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(2024年06月21日更新)

アドボカシーグループのアンナ・シャルホロドウスカーです。
6月20日の「世界難民の日」は、母国から逃れることを余儀なくされた人々について理解を深める日です。長年にわたり、日本における難民をめぐる状況は非常に複雑で曖昧なままでした。日本で難民認定された難民の数はG7加盟国のなかで最低です。しかし、世界中いたるところでの紛争や人道危機の増加により、グローバルなレベルでも第三国による補完的受け入れなど難民受け入れを拡充していくことが模索されています。

日本に逃れた難民を支援している認定NPO法人難民支援協会(JAR)の石川えり代表理事に、現在の政策、支援プログラム、そしてさまざまな国の難民が日本で直面する困難についてお話を伺いました。

写真:認定NPO法人 難民支援協会(JAR)石川えり代表理事

認定NPO法人 難民支援協会(JAR)
石川えり代表理事

増加を続ける世界の難民数

難民情勢を数字で示している国連高等難民弁務官事務所(UNHCR)のGlobal Trends report 2023によると、難民や国内避難民、無国籍者の数は2023年末の時点で1億1730万人にのぼり、前年よりも880万人増加しています。さらに、2024年4月の段階で1億2000万人を超えており、緊急対応の必要性が引き続き指摘されています。

難民の保護とニーズへの早急な対応を

石川さんに難民問題に関わるきっかけについて尋ねると、次のように話してくださいました。
「私が高校生の頃、ルワンダで内戦が勃発しました。隣人だった人々が民族の違いで殺されていくこと、そして命を守るために人々が国境を越え、一夜にして難民となったことに大きな衝撃を受けました。非常に多くの難民の流出に対して、援助機関が迅速に対応することができず、そこでも多くの人々の命が失われました。この出来事をきっかけに何らかの形で難民の置かれている状況の解決に携わりたいと思うようになりました」

写真:石川代表理事の説明を聞くシャルホロドウスカー職員

石川代表理事の説明を聞くシャルホロドウスカー職員

約30年前の出来事とはいえ、ルワンダのケースは決して珍しいものではなく、今ある危機や難民の切実なニーズへの早急な対応が必要であることを示す明確な例でもあります。紛争やその他のケースにおけるさまざまなセクターからの支援は、難民にとって非常に重要ですが、最も重要なことは、政府が真っ先に難民を保護し、強制送還の恐れのない国での生活を始められる機会を提供することです。

難民への理解が低い日本社会

日本では、安全を求めて他国へ避難しようとする難民の人々に対し、安全や保護を求めるという主目的のほかに、別の目的を持っているのではないか、という目が向けられることがあります。難民の存在が脅威として受け止められることが、政府だけでなく社会にとっても難民受け入れ政策の障壁となっています。

Ipsos社の「難民に関する意識・行動調査報告書2023」によると、日本社会の43%が、「難民として来日を希望する外国人の多くは実際には難民ではなく、経済的な理由や社会サービスを利用するために来日を希望している」と考えています。その結果、難民受け入れの理由に対する理解が乏しく、日本社会の難民に対する無関心度(93.1%)は、調査対象29カ国のなかで最も高いという数値を示しています。

日本における難民認定手続きの複雑さ

同様に、日本における難民認定の政策と手続きは複雑で長い時間がかかります。1978年以降、日本はインドシナ難民を受け入れてきましたが、その分類は多岐にわたります。大きく分けると政策的な受け入れ(閣議決定など)、法律的な受け入れ(1981年に難民の地位に関する条約に加入し、1982年に出入国管理及び難民認定法という庇護申請に関する法律が制定されたことで可能になった)に分けられます。
難民申請件数に比べ、認定される人は非常に少なく、2023年の難民認定の割合は3.8%で、昨年から若干増えたものの他のG7加盟国と比べてまだ低いといえます。

難民認定数が極めて限られているうえ、申請手続き自体に平均3年、場合によってはそれ以上の時間がかかります。この間、難民申請者は合法的に滞在し、自活のための仕事を見つけ、福祉支援サービスを利用するのが困難になる場合もあります。

ウクライナ人道危機後の変化

ウクライナの人道的危機を受けて、日本は2022年にウクライナ人を「避難民」の資格で受け入れる可能性を開きました。これまでに2600人以上が、入国時の身元保証人の有無にかかわらず来日しています。ウクライナから逃れた人は、まずは難民ではなく避難民として受け入れられ、入国後まもなく就労可能な1年間の在留資格に変更することができます。また、ごく一部ですが身元保証人がいない人は政府の支援を受けることも可能です。これは、緊急避難措置を受けたミャンマー人のケースとは大きく異なります。そして2023年12月、難民認定を補完する新たな補完的保護プログラムが開始され、数カ月で約600人のウクライナ人がこの資格を取得し、5年間日本に滞在可能な定住者の在留資格を得ることができています。

難民の出身国による対応の差を解消することが重要

難民の出身国によって対応に差がある現状は、解消されるべきだと考えます。多くの難民にとって最も心配な問題は、より安定した法的な在留資格の取得と雇用の確保です。日本語を学ぶ機会も非常に限られており、希望する仕事や日本での充実した生活を得るには不十分な状況です。

日本における難民支援の状況や政策は、難民受け入れにむけて前向きな動きも見られます。しかし、難民の出身国やルーツによる処遇の格差や、得られる支援の違いを克服することは、現在も極めて重要な課題であり、その解決にむけて難民支援のNGOなどが継続的に取り組んでいます。また、難民認定の数が非常に限られていることや、申請手続きに時間がかかることは、将来の不透明性を生むだけでなく、難民が現在、普通の生活を送ることを不可能にしていています。身分の不確かさ、収容や強制送還の恐れ、働けない、労働時間が足りないなどの理由で、多くの難民の生活は非常に厳しいままであり、改善が求められています。

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