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声をあげ始めた女性教師たち~ラオス~
プログラム部
長島 千野
Asiaアジア
ラオス便り
(更新)
プログラム部の長島です。2016年12月よりラオスに駐在し、「ジェンダー平等促進を通した中等教育改善事業」に携わっています。
少数民族が多く住むボケオ県パウドン郡の中学校と高校で、ジェンダー平等を促進する活動を行なうのは、プランだけでなくパートナーの教育省にとっても初めての経験です。マニュアル作り、トレーニングの設計、教育省の関係者や先生へのトレーニングの実施を一から手探り状態で行いました。今回は、ジェンダートレーニングで指導役を担う先生を対象としたトレーニングの様子についてご紹介します。
「ジェンダー=男女の役割」から「ジェンダー平等」の考え方へ
3日間のトレーニングは、大きく分けて「ジェンダーとジェンダー平等」、「学校でのジェンダーに基づく暴力」、「ジェンダー平等な教育環境づくり」の3つのテーマを取りあげ、話し合いや参加型アクティビティを通して気づきを促す方法で行いました。ラオスにおいて「ジェンダー」は決して新しい概念ではなく、ラオス語で「ボッバー・ニンサイ」、直訳すると「男女の役割」という単語を用いて表現されています。この単語のためなのか、ラオスでジェンダー平等というと、「作業を男女で分業する」という考えを持った人が多いのが実情です。そのため、このトレーニングでは、ラオスでのジェンダー=男女の役割の概念だけでなく、プランのジェンダーの枠組みに合わせ、アクセス(教育やリーダーシップへのアクセス)や参加(村の会議への参加、学校での活動の参加)、暴力(差別や排除も含む)について話し合いができたことは意義あることだったと思います。

先生へのジェンダートレーニング。会場が暑すぎて木陰へ避難
声をあげ始めた女性教師たち
まだいろいろな課題もありますが、このトレーニングが、女性の先生にとって声をあげる機会となったことが一番の成果と言えます。学校における先生の役割やリーダーシップなどについて話し合いをしている際、女性の先生が「私たちが言った意見は軽視されがちで、取り入れてもらえない」と発言しました。他にも「男子生徒が女性の先生の言うことを聞かない」と話した先生もいました。このトレーニングには各校の校長先生も参加していたのですが、校長先生の前でこのような発言をすることはとても勇気がいることです。私から見ると、控えめでおとなしいパウドン郡の女性の先生たちが声をあげたことは、大きな変化だと思います。
先生へのジェンダートレーニング
最後に参加者同士でトレーニングの感想を言い合う際、女性の先生たちからは、「女性教師をもっと尊重して欲しい」、「女性教師の地位を向上させたい」という発言がありました。学校におけるジェンダー平等を目指すには、まずは先生たちが生徒のお手本となっていく、そのためには女性の先生のエンパワーメント(本来持っている力を引出すこと)と男性の先生の意識変革が必要であることを実感しました。
先生へのジェンダートレーニング
ジェンダーの固定観念や意識は、トレーニングをしたからと言ってすぐに変わるものではなく、話し合いの機会を継続して持つことが重要です。女の子や女性のエンパワーメントだけでなく、男の子と男性が自分たちの持っている力や優位性に気づき、ジェンダー平等の実現に向けて変化の主体となっていくことも大切です。プロジェクトとして大きな成果をあげるのは大変なことですが、女性の先生が声をあげられたことや、個々の小さな意識の変化も大切な成果のひとつだと思います。
学校の状況について発表する先生
今後も、より多くの女の子がジェンダー平等な環境で中等教育を受けられるよう活動をすすめます。
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