備が不十分な開発途上国では、テクノロジーの恩恵を受けられない人々が情報格差(=デジタル・ディバイド)によって取り残されるリスクが懸念されています。
国際電気通信連合(ITU)のレポートによると、2024年におけるインターネット利用者は世界人口の68%に相当する55億人
に達しました。その一方で、世界人口の3分の1に相当する26億人の人々は、依然としてインターネットを利用できていません。

- 【出典】
- 「A G20 INITIATIVE Forecasting infrastructure investment needs and gaps」(Global Infrastructure Hub)
- 「Measuring digital development Facts and Figures 2024」(ITU)
SDGs目標9が設定された理由
そもそも、SDGs目標9はなぜ設定されたのでしょうか。社会におけるインフラの重要性を具体的に確認してみましょう。
インフラは社会の基盤だから
人々が安心して暮らせる社会を作るためには、基盤となるインフラ設備が不可欠です。たとえば、生命維持や公衆衛生の向上には「水道」が欠かせません。「電気」や「ガス」などのエネルギーは、個人の暮らしに必要なだけでなく、社会の経済成長や技術革新にも必要です。

新設された掘り抜き井戸から水を汲む女の子(トーゴ)
産業の発展が経済成長と雇用を生み出すから
インフラが整備された社会では産業が発展し、経済成長や雇用創出といったさまざまなメリットがもたらされます。物質的な豊かさが向上することで、心の豊かさや働きがいが醸成され、より多くの人が幸福に暮らせる社会を目指せます。

デジタルスキルを学ぶトレーニングに参加する若者たち(インドネシア)
技術革新が持続可能な社会を実現するから
社会において発生する技術革新は、インフラの普及状況と関係していると考えられています。情報インフラが整備されて産業構造が高度化すると、技術革新が起こる可能性が高まり、持続可能な社会の実現に必要なテクノロジーの開発が促されます。
SDGs目標9の達成状況
ここでは、各国におけるSDGs目標9の目標の達成状況をご紹介します。日本の現状を改めて確認してみましょう。
世界全体の進捗状況
「持続可能な開発報告書2024」では、国連加盟国193カ国のSDGs目標達成の進捗状況を総合評価し、ランキング形式で紹介しています。ランク1位はフィンランド(スコア:86.35)、ランク2位はスウェーデン(スコア:85.70)、ランク3位はデンマーク(スコア:85.00)です。このうち目標9の達成度や進捗状況は、以下の通りとなっています。
【上位3国のSDGs目標9の進捗状況】
| 順位 | 国 | スコア | 目標9の達成度 | 進捗状況 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | フィンランド | 68.35 | 課題は残る | SDG達成は順調または維持中 |
| 2 | スウェーデン | 85.70 | 課題は残る | スコアは中程度に改善しているが、目標達成には不十分 |
| 3 | デンマーク | 85.00 | 課題は残る | スコアは中程度に改善しているが、目標達成には不十分 |
日本の現状
「持続可能な開発報告書2024」によると、日本の順位は18位で、スコアは79.87となっています。ランキング1位のフィンランドと比較してスコアが6.48ポイント離れているものの、目標9の達成度に関しては「SDG達成」となっています。ただし、現状は達成と評価されているものの、今後も進捗を順調に維持してさらなる目標達成を目指すにあたり、引き続き取り組みが欠かせません。
| 順位 | 国 | スコア | 目標9の達成度 | 進捗状況 |
|---|---|---|---|---|
| 18 | 日本 | 79.87 | 大きな課題が残る | スコアは中程度に改善しているが、目標達成には不十分 |
SDGs目標9を達成するためにできること
日本国内では、SDGs目標9の達成へ向けて政府や自治体が積極的な取り組みを進めています。また、課題解決へ向けた民間企業の協力が拡大している状況です。ゴールへ向けてできることを解説します。
政府や自治体ができること
日本では、SDGsの採択後に政府が「SDGs推進本部」を設置し、目標達成へ向けた推進体制の整備に取り組みました。SDGs推進本部は「ジャパンSDGsアワード」を創設し、自治体の積極的な取り組みを促しています。
自治体におけるSDGs目標9に関連した表彰制度として、国土交通省「グリーンインフラ大賞」、環境省「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」、農林水産省「ディスカバー農山漁村の宝アワード」などが挙げられます。

企業ができること
国内のインフラ関連企業は、海外への技術者の派遣や、インフラ老朽化問題を解決するソリューションの開発などにより、SDGs目標9の達成へ貢献しています。また、独立行政法人中小企業基盤整備機構による「Japan
Venture
Awards(JVA)」では、社会的課題の解決に貢献するベンチャー企業経営者の表彰が行われています。
なお、事業内容にかかわらず、SDGs目標9に取り組むNPO/NGO団体との連携で、目標達成に貢献することも可能です。

SDGs目標9に取り組み世界のインフラ整備に貢献しましょう
SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」が目指すのは、すべての人々が社会の基盤であるインフラの恩恵を受けられる世界です。日本においても事業でインフラに携わる企業が積極的に貢献し、取り組み事例が多くなっています。2024の報告書において、日本は目標9に関して「SDG達成」の評価となっているものの、より良い世界を実現するために、できることはたくさん残されています。
たとえば、国際NGOプラン・インターナショナルは「途上国における安全な水へのアクセス改善」「トイレや手洗い場といった衛生設備を併設した学校建設」をはじめとした支援を行っています。
SDGsへ積極的に貢献する企業様の協働先として、より良い世界の実現を目指してSDGsの目標達成に取り組んでいます。

プラン・インターナショナルが建設した新しい校舎(ウガンダ)
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