(2026年01月16日更新)
ウクライナ地雷対策会議(UMAC)
皆さん、こんにちは。アドボカシーグループのアンナ・シャルホロドウスカーです。2025年10月、私は外務省が主催する「ウクライナ地雷対策会議(UMAC)」に参加しました。この会議には、約75の国と国際機関から代表者が集まりました。ウクライナは現在、世界で最も地雷が多く埋設されている国のひとつです。戦争で傷ついた地域を元の姿に戻すためには、まず地雷や不発弾を確実に取り除くことが不可欠です。そのためには、各国との連携やこれまでの知見・経験の共有が、ウクライナの安全な地雷除去と復興を進めるうえで、非常に重要な鍵を握っています。
ウクライナでの地雷除去がなぜ今、重要なのか
現在、ウクライナは世界で最も多くの地雷や不発弾が埋設されている国のひとつと言われています。戦闘が行われた地域を中心に、国土のおよそ4分の1にその危険があると推定されており、公園や森林などの自然エリア、さらには市街地にも存在しています。しかも、その数は今も増え続けています。
これらの地雷や不発弾は目に見えにくく、わずかな接触でも爆発の危険があります。そのため、住民の命や健康に深刻な脅威を与えており、日常の散歩や外出さえも命がけになることがあります。
特に子どもたちは大きな危険にさらされています。なかにはおもちゃのような形をした爆発物もあり、子どもが興味を持って触れてしまうこともあります。これまでに約1,500人の市民が地雷などによって命を落としたり負傷したりしたと推定されており、そのなかには子どもも含まれています。実際には、報告されていない被害も多いとみられています。
こうした状況を受けて、地雷除去は急務です。人々の命を守ることはもちろん、ウクライナ経済の柱である農業を再建するためにも、農地の安全確保が重要となっています。
参考リンク(インタラクティブマップ)
ウクライナ国家非常事態庁(State Emergency Service of Ukraine)は、国内で爆発物によって汚染されている可能性のある地域を示すインタラクティブマップを公開しています。地雷や不発弾の危険があるとされる地域が視覚的に表示され、被害の実態や地雷除去の必要性を具体的に知ることができます。
出典:State Emergency Service of Ukraine
ウクライナにおける地雷問題の始まり
現在、ウクライナでは地雷や不発弾による深刻な被害が続いていますが、この問題は今に始まったことではありません。私が住んでいた地域でも、2014年に武力衝突が始まった頃には、すでに地雷や不発弾が各地に残されていました。特に危険だったのは農地で、それまで小麦やヒマワリが育てられていた畑が、立ち入り禁止区域になってしまったのです。町と町を移動する途中で、「地雷の可能性あり、立ち入り禁止」といった警告看板をよく目にしました。
当時からすでに、犠牲を防ぐための啓発活動が始まっていました。地雷のリスクについて注意を促すチラシや看板が町や村のあちこちに掲示され、特に子どもたちの保護に力が入れられていました。子どもは好奇心が強く、危険を認識しづらいためです。学校では定期的に地雷に関する安全教育が行われ、不審物の見分け方や、万が一見つけたときの対応について学んでいました。
同時に、地雷除去のための機材開発や、汚染地域を安全にするためのプロジェクトも少しずつ始まっていました。こうした初期の取り組みで得られた経験は、2022年に全面的な戦争が始まり、状況がさらに悪化した今、大きな価値を持っています。地雷除去には、より効果的で最新の技術がますます求められています。
地雷や不発弾の危険性を伝える警告標識は、ウクライナの被害地域でも至るところに見られます。そうした標識の一例を写したもので、森林の中に立てられた「危険:地雷あり」という注意喚起の様子が写し出されています。
国際協力と技術革新が果たす重要な役割
今回の会議に参加し、ウクライナでの地雷除去を支援するために多くの革新的なプロジェクトや技術開発、取り組みが行われていることに、私は大きな感銘を受けました。紹介された取り組みはどれも多様で、互いを補い合う内容ばかり。改めて、効果的な進展のためには、さまざまなアプローチとチームの協力が不可欠だと実感しました。異なる分野の人々が、共通の目標に向かって力を合わせている姿は、とても心強く、希望を感じました。
なかでも特に印象的だったのが、人工知能(AI)を活用した爆発物の検知技術です。これは、地雷除去作業にあたる人々の命と健康を守るだけでなく、一般市民の安全確保にもつながるものです。たとえば、近くにある爆発物を検知して警告するモバイルアプリの開発が進められており、これによって命が救われるケースも出ています。また、AI搭載のドローンが空から地雷や不発弾を検出する技術も導入されており、人が危険地域に直接立ち入らずに済むようになっています。
技術革新が進む一方で、それらを安全かつ効果的に活用するための教育や啓発活動も同じくらい重要です。機材の使い方を学ぶことはもちろん、危険を察知する力や、万が一の際に取るべき行動についての知識を広めることが、人々の命を守ることにつながります。
会議では、心に残る出会いもありました。私がかつて住んでいた地域、マリウポリを含むウクライナ出身の女の子たちと再会できたのです。彼女たちは、「Safer Ukraine Mine Risk Awareness VR プロジェクト」に関わっており、このプロジェクトのパートナーのひとつにプラン・インターナショナルも名を連ねています。
このプロジェクトでは仮想現実(VR)を使って地雷の危険がある状況をリアルに再現し、子どもや大人がどのように危険を避け、適切に行動するかを学びます。特に子どもたちを守るための、大切な教育ツールです。
VRプロジェクトに参加するウクライナ出身の参加者と
こうした数々の革新的なアイデアがすでに現実となっていることに、私は大きな希望を感じました。そして、やはりカギとなるのは「協力」なのだと、強く再認識しました。会議では、ウクライナの復興を加速するための三本柱として、「人」「技術」「コミュニケーション」が挙げられていました。国際的な支援、革新的なソリューション、そして教育。この三つがそろってこそ、人々の暮らしが守られ、地域と経済の再生が可能になるのだと思います。
ウクライナ復興に向けた地雷除去の重要性
会議に参加して改めて感じたのは、地雷除去が今のウクライナにとって極めて緊急性の高い課題であるということです。人々の安全を守るため、そして経済復興を進めるためにも、地雷対策は欠かせません。現在もウクライナは世界で最も多く地雷が埋まっている国のひとつであり、紛争が続く限り、新たな爆発物の数も日々増え、形を変えていきます。そのため、継続的かつ体系的な対応が不可欠です。
ウクライナの地雷除去には数十年を要すると見込まれており、そのため技術開発と国際的な協力の結集が極めて重要です。安全かつ環境に配慮したプロセスを確保するためには、最新の技術的ソリューションと緊密な国際協力が不可欠です。イノベーションや人工知能、新技術は地雷除去を大幅に加速させる一方、教育プログラムや公共の意識向上は、事故や悲劇を防ぐために役立ちます。
日本もこれまで数年間にわたり、ウクライナの地雷除去を支援してきました。技術の共有、専門家の派遣、訓練の実施などを通じて、復興の後押しをしてきたのです。また、地雷除去の経験を持つ国々との連携により、知識やベストプラクティスの交換も行われており、より効果的な対応が可能になっています。こうしたパートナーシップ、技術、教育の組み合わせこそが、安全な未来への道を開き、ウクライナのより広範な復興を加速させる鍵となるのです。






