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(2023年11月07日更新)

皆さんは、南アジアのバングラデシュという国を知っていますか?首都はダッカ、国境をインドとミャンマーと接するベンガル湾に面した国です。日本の4割ほどの国土に1億6900万人以上が暮らす、非常に人口密度の高い国のひとつです。近年は経済成長が著しい傾向にありますが、保健など基礎的な公的サービスの欠如、就学率の低さ、ジェンダー不平等、多発する自然災害など、多くの課題を抱えています。

ここでは、バングラデシュの女性たちが直面する性差別や格差の問題について、文化的背景を踏まえて解説するとともに、解決にむけた取り組みについてご紹介します。

写真:地図:バングラデシュ

バングラデシュにおける女性観の特徴

バングラデシュでは、女性は男性に比べて社会的地位が低いと見なされる傾向にあります。国民の88.4%がイスラム教徒で、一夫多妻制が認められています。それ以外にも女性に不利な法律が多く残っており、特に財産権においては夫婦で大きく差異が見られます。女性には男性と平等な財産所有の権利が与えられていないため、離婚した場合は貧困に陥るケースが多く見られます。

服装から見える女性観

バングラデシュの女性たちというと、既婚女性が着る「サリー」などの伝統衣装を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。女性たちの服装も「美しいもの(=女性)は隠す」というイスラム教の教えからきており、これは服装だけでなく、社会からも隠す(隔離しておく)という考えにもつながっています。そのため、女性は一人で行動しない、家族以外の男性とは話をしない、といった慣習によって、女性たちは一般的に閉鎖的な環境におかれています。しかしながら都市部では、仕事を持つ女性も少しずつ増え、場所や状況によっては服装にも少しずつ変化もみられるようになってきています。

写真:バングラデシュの女性たち
バングラデシュの女性たち

数値で見るバングラデシュの男女格差の現状

世界経済フォーラムは、各国の「ジェンダー・ギャップ指数」を毎年発表しています。これはその国の男女間の格差を測定するもので、経済、教育、保健、政治の分野ごとの活動に参加する「男性に対する女性の割合」を算出したものです。

世界経済フォーラムが2023年6月に発表した「ジェンダー・ギャップ指数」によると、バングラデシュは、146カ国中59位を記録し、南アジア地域をリードしています。特に政治分野では世界で7位という位置につけており、これは過去50年のうち29年以上を女性が国家元首を務めるという世界最長の記録によるものです。しかしながら、教育分野では122位、健康分野では126位、経済分野では139位と非常に低くなっており、男女間に著しい格差が生じていることがわかります。

【出典】

  1. 「Global Gender Gap Report 2023」(世界経済フォーラム)
  2. バングラデシュ、「ジェンダーギャップ報告書2023」で南アジアをリード(ジェトロ)

バングラデシュにおける女性差別に関わる問題

バングラデシュでは、宗教上の理由や法律、偏見、慣習などからさまざまな場面で理不尽な女性差別がみられます。

家族法

イスラム教の家族法では、女性は離婚を通知された後(離婚時に女性が妊娠していた場合は、出産後)90日以上経つと、生活費を得る権利がなくなるという法律が存在します※1。それによって、女性は離婚3カ月後には生活費を絶たれてしまいます。

特に貧困家庭で育った女性の場合は、経済的負担が増えることや離婚を「恥」と捉える社会的制裁を恐れ、離婚をしても実家に戻ることができません。また、教育を受けずに早く結婚させられた女性は仕事に就くことが難しいため、経済的な自立が困難です。そのため、たとえ家庭内で夫や義理の家族からの精神的・肉体的、性的な暴力や虐待を受けていても、逃げることができずに結婚生活を続けざるを得ません。または離婚後も貧困を避けるために暴力に耐えながらその家にとどまる女性もいます※2

このように現行の法律は、男性に一夫多妻制を認めていることや離婚によって生ずる不利益が女性に多くあることなどから、女性に差別的なものになっています。

アシッド・アタック(酸攻撃)

硫酸などの酸性物質を顔や身体に浴びせ、火傷を負わせたり、死に至らしめたりする暴力のことを指します。バングラデシュやインドなど南アジアの国々だけでなく、イランやイギリスでも報告されています。

バングラデシュでは女性を中心に被害が報告されており、結婚の申し込みを断ったことなどに起因する場合が多く、そのほかには土地紛争やその他の金銭的紛争に関連するものもあります。2002年に494件も発生したのに対して、2020年は上半期で4件と減少傾向にあります。

フォトワバジ

「フォトワバジ」とは、村裁判において、人権侵害と思われるほど厳しい刑罰を科すこと、またそれを科す村の有力者などのことを指します。石打ちや鞭打ちなどの屈辱的な刑罰を与えられた人は、村内で蔑視されることも多く、生活しづらくなるだけでなく、自殺に至る場合もあります。
「フォトワ」とは、本来はイスラム法に精通した法学上の権威者であるムフティーが下す判断(法的効力のない助言や示唆のような位置づけ)を意味していました。

写真:家事をする女の子と母親
家事をする女の子と母親

バングラデシュに暮らす女性のためのプラン・インターナショナルの取り組み

プラン・インターナショナルは、実施するすべての活動にジェンダー平等の視点を取り入れています。バングラデシュで実施したプロジェクトを2つご紹介します。

ロヒンギャ難民の識字教育プロジェクト

バングラデシュ南部コックスバザールにある難民キャンプで、ロヒンギャ難民の若者に識字教育を実施しています。ロヒンギャ難民は、ミャンマー南西部のラカイン州に暮らすイスラム系少数民族で、国籍を奪われ、教育などあらゆる権利を制限されて生活してきました。2017年の暴動と軍の掃討作戦により、住んでいた土地を追われ、バングラデシュなどで避難生活を余儀なくされています。

ロヒンギャ社会においても、男の子の教育が優先され、女の子の教育は後回しにされがちでした。そのため、これまで教育を受けたことがない多くの女性たちが、このプロジェクトで初めて読み書きや計算を学び始めたことで、「理解する」ことの喜びを感じています。そのことが学習意欲を高めるだけでなく、自信や自分の将来への前向きな姿勢につながっており、教育の価値が浸透し始めています。

写真:学ぶ喜びを語る女性
学ぶ喜びを語る女性

「学校とコミュニティの防災」プロジェクト

アジアのなかでも特に災害リスクの高いバングラデシュとネパールで、学校を中心とした防災活動を実施しています。バングラデシュは河川が多く、洪水が繰り返されてきたことに加えて、近年の気候変動によって毎年のように甚大な被害が発生しています。災害発生後は児童婚や人身取引、児童労働などが増加する傾向にあることや、災害によって女性の方が亡くなる割合が高いことが報告されているため、災害時のジェンダーを考慮した対策が求められています。

プランでは男の子と女の子それぞれに自然災害がどのような影響を与えるのかを調査し、自治体に働きかけています。学校ではジェンダーバランスに考慮した「防災委員会」を立ち上げ、学校施設の整備・修繕や防災計画の実行も行っています。このプロジェクトを通して、子どもや若者たちがジェンダーの違いにかかわらず、災害などのさまざまな脅威から身を守るスキルを高められるように支援しています。

写真:グループで話し合う防災委員会メンバーたち
グループで話し合う防災委員会メンバーたち

災害時に子どもたちが直面するリスクとは?

災害への備えが不十分な地域は、普段から貧困や高い中途退学率、児童労働などさまざまな社会問題を抱えています。そこに追い打ちをかけるように大きな自然災害が起きると、子どもたちは災害によって命を落とすだけでなく、教育の機会を奪われたり、暴力や誘拐に巻き込まれたりと深刻な影響を受けます。また、親が仕事を失うなど家計がさらに悪化してしまうため、現金を得ることが必要になり、児童婚や人身取引、児童労働が増加してしまうのです。

写真:バナナの茎で作ったいかだで洪水から避難する女性と子どもたち(バングラデシュ)
バナナの茎で作ったいかだで洪水から避難する女性と子どもたち(バングラデシュ)

女性たちが自分の意思で人生を決められるように

バングラデシュでは、多くの女の子や女性たちが影の存在として扱われています。

読み書きや計算ができないままに長年過ごしてきた女の子や女性たちは、プランの活動で文字を学び、理解し、「できること」が増えるたびに喜び、自信を持つようになりました。職業訓練や収入向上のためのトレーニングによって、農業や裁縫、販売のスキルを身につけ、経済的に自立した女性たちもいます。ジェンダーや年齢に関わらず、命が守られ、あらゆる機会が等しくあれば、女性も男性と同じようにその能力を十分に発揮できるようになるのです。

写真:農業を始めた女性
農業を始めた女性

すべての人が持つあらゆる可能性と能力を引き出し、自分の意思で自分の人生を歩めるように、プランはこれからもバングラデシュに生きる女性たちを応援していきます。

継続のご寄付をいただくことによってな長期にわたる支援が可能になり、さまざまなプロジェクトが実施できるようになります。
子どもたち・女の子たちの環境が大きく改善されていきます。

国際NGOプラン・インターナショナルについて

国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。

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