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(2025年09月02日更新)

「ジェンダー平等」とは何か──。SDGs目標5にも掲げられたこのテーマは、こうした課題が世界各地で長年続いてきたという背景もあり、注目を集めていますが、日本は依然として大きな男女格差を抱えています。この記事では、ジェンダー平等の基本的な考え方から、日本の現状、そして企業や私たちにできる具体的な取り組みまでを分かりやすく解説します。

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ジェンダー平等とは

「性別」に関係なく平等に扱われること

ジェンダー平等とは、グローバルに共有される価値観のひとつであり、性別にかかわらず誰もが同じように尊重され、権利や機会を平等に得られる状態を指します。単に男女を同等に扱うだけではなく、家庭での役割分担、職場での昇進・賃金の公平性、さらには多様な人が意思決定に参加できる仕組みなど、社会のあらゆる場面で性別による差別や偏見が排除されていることを含みます。

写真:イメージ画像

SDGs目標5で掲げられている「ジェンダー平等」

目標5:ジェンダー平等を実現しよう

持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の目標5では、「ジェンダー平等を実現しよう」と掲げられています。世界では今もなお、女の子や女性がパートナーから暴力を受ける、児童婚や女性性器切除(FGM)を強いられるといった深刻な問題に直面しています。こうした差別や暴力をなくすことは、ジェンダー平等を進めるうえで欠かせません。さらに、女性が政治や経済の意思決定に参加できるようにすることや、ICTなどの技術を学ぶ機会を広げることも、目標の大切な柱とされています。

目標5「ジェンダー平等を実現しよう」に掲げられた9つの具体的指標

5.1 あらゆる場所におけるすべての女性および女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する
5.2 人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性および女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する
5.3 未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚および女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する
5.4 公共のサービス、インフラおよび社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する
5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画および平等なリーダーシップの機会を確保する
5.6 国際人口・開発会議(ICPD)の行動計画および北京行動綱領、ならびにこれらの検証会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康および権利への普遍的アクセスを確保する
5.a 女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、ならびに各国法に従い、オーナーシップおよび土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する
5.b 女性の能力強化促進のため、ICTをはじめとする実現技術の活用を強化する
5.c ジェンダー平等の促進、ならびにすべての女性および女子のあらゆるレベルでの能力強化のための適正な政策および拘束力のある法規を導入・強化する

日本のジェンダー格差の現状と課題

「ジェンダー・ギャップ指数2025」で日本は148カ国中118位となり、G7では最下位のままです。法整備が進められているものの、政治や経済の分野では依然として深刻な格差が残されています。ここではジェンダー平等の実現を阻む課題の実態を見ていきます。

写真:イメージ画像

政治分野における課題

日本の政治分野におけるジェンダー格差は深刻な状況です。世界経済フォーラムが2025年に発表したジェンダー・ギャップ指数では、政治分野が148カ国中125位と、国際的にも極めて低い水準です。特に衆議院における女性議員の割合は2024年10月の衆院選を経て約15.7%まで上昇しましたが、これは決して高い数値ではありません。政策決定の場に女性が少ないことは、社会の多様な意見や経験が十分に反映されにくくなることを意味し、民主主義の健全な発展にとって大きな課題といえるでしょう。

写真:イメージ画像

経済分野における課題

日本では管理職に占める女性の割合は徐々に増加しているものの、役職が上になるほどその割合は低くなっています。2024年の帝国データバンクの調査によると、女性管理職の割合は10.9%と、初めて10%を超えました。しかしながら、上場企業の役員に占める女性の数も諸外国に比べて低く、経営層への女性の進出は著しく限定されています。加えて、男女間の賃金格差は依然として大きく、非正規雇用において女性の比率が高いことも、経済的格差をより深刻なものにしています。

日本で整備されつつあるジェンダー平等に関する法律

日本では、ジェンダー格差の是正に向けた法整備や政策が進められています。1986年に施行された「男女雇用機会均等法」では、性別を理由とする雇用差別の禁止が明記されました。さらに、2016年の「女性活躍推進法」では、一定規模以上の企業に女性活躍に関する情報公開や行動計画の策定が義務づけられました。2023年には政府が「2030年までに上場企業の女性役員比率を30%以上にする」という目標を発表しています。制度の整備は進んでいますが、実効性を高めるには企業の体制づくりとともに、社会全体の意識改革が求められます。

「ジェンダー平等」のために企業や組織でできる具体的な取り組み

社会の重要事項の決定プロセスから女の子をはじめとする子どもたちが除外されがちなため、子どもたちや若者を取り巻くジェンダー不平等への問題はなかなか解決されません。プラン・インターナショナルでは、女の子、男の子、若者たちが声をあげ、その意見が尊重され、人々の意識や行動、さらには政策にも変化を起こせるよう後押ししています。ここでは私たちがこれまでに行った2つのプロジェクトをご紹介します。

写真:イメージ画像

柔軟な働き方の推進

出産・育児・介護といったライフイベントを理由にキャリアを諦めさせないことは、ジェンダー平等を実現するための不可欠な前提です。そのためには、従業員一人ひとりがライフステージや家庭の事情に応じて、柔軟な働き方を選べる環境づくりが重要です。リモートワーク、フレックスタイム制度、時短勤務制度の導入・拡充といった取り組みは、働く人の選択肢を広げ、継続して働くことができ、キャリア形成を支える確かな基盤になります。

賃金格差の是正

男女間の賃金格差は、長年にわたってジェンダー不平等の象徴とされてきました。格差が生じている場合は、その背景や要因を明らかにし、是正に向けた行動計画を策定し、着実に実行していく必要があります。給与制度を透明化し、同一労働同一賃金の原則を徹底することは、女性の経済的自立を後押しするだけでなく、従業員のモチベーション向上や、優秀な人材の確保にもつながります。

ハラスメント対策の徹底

セクシャルハラスメントやパワーハラスメントは、女性の離職を引き起こす大きな要因のひとつです。ジェンダー平等を掲げる企業にとっては、ハラスメントを未然に防ぎ、発生時に迅速に対応できる体制を整えることが不可欠です。全社員を対象とした教育研修の実施、安心して相談できる窓口の設置、被害に対する誠実な対応が求められます。こうした取り組みは、安心して働ける職場環境を築くだけでなく、企業の社会的信頼の向上にも寄与します。

SDGsの目標5「ジェンダー平等」達成に向けたプラン・インターナショナルの取り組み

社会の重要事項の決定プロセスから女の子をはじめとする子どもたちが除外されがちなため、子どもたちや若者を取り巻くジェンダー不平等への問題はなかなか解決されません。プラン・インターナショナルでは、女の子、男の子、若者たちが声をあげ、その意見が尊重され、人々の意識や行動、さらには政策にも変化を起こせるよう後押ししています。ここでは私たちがこれまでに行った2つのプロジェクトをご紹介します。

女の子をはじめとした若者の社会参加のための活動

東ティモールの農村地域では女性の発言力が弱く、男性が村の主導権を握っていました。プラン・インターナショナルは若い女性たちが自分の能力を理解し、リーダーシップを発揮できるためのトレーニングを実施。そしてついに村で初めて女性の村長が誕生しました。女性の村長が誕生したことにより、村の女性たちが以前よりも発言しやすくなったり、女の子たちが自分もリーダーになりたいと意欲を高めたりと、女の子や若者たちの意識が大きく変わりました。また、村の運営に女性も参加することで、以前よりも問題解決が進むようになりました。

写真:農業技術のトレーニングに参加した女性(東ティモール)
農業技術のトレーニングに参加した女性(東ティモール)

「学校でのジェンダー平等促進」プロジェクト

住民の80%が少数民族のラオス北部の地域では、男の子を優遇する風潮が根強く残っていました。女の子の進学率は低く、早すぎる結婚、妊娠による中途退学もありました。教師のジェンダー平等に関する知識も不足しており、男子生徒からのからかいやセクシュアル・ハラスメントが起きていました。プラン・インターナショナルは3年間、教師、生徒、保護者への啓発活動とトレーニングを実施。生徒たちは、ジェンダーに基づく暴力に対する知識や女の子のリーダーシップを学びました。活動終了時には、学級委員長に占める女の子の比率が35%から60%に上がるなど、生徒や教師の意識にも変化がもたらされました。

写真:ジェンダー平等について話をする子どもクラブのリーダー(ラオス)
ジェンダー平等について話をする子どもクラブのリーダー(ラオス)

「ジェンダー平等」のために私たちにできること

ジェンダー平等は、法律や制度だけで達成されるものではありません。一人ひとりの意識や行動の変化が、社会全体を少しずつ動かしていきます。私たちが日常のなかでできる小さな取り組みが、大きな変化につながる第一歩です。

①固定観念やバイアスを見直す

「男だから外で働くべき」「女だから家事をすべき」といった無意識の思い込みは、私たちの日常に根強く残っています。こうした性別による役割分担の固定観念を、自分自身だけでなく、家庭や職場といった身近な場所から見直すことが重要です。家事や育児、介護などの負担を性別に関係なく分かち合おうとする姿勢が、ジェンダー平等への第一歩となります。

②情報を知り、社会に発信する

世界や日本にどのようなジェンダー・ギャップが存在しているのかを知ることは、行動の出発点になります。ニュース、調査レポート、国際機関の発表などを通じて現状を学び、そこから得た知識や、自分の体験・意見を周囲に伝えていきましょう。SNSや日常会話を通じた発信も、社会に変化を促すひとつの手段です。

③女性の活躍を支援する

女性が力を発揮しやすい社会をつくるには、環境整備と支援の姿勢が欠かせません。職場や地域での制度づくりを後押しすることに加え、ジェンダーに関する教育や啓発活動、関連団体への寄付やボランティアへの参加など、個人としてできる支援は数多くあります。一人ひとりが関心を持ち、行動につなげていくことで、より公平な社会に近づきます。


ジェンダー平等は個人の権利を守るだけでなく、社会全体の持続的な発展に欠かせない要素です。しかし、日本を含む多くの国では、いまだに性別による格差や偏見が根強く残っています。世界には、教育や就労などの機会を奪われ、困難に直面している多くの女の子たちが存在します。そんな彼女たちが「生きていく力」を育み、自分の人生を選び取れるよう支援することこそ、より良い未来への一歩です。

国際NGOプラン・インターナショナルについて

国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。

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