(2025年09月22日更新)

他人の発言に「なんだかもやもやする…」、そういう経験ありませんか?
たとえば──
- 「〇〇ちゃん、綺麗な二重でいいな〜」
- 「女子でエンジニア志望ってめずらしいね」
- 「アラサーになる前に結婚しないとマズイよね」
実はそのもやもやには「名前」があるのです。
学校、バイト先、職場、家庭などあらゆる場面で、私たちの心をざわつかせたり、もやもやさせたりする言葉がたくさんひそんでいます。
今回は、女の子がもやもやしてしまう言葉を『図鑑』のようにして、わかりやすく解説していきます!
知っておきたい『もやもや用語』8選
「もやもや用語」には、差別や偏見がひそむジェンダー関連の言葉が多く含まれています。
英語から翻訳されているものが多く「カタカナばかりで難しい…」と感じてしまいがちですが、意味を知っておくと適切に対処することができます。
日常の例を交えて、わかりやすく解説していきます!
外見で人を判断する「ルッキズム」
最近耳にする機会が増えた「ルッキズム」。
「ルッキズム」(Lookism)とは、人を外見だけで判断したり、差別したりすること。日本では「外見至上主義」と訳されることが多い言葉です。
たとえば、こんな発言──。
人を容姿だけで判断することは、その人の可能性や選択肢を奪うことにつながります。
また、人の容姿を悪く言うことは「ルッキズムだからNG」と理解している人は多いですが、「外見を褒めること」も場合によってはルッキズムに当てはまる可能性があります。
褒めたつもりが相手のコンプレックスを刺激したり、「綺麗でいなければならない…!」というプレッシャーを与えてしまったりする場合も。
誰に対しても、容姿について言及することは避けた方がいいですね。
性別を理由にした差別「セクシズム」
セクシズム(Sexism)とは、性別に基づく差別や偏見のこと。
男女どちらにも起こり得ますが、女性に向けられるセクシズムは、日常のいたるところにひそんでいます。
たとえば、こんな発言──。
本来、人の能力や役割は「性別」とは関係ないはず。自分の意思で進路や働き方、ライフスタイルを選べるのが、誰もが自分らしく生きられる社会です。
しかし現実には、「女の子だから」という固定観念に縛られる場面が数多くあります。
小さい頃からセクシズムに触れていると「これが当たり前」「私はこうしなきゃ」と自分を縛ってしまい、知らず知らずのうちに可能性をせばめることに。
自分らしく生きるためには、個人や社会から刷り込まれた「女の子はこうすべき」といったセクシズムから抜け出すことが重要です。
年齢で差別する「エイジズム」
エイジズム(Ageism)とは、年齢を理由にした差別や偏見のこと。
たとえば、こんな発言──。
特に、女性たちは「若い方がいい」という価値観を刷り込まれやすく、年齢を重ねた女性に対して差別や偏見が向けられることがあります。
たとえば、年上の女性に対して「あの年であのファッションはイタイよね」と発言したり、自身でも「私もオバさんだから」と自虐をしたりすることもありますよね。
エイジズムは個人レベルの問題だけでなく「若いことに価値がある」と感じさせる社会構造にも根ざしており、それが固定観念を生み出しています。
エイジズムが怖いのは、何気ない発言がじわじわと本人の自己肯定感を下げてしまうところ。
年齢はただの数字であり、本人の可能性や魅力を決めるものではないのです。
女性に対する嫌悪「ミソジニー」
ミソジニー(Misogyny)とは、女性に対する嫌悪、蔑視(見下す、バカにする)を意味します。
たとえば、こんな発言──。
このような強い発言を実生活で聞くことは少ないかもしれませんが、SNSでは「女叩き」として頻繁に目にしたことがある人もいるでしょう。
ミソジニーはジェンダー不平等を生み出す、あってはならないものですが、発言した本人だけの問題ではなく、無意識に刷り込まれた偏見や社会構造が背景にあることも多いのです。
ミソジニーは男性から女性に対してだけではなく、女性が女性に対して抱くケースも。
なぜか見下される「マンスプレイニング」
マンスプレイニング(Mansplaining)とは、男性が女性に対して、相手の知識や経験を軽視して上から目線で説明する態度を指します。
「Man(男性)」+「Explain(説明する)」からなる造語で、「マンスプ」と略されることも。
たとえば、こんな発言──。
これらは男性側に悪意がなくても「相手を見下している」と受け取られやすく、ジェンダー不平等なコミュニケーションになります。
マンスプレイニングで問題となるのは「説明すること自体」そのものではなく、性別を根拠にして相手を見下す構造にあるのです。
マンスプレイニングをされた女性たちは、自分の意見や専門性が尊重されにくいと感じ、発言意欲を失ったり、無力感を抱いたりしがちです。
男らしさが行き過ぎると…「トキシック・マスキュリニティ」
トキシック・マスキュリニティ(Toxic Masculinity)とは、「有害な男らしさ」という意味。
男性が社会のなかで「男らしくあること」を求められすぎることで、自分自身や周囲の人を苦しめてしまう状態のことです。
たとえば、こんな発言──。
こうした「男はこうあるべき」という思い込みやプレッシャーが強くなると、トキシック・マスキュリニティが表れることがあります。
たとえば、自分の弱さを見せないように、威圧的になったり、人を見下したりして、“男らしさ”をアピールしようとするケースがあります。これは、いじめやモラハラにつながることもあります。
また、「男同士でやったほうがうまくいく」「女の子はそういう場に向いていない」といった考えが、女性やジェンダーマイノリティを排除する動きにつながることもあります。
このような「有害な男らしさ」は、社会のさまざまなルールや文化、慣習のなかで知らないうちに身についてしまうことが多いとされています。
そして、そのことで苦しむのは、男性自身でもある場合も少なくありません。
悪意のない小さな攻撃「マイクロアグレッション」
マイクロアグレッション(Microaggression)とは、悪意はなくても、誰かを傷つけてしまう、差別的な言動のこと。*
たとえば、こんな発言──。
女性に向けられるマイクロアグレッションには、特に「性別を前置きした評価」が多く見られます。
- 「女性なのに理系なんだ。すごい!」
- 「女性は華があるから、受付や秘書が似合うよね」
一見すると褒め言葉のようでも、そこには「性別を基準にした特別扱い=差別」が潜んでいます。言われた側はもやもやし、じわじわと自己肯定感が削られていくのです。
発言するときには、「この言葉は無意識の差別にならないかな?」と常に考えたいですね。
また、男性に向けられるマイクロアグレッションについても考えてみると、ジェンダーにまつわる偏見がどれほど日常に入り込んでいるかに気づけるかもしれません。
無意識の思い込み「アンコンシャスバイアス」
アンコンシャスバイアス(Unconscious Bias)とは、無意識の「偏見」や「思い込み」のこと。
自分では差別しているつもりがなくても、無意識のうちに相手を「性別・年齢・外見・出身地・職業」などの属性で判断してしまうことを指します。*
- 参考:男女共同参画推進連絡会
たとえば、こんな思い込み──。
アンコンシャスバイアスは、本人が意識していない(悪意がない)ため改善されにくく、結果として差別やジェンダー不平等を引き起こします。
アンコンシャスバイアスは、さきほどの「マイクロアグレッション」と似ていますが、次のような違いがあります。
アンコンシャスバイアス:心のなかにある「無意識の思い込み」
マイクロアグレッション:その思い込みが言葉や態度として表に出た「小さな攻撃(差別)」
たとえば「女性は理系が苦手」という思い込み(アンコンシャスバイアス)があると、実際に「女の子なのに理系なんだ、すごいね!」と口に出してしまう(マイクロアグレッション)という流れ。
どちらも誰もが持つ「無意識の思い込み」ですので、無自覚に他人を傷つけていないかチェックしたいところです。
どう活かせばいい?もやもや用語の活用法
「もやもや用語」を知って、どのように活用すれば良いでしょうか?
「単なる言葉でしょ?」と思われるかもしれませんが、言葉はあなたを守る力になります。
たとえば、あなたが友だちから「痩せなきゃモテないよ!」と言われたら、なんとなく「そうかもしれない…」と落ち込んでしまうかもしれません。
しかし、それは「ルッキズム」という社会的な偏見の一つ。
その言葉を知っていることで、「これは私が悪いのではなく、社会や、そうした発言をする相手側の問題かもしれない」と整理できるのです。
つまり言葉を知ると──
- 自分の感情を客観的に整理できる。
- 問題を、個人レベルではなく、社会の問題として認識できる。
- 相手と積極的にコミュニケーションできる。
言葉は「未来のチカラ」になる
言葉を知ったら、次の3つのステップを試してみましょう!
Step.1 自分のもやもやを「言語化」する
誰かの発言にもやもやしたとき、「もやもや図鑑」のなかから適した言葉がないか探してみましょう。
違和感が「言語化」されることでスッキリし、あなた自身の問題ではなく「社会に根づく問題」としてとらえることができます。
また、友人、家族などの会話のなかで「もやもや発言」が出たとき、「それって〇〇かも?」と伝えて、共有してみましょう。言葉を知っているからこそ相手に説明でき、議論や対話を対等に進めることができます。
Step.2 他人を傷つけていない?チェックしてみよう
最後は、自分自身の発言を考えてみましょう。家族、友人、同僚などに対する何気ない発言が、相手にとってはもやもやの原因になっているかもしれません。
- 「〇〇ちゃん、綺麗な二重でいいな〜」(ルッキズム)
- 「女子でエンジニア志望ってめずらしいね」(マイクロアグレッション)
- 「アラサーになる前に結婚しないとマズイよね」(エイジズム)
偏見は誰の心にもあるものです。
このような発言をしていないか、チェックリスト的に使うこともできますね。
Step.3 気づきを「発信」して輪を広げよう
もやもやを言語化し、自分自身の言葉づかいも見直せたら、次はポジティブなメッセージを周囲に発信してみましょう。SNSの投稿や日常会話、学校・職場でのちょっとした声かけなど、あなたの一言が誰かの背中をそっと押すきっかけになります。「〇〇だから素敵」「△△なのに立派」ではなく、「あなたらしさがいいね」「その考え方が面白い!」といった“属性に縛られない言葉”を意識的に選ぶことが、共感とエンパワーメントの輪を広げる第一歩になります。
プラン・インターナショナルでは、国際ガールズ・デー2025に合わせて、今回「もやもや図鑑」で取り上げた言葉に代表される日常の“もやもや”を言葉のチカラで吹き飛ばし、女の子たちのエンパワーメントを促進するイベントを、10月8日に開催します。多くの皆さまのご参加をお待ちしています!
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今回ご紹介した言葉はほんの一部ですが、知るだけで「なんかもやもやする…」という感情を整理する助けになります。
言葉は人を縛るものでもあり、同時に、私たちの「未来のチカラ」になるものでもあります。
自分自身を守り、理解するツールとしてぜひ活用してみてください。
国際NGOプラン・インターナショナルでは、女の子たちが抱えるもやもやをなくし、ジェンダー平等に向けたさまざまな活動に国内外で取り組んでいます。
日本の女の子の居場所を作る「わたカフェ」の運営、「ジェンダー平等推進のための教育」プロジェクト、若者の悩みや、もやもやに関する調査も行っています。
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