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(2024年04月17日更新)

アドボカシーグループの長島美紀です。
皆さんは、「国際人口開発会議(カイロ会議)」という言葉を聞いたことがありますか?

1994年にエジプトのカイロで開催された会議では、人口問題に関する各国の合意に基づいてカイロ行動計画が採択されました。179カ国が採択したこのカイロ行動計画は、人権を開発計画の中核とすることを掲げ、その後の持続可能な開発と人口問題における性と生殖に関する健康と権利の重要性を認識したうえで取り組む重要な転換点となりました。

カイロ行動計画採択から30年。4月29日から5月3日にかけて、ニューヨークにある国連本部で開催される第57回人口開発委員会(CPD)では、初日の29日に、「国際人口開発会議」30周年(ICPD+30)を記念するハイレベル閣僚会合が開催されます。このICPD+30にむけて、プラン・インターナショナルではメッセージを発信しました。そこでこのメッセージとICPD+30において考えるべき残された課題について紹介します。

性と生殖に関する健康と権利(SRHR)の進展は道半ば

ICPD+30にむけてプランが発信するメッセージのひとつが、性と生殖に関する健康と権利(SRHR)の重要性です。この30年、妊産婦の健康、HIVの予防・治療・ケア、避妊具の使用などの分野で、女の子と若い女性のために大きな進歩がありました。

しかし、妊娠・出産の合併症や危険な中絶による死亡、性暴力といった権利侵害のレベルは、依然として驚くほど高いのが現状です。妊娠や出産に関連する合併症は、15歳から19歳の女の子の主な死因となっています。さらに15歳未満の場合は、死亡リスクは倍増します。

女性のセクシュアリティにまつわる有害なジェンダー・ステレオタイプは、女の子や若い女性が自分の身体と人生について十分な情報を得たうえで選択する権利をいまだに否定しています。十分な知識がなかったり、あったとしても公共医療サービスへのアクセスができなかったりするために、思春期の女の子の多くが性感染症のリスクにさらされています。思春期の若者の新規HIV感染者全体の4分の3を女の子が占め、毎週約5000人の15~24歳の若い女性がHIVに感染しているのです。

思春期の女の子たちのSRHRを実現するために

写真:「女の子の健康と権利のために今こそ行動を」

「女の子の健康と権利のために今こそ行動を」

とりわけ思春期の女の子は、あらゆる進展から取り残されています。思春期の女の子の性と生殖に関する健康と権利に関する進展を実現できた国は存在しません。

プランは、思春期の女の子のSRHRへの支援は、ジェンダー平等と持続可能な開発の達成に欠かせないと考えます。そこで、日本を含めた各国政府に対し、4月に開催される人口開発委員会と、9月に国連本部で開催される「未来サミット」の成果文書において、女の子のSRHRの実現を求める政策提言を発表しました。

2030年を達成期限とする、持続可能な開発目標(SDGs)を成し遂げるために残された時間は6年。各国政府は、カイロ行動計画採択以来、30年にわたる進歩を後退させないよう、取り組むことが必要です。青少年のSRHRに関するコミットメントや具体的な施策、必要な投資を増額させる必要があります。

2024年は女の子のSRHR実現に大切な年

写真:国連未来サミット

国連未来サミット

2024年は、ICPD+30が開催されるだけではなく、9月に国連本部で国連未来サミット(Summit of the Future)が開催されます。未来サミットは、不平等や貧困、飢餓、武力紛争、気候変動、パンデミックなど、世界が、現在また将来にわたり直面する様々な脅威に対し国際協力を強化し、多国間主義(マルチラテラリズム)への信頼を回復するために、グテーレス国連事務総長によって提唱されました。そして未来サミットでは若者世代の参画の重要性が強調されています。

写真:「私の身体は私の権利」

「私の身体は私の権利」

国際社会でジェンダー平等を含むSDGs課題への取り組みを加速させる重要性が認識されるなかで、プランは、女の子の声が世界的な政策討議の中心にあるよう尽力し、未来サミット、ICPD+30、その他の政策プロセスにおける意思決定過程への女の子とユースの参加拡大を求めています。

ジェンダー平等は女の子のSRHRが守られない限り実現しません。そしてそのために必要な知識を身につける包括的性教育の実現や、女の子が望まない妊娠や出産、早すぎる結婚やFGM、性感染症の脅威から身を守るためのプログラムや資金が不可欠です。

プラン・インターナショナルでは、引き続きユースとともに、SRHRの実現を呼びかけていきます。

執筆者プロフィール

長島美紀(アドボカシーグループリーダー)
政治学博士。プランでは、女の子のリーダーシップに関する調査提言をはじめ、女の子や若い女性のエンパワメント、ジェンダー課題に関する調査研究・政策提言を担当。2021年4月からは内閣府男女共同参画推進連携会議有識者議員、2023年からW20ジャパンデレゲート(2024年より共同代表)も務める。
最近は自宅の断捨離にいそしんでいます。

執筆者紹介

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