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教育格差の対策のためにできることは?世界の現状と格差の原因

教育格差とは、本人の選択に関わらず、生まれ育った環境により受けられる教育の機会や質に差が出てしまうことです。親の学歴、世帯収入、職業などの社会的、経済的、文化的な要素を統合した社会経済的地位(Socioeconomic status)や出身地域といった生まれによって子どもの学力や最終学歴などの結果に差が出てしまうこの問題を深堀りし、解決策を模索します。

すべての子どもたちが教育を受けられるように

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世界の教育格差の現状

途上国の問題と捉えられがちな教育格差ですが、昨今は、先進国においても深刻化しています。その背景には何があるのか。まずは、アメリカの事例から問題の本質に迫っていきたいと思います。

アメリカは、経済力と才能を備えた人にとっては、夢を叶えられるチャンスにあふれている国ですが、持たざる人々は厳しい現実に直面しながら日々の生活を送っています。OECD(経済協力開発機構)では、加盟国36カ国を対象に行った相対的貧困率に関する調査を実施しました。相対的貧困率とは、国民の所得の中央値の半分未満の所得しかない人々の割合を示すものです。アメリカの相対的貧困率は、イスラエルに並び世界最高の約18.0%を示しています。先進国であるアメリカにおいても経済格差の問題は深刻であることが分かります。

写真:アメリカのプラン・ユースグループで、教育と女の子権利向上のために活動する女の子

アメリカのプラン・ユースグループで、教育と女の子権利向上のために活動する女の子

また、アメリカや世界における人々の問題意識や意見、傾向に関する情報を調査するシンクタンクPew Research Centerの分析によると、アメリカはひとり親家庭に育つ子どもたちの割合が世界で最も高いことも分かっています。このような親たちは、仕事や家事など日々の生活に追われ、子どもの教育にまで目を配ることができません。その結果、大勢の子どもたちが勉強する意欲を持てずに途中で学校を辞めてしまうケースが後を絶ちません

また、アメリカでは、治安の悪い地域に、貧困層が集中していることが地域ごとの学力格差拡大の一因となっています。教育意識の低い大人たちに囲まれた環境の中で価値観を形成する子どもたちは、教育の重要性を認識することができず、高等教育への進学を念頭に置く機会もないまま大人になってしまいがちです。学歴も専門的な知識も持ち合わせていない子どもが、将来高収入の仕事に就くには困難が伴いがちです。このように、アメリカでも、所得格差や地域格差が子どもの学力や将来の職業に大きな影響を与えており、子どもの貧困、そして格差社会を加速化させています

世界規模における子どもの教育格差の状況は深刻

世界の状況に目を転じてみると、先進国とは異なる事情が見えてきます。
UNESCOの発表によると、2021年時点で、世界の約2億4400万人の子どもたち(6歳~17歳)が学校に通えていないことが明らかになっています
学校に通えない子どもの数が多い国では、インド、パキスタン、ナイジェリア、エチオピア、中国、インドネシア、タンザニア、バングラデシュ、コンゴ民主共和国、スーダンが上位10カ国を占めています
これらの国々の多くは途上国で、人口が多いうえに貧困問題を抱えているため、子どもたちへの教育が行き届かない現状があります。

教育を受けられないことでスキルを必要とする仕事に就けず十分な所得を得られないことが、貧困や人材不足の温床になっています。保護者が貧困家庭で教育を受けていない場合、子どもも親同様に教育の機会を得られない(もしくは与えられない)ことが多く、貧困の世代間連鎖を引き起こしてしまいます。
貧困の連鎖につながる教育機会の欠如を解消するための取り組みを進めるためには、家庭・地域・行政それぞれが役割を持つことを認識すること。そして、社会が一体となって総合的かつ多面的に支援を行うことが重要です。

写真:学校にも行けず、仕事をしながら兄弟の世話も担う女の子(インド)

学校にも行けず、仕事をしながら兄弟の世話も担う女の子(インド)

教育格差が起きる原因

教育格差が起こる主な原因として「生まれ」「貧困」「地域格差」があげられます。ここではさらに国家や文化、地理的要因など回避することが難しい原因についても考えてみたいと思います。

教育格差の原因を、以下の6つの視点から具体的に考えてみましょう。

家庭の貧困

途上国では、食料や水を買うお金がなく、医療や教育も受けられないなど人間として必要最低限の生活を送ることも難しい絶対的貧困に直面している人々が大勢います。
絶対的貧困に苦しむ家庭では、生きることに精一杯で、教育は後回しにされてしまいがちです。子どもたちは、経済的な理由により学校に通わせてもらえず、生活のために幼いうちから働かなくてはならない場合があります。そのような家庭では、親自身が十分な教育を受けていないことが多く、教育の重要性が理解されていません。そのため、貧困の連鎖に陥っている状況が見られるのです。

写真:教材費の負担軽減のために学用品を配布(ナイジェリア)

教材費の負担軽減のために学用品を配布(ナイジェリア)

学校や教員の不足

途上国では、ひとつの小学校に何千人もの児童が通っていることがよくあります。場所によっては、児童・生徒の人数に見合った数の学校や教室がなく、午前と午後の入れ替え制で授業を行っている場合もあります。また、教師の待遇が悪く教師のなり手が不足しています。教職に就いたとしても十分な訓練を受けられず、適切な指導法を習得しないまま教鞭を取ることが多いため、質の高い教育の提供は難しい状況です。また、少数民族が多く暮らす地域の家庭では、学校で教わる言葉とは異なる民族の言葉を使っている場合が多く、現地の言葉を理解できる教師が不足していたり、少数民族の言語による授業を受け入れない学校もあるなど、初等教育の段階での言葉の制約が学習の妨げとなる場合もあります。

戦争や紛争

戦争や紛争の影響によって何百万人もの子どもたちが教育を受ける機会を奪われています
2022年以降、紛争の激化により多くの人々が故郷を追われたウクライナでは、子どもたちの半数以上が国内外での避難生活を余儀なくされています。学校など多くの教育施設が全壊し教育の継続が困難を極めている状況です。
また、多くの地域で断続的な紛争状態が続いているアフリカでは、通学途中で危険な目に遭うことが懸念されると同時に学校が軍の拠点とされ攻撃の対象となってしまうこともあり、多くの子どもたちが命の危機にさらされています。

写真:爆撃で破壊された体育館(ウクライナ)

爆撃で破壊された体育館(ウクライナ)

中途退学により学習の機会を失い、選択肢がなくなってしまった子どもたちは、自ら志願して武装グループに加わる、児童婚や人身取引、性的搾取や性暴力などあらゆる形態の暴力にさらされるなど、多くの危険に直面してしまいます

宗教や地域性

途上国のなかには、宗教や地域に古くから根づく価値観や慣習により、教育を受けることができない女の子が大勢います。「無償ケア労働に携わる女の子には教育は不要である」との考えや、「家に経済的な余裕がない場合は男の子への教育を優先する」という考えや文化が根強い国や地域が多くあります。このような国々では、女の子の教育を受ける権利に対する理解が得られず、女子教育の促進が難しいとされています。

女の子が教育を受けられない原因の一つとして特に問題視されているのは、早すぎる結婚(児童婚)と妊娠です
途上国では18歳未満での早すぎる結婚(児童婚)を強いられている女の子が多くいます。学校にトイレがないことを理由に初潮を迎えると中途退学をしてしまったり、保護者が遠方にある学校までの長い通学路での暴力の危険を恐れて学校に通わせたがらなかったり、女の子が学校に通えない理由はさまざまです。
このような宗教や地域性により起こる性差別は、女の子から教育機会を奪い、女の子に対する差別や偏見、不平等を加速化させ、彼女たちの可能性の芽を摘む結果となってしまっています

写真:早すぎる結婚(児童婚)の弊害を学ぶトレーニング(ネパール)

早すぎる結婚(児童婚)の弊害を学ぶトレーニング(ネパール)

不安定な政治

長びく紛争で疲弊している国々では、不安定な政治が質の高い教育の提供を難しくしています。政治的に不安定な状態が続くと、政策についての不確実性が高まり、貯蓄や投資などの経済活動にも悪影響が生じます。その結果、政府はインフラや教育、保健・医療といった公的サービスを適切に届けることができなくなり、負のスパイラルを招いてしまいます
国の政策が遅れているため学校数が不足し、たとえ校舎があったとしても荒廃していたり、指導を行う教員が不足したりする など、教育を阻害するさまざまな問題が混在しています。

自然災害

干ばつや洪水などの自然災害が多発している国や地域では、通常の支援体制が機能せず、社会的不公正や不平等といった既存の問題が浮き彫りになりがちです。その影響は教育分野にも及び、子どもたちの就学にも大きな影響を及ぼしています。
世界銀行と世界銀行防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)の報告書は、甚大な自然災害による影響は年間消費にして5200億ドルの損失に相当し、毎年約2600万人が貧困状態に陥る状況を作り出していると解説しています。自然災害によりもたらされる貧困も、教育格差を助長させています
特に昨今は、災害が起こってもオンライン授業などを通じ教育を受けられる子どもとそうでない子どもが共存しており、これまでにない教育格差が生じているとの報告があります。

写真:災害時には教育格差が拡大することも

災害時には教育格差が拡大することも

世界の教育格差をなくすために必要な支援

これらの教育格差を解消するためには、複雑に絡みあうさまざまな課題を理解し、一つずつ解決していくことが重要です。国連が定めたSDGs目標4「質の高い教育をみんなに」を2030年までに実現させるためには、さまざまな側面からの支援が必要とされます。

教育格差を解消するためには、まず貧困を解消しなければ根本的な解決に至りません。教育の機会や場所を提供するだけではなく、各家庭の生活支援、経済支援を行う必要があります。
プラン・インターナショナルは、すべての子どもたち、特に女の子たちが差別や偏見を受けることなく安全・安心な環境で質の高い教育を受けることができるよう、学校外の地域の人々やステークホルダーと連携して以下の支援活動を行っています

目標4:質の高い教育をみんなに

  • 校舎や教室の建設や修繕
  • 教科書や学用品、奨学金の支給
  • 教員のスキル向上のためのトレーニングの実施
  • 保護者や地域住民に対する教育の重要性に関する啓発活動
  • 学校への男女別のトイレ、手洗い場の設置と子どもたちへの保健衛生教育
  • 学校菜園や運動場、図書室などの設置による教育環境の整備
  • 地域住民を巻き込んだ学校給食を提供するための体制づくり
  • 学校運営委員会の設置を通じた持続可能性の確保
  • 中途退学をしてしまった子どもたちに対する教育支援および就労支援
  • 障害のある子どもへの教育支援

すべての子どもたちが教育を受けられるように

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教育格差の対策 -格差をなくすために私たちにできること-

教育格差は、子ども本人の問題だけではなく、国家や地域の発展をも妨げる深刻な社会課題です。この課題を解決するために、私たち一人ひとりにできることをご紹介いたします。

教育格差があることを認識する

まずは、世界の教育格差の現状や子どもや女の子たちに及ぼす影響について知って関心を持っていただくことができます。そして、この問題を解決するために必要な支援を理解し、周囲の人を巻き込んで活動することで、共感する人が増え支援の輪が広がります。

写真:紛争により家を追われ難民キャンプ内で勉強する男の子(ニジェール)

紛争により家を追われ難民キャンプ内で勉強する男の子(ニジェール)

身近な支援活動に参加する

ボランティア活動、NPOやNGOなど支援活動を行っている団体への寄付、チャリティイベントへの参加など身近な支援を通じて、自分にできることから始めてみるのはいかがでしょうか。活動に参加することで、国際問題に関する見識が広がり、世界が直面している課題を自分事化して考えることができるようになります。

誰もが分け隔てなく質の高い教育を受けられる世界の実現にむけて

質の高い教育は、知識の蓄積だけではなく、論理的思考力や創造性、問題解決能力などを育成するうえでも有益です。
多種多様な文化や価値観、民族からなる国々が混在する世界で、人々が協調して共存するためには、他者が置かれている状況を想像し理解・共感することができる人材を育てることが大切なのです。世界の平和構築には世界中の人々の知恵と経験を結集させる必要があります。

教育は、それらの人材を育てるために必要不可欠なものです。混沌とした現在だからこそ、皆が一丸となって、教育格差を解消し、すべての子どもたちが教育を受けられるよう推し進める必要があるのです。

写真:「私たちの生活を好転させる唯一の希望は、教育を受けることです」と語る女の子(インド)

「私たちの生活を好転させる唯一の希望は、教育を受けることです」と語る女の子(インド)

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プラン・インターナショナルは、女の子が本来持つ力を引き出すことで地域社会に前向きな変化をもたらし、世界が直面している課題の解決に取り組む国際NGOです。世界75カ国以上で活動。世界規模のネットワークと長年の経験に基づく豊富な知見で、弱い立場に置かれがちな女の子が尊重され、自分の人生を主体的に選択することができる世界の実現に取り組んでいます。

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