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【第11報】パンデミックから1年~新型コロナウイルス対策緊急支援~
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緊急支援
(更新)

寄付の募集を締め切りました。ご支援いただきありがとうございました。
2020年3月11日、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を世界的なパンデミックと宣言してから1年が経ちました。プラン・インターナショナルは宣言直後から全活動地域において、緊急支援活動に取り組みました。ご支援くださいました皆さま、誠にありがとうございました。この1年の支援活動を振り返ります。
世界で8100万人以上を支援
ロックダウンによる移動の制限や遠隔地での感染予防活動など、プロジェクトの実施にあたり多くの課題がありました。しかし、コミュニティ・ボランティアをはじめとする活動地域の人々の協力を得て、衛生関連物資の配布を始め、感染症に対する知識や予防方法などの正しい情報を届ける緊急支援を実施することができました。皆さまからのご寄付で、世界の8100万人以上の人々に支援を実施することができました。
※2020年11月27日時点(テレビ、ラジオ、SNSなどを通じた啓発キャンペーンの視聴者を含む)
コロナ禍における優先課題と目標
初期段階では、脆弱な環境にある人々への新型コロナウイルスの予防と啓発、そして、子どもの保護、教育の継続支援に焦点を当て活動しました。新型コロナウイルスのパンデミックが2年目に入った今、女の子たちを取り巻く状況を後退させないための努力をするだけでなく、よりよい状況改善を目指した活動が求められます。これまでの支援と、活動の中で浮き彫りになってきた課題をご報告します。
暴力から守る
ロックダウン中、世界中で子どもや女性に対する暴力が急増しているにもかかわらず、報告の仕組みや支援サービスが弱体化したり、機能しなくなったりしている状況が続いています。プランは、ジェンダーに基づく暴力についての啓発活動をすすめ、虐待の報告方法を改善し、心理的ケアなど被害者への支援を続けています。
バングラデシュ
パンデミックによる経済的困難を軽減するために、北部ロンプール管区のコミュニティに住む1245世帯に現金給付を行いました。また、新型コロナウイルスの予防方法、ストレス対策、早すぎる結婚の阻止、ジェンダーに基づく暴力に「ノー」と言う方法などを記したリーフレットを約5500人に配布しました。さらに、人々のなかに根付いている家庭内でのジェンダー規範や習慣を変えるために、パートナー団体と協働し、両親、女の子、若い女性を対象とした45の啓発セッションを開催しました。
現金給付を待つ女性たち
現金給付の案内と新型コロナウイルスについての情報が記載してある書類一式
教育を受け続けるために
2020年4月上旬には、最大で世界の学生人口の約85%※が教育の中断に直面していました。教育が再開された後も女の子は男の子に比べ、オンライン授業への参加や学校再開時の復学率が低くなっています。
プランが活動している多くの地域では、インターネットへの接続が困難であったり、ジェンダー間のデジタル利用の格差があったりします。活動する各国で今も広く利用されているラジオ放送を活用するため、120にのぼるラジオ番組の作成や運営を支援するとともに、ソーラーラジオの配布などをすすめました。
インドネシア
2万8000人の子どもたちに対し、家庭で学習できるように、本や文房具が入ったスクールキット4850個、月経衛生管理キット2385個、ボードゲーム2万9956個を配布しました。また、教育局と協力して、ICTを活用した遠隔学習のための教員むけオンライン研修を提供したほか、インドネシア心理学者協会と協働し、教育関係者が心のケアや心理社会的サポートをできるようトレーニングも行いました。
支援でラジオを受け取った女の子たち
2020年10月には、現地での募金活動「#terusbelajar(#continuelearning)」を通じて、フローレス島とティモール島の各活動地域で500台のラジオを配布し、インターネットやテレビの利用が限られている遠隔地の村の子どもたちも学習ができるようになりました。
経済的安定と社会的保護の強化
経済的混乱は、女の子と女性に大きな影響を与えています。彼女たちは、一般的に男性よりも収入が少なく、不安定な仕事や無給労働に従事することが多く、暴力や搾取のリスクに直面しています。アジア、アフリカ、中南米の33カ国で実施された現金・配布券による支援プログラムでは、生活の保護と食料確保の支援を行い、2020年9月30日時点で、25万7604人の女の子と35万279人の女性が支援を受けました。今後は、就業のための技術の取得や平等な雇用機会の確保、情報通信技術の利用状況の改善などが重要な要素です。
エクアドル
WhatsAppなどのソーシャルメディアを利用して、生計と金融のスキルトレーニングを実施しました。ある女性グループは、WhatsAppを使ったトレーニング後、ビジネスプランを作成し、3万1000個のマスクを製造・販売しました。
グアテマラ
ハラパ、バハ・ベラパスの各活動地域では、エルニーニョによる継続的な干ばつ被害を受けて、深刻な栄養失調状態にある家族に食料支援を行いました。
トレーニングを受けマスクの製造・販売を始めた女性(エクアドル)
食料などの緊急物資の配布準備をするプランスタッフ(グアテマラ)
女の子の「性と生殖に関する健康と権利」の保護
休校や移動の制限に加え、医療サービスが感染症予防と治療へ集中したことなどにより、女の子たちは包括的な性教育や必要なサービスを受けることがさらに難しくなりました。国連人口基金(UNFPA)は、ロックダウン期間中に約1200万人の女性の避妊が妨げられ、115の低・中所得国で2020年中に約140万件の意図しない妊娠が発生したと推計しています※。
- ※Impact of COVID-19 on Family Planning:What we know one year into the pandemic(Information as of 11 March 2021)
プランは、パンデミックの期間中、デジタルを利用して、思春期の若者たちが自分たちの「性と生殖に関する健康と権利(SRHR)」について、そのサービスを受けられる場所を紹介するなどの知識と情報の提供を支援してきました。
ガーナ
女の子たちが若くして妊娠・結婚したり、ジェンダーに基づく暴力を受けたりするリスクを減らすために、中央地域の思春期の女の子203名を対象に、「性と生殖に関する健康と権利」と月経時の衛生管理に関する2日間の研修を実施しました。研修では、女の子たちに生理用品、下着、石けん、マスク、消毒薬などの衛生キットを配布しました。
学校での感染予防啓発に参加する女の子たち(ガーナ)
活動のなかで集めた生理用品の課税撤廃の嘆願書を担当大臣へ手渡すプランの若者(ガーナ)
女の子たちを取り残さないために
コロナ禍のロックダウンは、若者たちの活動を制限し分断、孤立させてしまいました。ジェンダーによって異なるデジタルの利用格差は、女の子たちの活動や発信にさらなる制約を加え、公共の議論や意思決定に参加する機会を奪っています。パンデミックの二次的な影響として増加する、暴力、搾取、人身取引、児童労働、早すぎる結婚や女性性器切除(FGM)などの有害な行為が増加します。
これらを未然に防ぎ、リスクを排除し、これまでに得てきた女の子の権利を後退させないために、プランは引き続き支援に取り組んでいきます。
これまでの活動については以下のページにてご紹介しています。
4月17日開催のプラン・ラウンジでは「パンデミック発生から1年~ジェンダー平等を後戻りさせない!よりよい未来につなげる取り組み~」と題して、プログラム部馬野職員が報告を行います。こちらもぜひご参加ください。
- *申し込み締め切り4/14
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